ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

オーロラの彼方へ

 

オーロラの彼方へ [DVD]

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前に見てるんだけど全然記憶が薄れていたのでまた見た。

やっぱ前半、というか時間がズレている親子が交信してそれに気付くまでのパートが大変素晴らしい。随所に観客への情報を散りばめながら、常識的にはすぐに信じられないよね、という所も大変良いあんばいでコントロールしていると思う。極めつけは運命変えるパートの描き方で、グルグル回る画面がディゾルブするという超シンプルな編集であそこまで時間改変の説得力を出しちゃうんだなーというのはマジですげーと思う。ここら辺の仕掛けをこんな前半で完成させてしまって良いのかよーもったいないなーとも思うんだけど、でもこの脚本が志向してるのがむしろ中盤以降の展開だからしょうがないよね……

でで中盤以降なんだけど、テーマとしては「改変によって新たに生じた問題」を如何に解決するかという話をハラハラドキドキサスペンスでやっていて、BTTF式の「どこの軸で時間が遷移してるんだよ!」という超雑な時間改変ロジックを駆使しての語り口は、エンタメ映画としてはまあ良くできてるんじゃないかなーと思う。再度の改変で「さらに生じた問題」があるはずで、結果生まれる最適解を無限に求めたいという欲求を、オーロラを利用することでシャットアウトするのもエンタメとしては正しい。正しいんだけど、うーん、時間を改変してしまえるのと、あと敵役の動きがかなりアクロバティックなので、やっぱ大幅に都合を感じてしまうよなー。正直そっちの方は見ていて大幅にテンションが下がるのだった。

にしても、「なぜ時間のズレに気づくのか」「なぜ未来であることを信じられるのか」に野球を使うのはいかにもアメリカって感じ。スポーツが歴史的なマイルストーンになってるっていうのは文化的背景を感じさせて大変良い。

オール・アバウト・マイ・マザー

 

オール・アバウト・マイ・マザー [DVD]

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と、とんでもない映画だ……ってかこの監督『トーク・トゥー・ハー』も撮ってんのか。『 ボルベール〈帰郷〉』はまだ理解の範疇だけど『トーク・トゥー・ハー』もか。すげえな。やべえなこの監督。

ということでそもそもがとんでもない脚本で、いや普通コレ演劇にまつわる話ってだけで全然ドラマになるはずなのに、そこになんでおっぱい付き男を入れちゃうのかが最高に謎。意味がわからん。果たしておっぱいをつけることでなにが生まれるのかよくわからんのだけれども、いやでも確かにおっぱいがついたことで色んな人にわだかまりや秘密が生じていてそれがこの作品の根幹を支えるわけで、中心人物の登場を引きつけるその手管と相まっていやーまじやべーなこの脚本。やっぱ頭のネジが外れてる。すげえ。容赦なく人は死に人は消え時が流れていく中で、最後に奇跡のようにとってつけられる希望は、いやそれさすがにやりすぎでしょーという感じもするけれども、やっぱりジーンとしてしまうのも確かだよなあ。『この世界の片隅に』でも思ったけど、赤ん坊というのは未来に対する可能性の塊で、それはそれまでのストーリーの整合性をひっくり返すほどの可能性を担ってるってことなんだろうなあ。

にしてもペネロペ・クルスがあの役割を演じるのずりーよ。ペネロペ・クルスってなんか強い女って印象がすげーあったので、あの役割をされるとギャップで「ひえっ!」となってガードできない。ずるい。

チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密

 

つ……つ、つまらん……

コメディベースで小粋な編集のちょっとミステリ、を目指しているのだろうけど、うーん、ちょっとどうやって説明すれば良いのかわからんくらい詰まらん。いやジョニー・デップでこういうトーンでこういう空気感の映画を作りたいという欲求はわかるし作れる感じもするんだけどなんでこんなにダメな感じになっているのか。たぶん演出が問題なんだと思うけど、こういう演出の善し悪しがまだきちんと言語化できない感じが大変もどかしい。ここら辺もう少し細かく分析できるようになりたいなあ。

とりあえず今印象としてあるのは全体のどうしようもないモッサリ感。会話がたりーよとか画が説明的すぎるよとか誇張が圧倒的に足りないよとか、はっきり興味を失いかけるモッサリさ。に加えて、それぞれの登場人物が全体的にどうでもよくて、というかあの残念なジェイソン・ステイサムが好感を持って受け入れられてない時点でもう全然ダメだよなー。キャラクターを誇張して強烈に印象づけてそれで好感持たせるタイプの作品のはずなのに、そこに失敗してる感じはものすごくある。そもそも一番ヒキのある主人公のギャグがヒゲキスからの貰いゲロって、いやあ、全然笑えないっスよ。

ウォンテッド

 

ウォンテッド [Blu-ray]

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あほくせー! 展開がクソ荒くてキャラクターは甘くて話し合いしない理由もよくわかんなくて決着の付け方とか最高にどうでもよくて、ともう穴ぼこだらけの作品。なんだけど、あの理屈がわかんねークソバカバカしいカーブショットの特訓シーンを真面目にモンタージュしてる時点でもう許した。全部許す。あのバカバカしい特訓をド直球演出で表現するのはもう3周くらい回って感動的ですらあります。

そしてまあバカバカしさでいうとアレですね、圧倒的に特筆すべきはカーアクションですね。カーを使ったアクションというのはまあ今まで散々ありましたけど、まさかカー自体があんなにアクションするというのはなかなか想像できなかった。車を自在に操ってルーフトップからの襲撃をスローモーションでドヤッと表現とか、もうそのバカバカしさだけでもう満点をあげて良いです。

にしてもなー、クライマックスで「どんでん返しの後に自分たちは必要悪だった!」というバカバカしいアクションだけでは説明できない命題が突然立ち上がって、さあどうする!? となったところでカーブショットで絵的にスーパー派手なシーン屋って全部殺してうやむやにしてドン! というつくりにはホント脱帽しました。正気じゃあんなシナリオ成立させられないよ。いやあ……

オール・ザ・キングスメン

 

オール・ザ・キングスメン [Blu-ray]

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あれー? なんかこのストーリー知ってるぞ? 前に見たことあったっけ? でもこの超豪華俳優陣の共演は見たらさすがに覚えてるはずなんじゃ……と困惑したけど、あー、そうかそうか同タイトルがモノクロで作られてるのね。さすがに半年前に観た映画の内容くらいは憶えてろよーとは思うけど、前半の展開はともかく後半の展開はサッパリ忘れていてあまりの鳥頭に我がことながら呆れる。あとどうやら厳密にはリメイクではないらしく、同じ原作の別の映画化みたいな感じらしい。なるほどねーじゃあ覚えてなくても当然よねーしょうがないしょうがない。ま、でも映画観てて「あーなんか前に見たヤツとは話の力点違うよなー」くらいの印象はさすがにあった。

でまあ映画なんだけど、うーん、役者がどーも上手く使えてないような気がするなあ。いやモノクロ版も「権力に取り憑かれていく様のダイジェストが云々」みたいな感想は書いてるけど、それでも一応あの州知事には有無を言わせぬ迫力があったし、観ている観客までグイグイ巻き込まれる感覚があった。けど、この作品のショーン・ペンは熱演が上滑りしてる感じがスゲーする。頑張って嫌な州知事を演じている感じでカリスマ性とはまた違う感じ。

一方ジュード・ロウはどうかというと、うーん、そもそもそっちの3人の関係とかワリとどうでも良くてなあ……上流階級には上流階級なりの苦悩とかあるんでございましょうねえ、とどうも蚊帳の外って感じ。自分の人生経験の浅さ故なのでありましょーか。色々見落としてる感じはする。

オーストラリア

 

オーストラリア (字幕版)

オーストラリア (字幕版)

 

どどどどどどどーでもいいー!!!!! あまりのストーリーのどうでも良さにビックリしてしまった。まあ元々バズ・ラーマンがストーリーに興味がある方だとは思ってないけどさー、さすがにこのどーでも良さはどーなのよ? ってかどーでもいいエピソードで呆気なく人が死にすぎ。酒飲みの爺さんはまだある程度積み重ねがあったけどさー、貯水槽で溺れ死んだときはあまりのどーでもよさに爆笑しちゃったわ。ってかそもそもなんで沈んでんだよ! 別にそんな危なくねーだろ! オマケにその子供の落ち込みが歌一発で解消されるとか、いやー、ちょうどうでもいいわー。息子の下克上とかそこから繋がるラストの決闘とかなにも積み重ねになってる感じはしないし、最後の死の情報のすれ違いは何の意味も為してないし、いやー、これだけのスケールのある話なのにこれだけとってつけたようなストーリーの話ってなかなかないんじゃなかろうか。かといって映像美もオーストラリアの大自然の良さと食い合ってあんまり聞いてない気がするしなー。あんなわざとらしい夜の表現されても全然ピンとこない。

ただダーウィンの爆撃って史実自体は大変面白かった。っつーかオーストラリアに日本軍が空爆したなんてオレ知らなかったよ……まあストーリー上その日本兵の役割を上手く回収できていないわけではあるけれど。

2017年振り返り&自薦エントリ選

や……やりきった! 2017年毎日ブログ更新をやりきったぜ俺は! まさかホントに達成できるとは思わなかった! 毎日400字以上くらいずつは文章更新してるんだぜ! すげえ! 褒めて! もっと褒めて良いよ!

あと今年はこのブログ初めて丸10年ということで、いやまーこんなテキトーなブログが良く続いたもんだわ。いや真面目に更新始めたのは去年の春くらいからなんだけど、これじゃいかんって一念発起して有料プランにしたのよね。やっぱ動機付けって大事ですね。

ということで去年に引き続き今年も自薦エントリ振り返ります。全体を見返すと今年も色々面白い作品に触れたなーってかかなり大豊作じゃね? とは思うんだけど、ここのエントリ群は自薦ブログ感想ってことで、まあそうなると大体「この作品にもの申す!」が多くなっちゃうよねー。

じゃあ早速行くぜ!

 

hishamaru.hatenablog.com

普段ドラマを見ない私ですが、この作品にはメチャクチャ衝撃を受けました。今年はいわゆるモキュメンタリーと言う作品をざらっとさらったのですが、その中で図抜けて面白かった作品です。去年の「REC/レック」くらい面白かった。

 

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劇場で激情シリーズ。いやそんなに腹立つなら見なきゃいいじゃんというのも分かるんですけど、やっぱり劇場作品で公開する製品なんだから、観客として怒る権利はあると思うんですはい。

 

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増田の記事に触発されて読んだ感じの作品。いや、マジできついっすコレ。読後にこんな絶望的な気分になる作品も珍しかった。

 

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Kanon問題とかいう単語を出してる時点でお里が知れますね。なんだかんだここに上がるエントリがタイムリープとかifもの多いので自分やっぱりそういうのに思い入れ深すぎるんだと思う。

 

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クオリアちゃん読んだ後だったのでマジで感動した。自分が関わるジャンルに対しての信頼って大事だよなーと思わされた作品。

 

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PJ版が最高! とか思い込んでてすみませんでした。映画のワンダーって単に技術じゃないんだなーと感動。今年のベスト作品かも。

 

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たまには大作ゲームもやってみるモノですね。絶対手放しで面白いとは言えないんだけど、創り手の意気込みとか矜恃とかをある意味でこれほど感じた作品はないかもしれない。

 

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大傑作。良いから読め。

 

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ということで死に戻りのループ。俺基本的にこういうつくりの原作付きアニメが大っ嫌いなんだなーと思いました。

 

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作品自体は別にどーってことないんだけど、今年はさんざんアメコミ原作映画を観ていて、ここくらいでようやくそういった映画の見方が分かったって感じです。

 

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絶対に許せない映画。どんだけループモノに思い入れがあるんだ自分。

 

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作品に影響されて感想の書き方が大幅に変。でもそのくらいの内容を書かせてしまうくらい勢いのある作品だったです。

 

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平行世界とかもループモノと扱いが似てくるのでやっぱり怒るのだった。

 

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まさかの傑作認定。いやー、このリメイクをこの完成度で見せてしまう監督には圧巻。そして撮影がすげー。

 

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フェイクニュースやらなんやらの状況が大変ひどくなっている状況がどのようにして生まれたか、大変ためになる新書でございました。そしてラストのインタビュー人選が最高。

 

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劇場で激情シリーズ。なんか俺『スター・ウォーズ』の新作が出るたびに怒ってんな……別に『スター・ウォーズ』自体に思い入れはないけど、映画史のメルクマールだって認識はあるから、たぶんそこで怒ってるんだと思います。

 

他にも『プロジェクトX 飛べ、バージル』とか『トライアングル 』とか傑作だけだったらいくつもあったんですけれども、気合い入れて感想書いたエントリを選ぶとこのくらいかな……ホントは10個にまとめたかったけど去年よりだいぶ総エントリが増えてるからしょーがないね。

ということで2017年もこんな零細ブログを見に来ていただいてありがとうございました。来年もまーぼちぼちやっていきますんでどうぞよろしくお願いいたします。