ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ファイト・クラブ

 

ファイト・クラブ〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV)

ファイト・クラブ〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV)

 

映画の内容なんてとっくに忘れている今あえて読む。といっても映画の大ネタはもちろんおぼえているわけで、するとまあ当然最初の読書からこの作者が文章の中で何を狙っていてどういう効果が生まれていくかをかなりしっかり読むことになりますよね。特に序盤の映画リールにポルノコマを差し込む辺りの描写がもうめちゃくちゃ秀逸で、この作品のふたりの男の視点が細切れになって互い違いに挟まってというのが、お互いのエピソードが強烈であるが故に全然違和感なくクロスカッティングされているのがうへーという感じ、なんだけどそれが映画のリールの入れ替えの暗喩でもあるのがうーんたまらんですね。もうあの章だけでもお腹いっぱいという感じ。『サバイバー』でも変なことをやっていたけれども、技法がこんなにわかりやすくストーリーと相互作用を起こすんだなあ、と納得感が大変高いです。

でもまあ、読み終わって思うのは、こんなテクニカルなシーンが大変印象に残る小説を、よくもまあ映画にして、しかもあんなに面白くしたよなあと言うところだよねえ。もちろん個別のエピソードの質は高くて、しかも「ファイト・クラブ」という大変暴力的で魅力的なアイディアの秀逸さはあるのだけれども、でもさあ、こんな叙述をメインにした小説をよくもまあ映像にしたよなあデヴィッド・フィンチャー。『虐殺器官』は悪い意味で原作を読み直したくなる映画であったけれども、こっちは良い意味で映画を見直したくなる小説であった。

GODZILLA 星を喰う者

godzilla-anime.com

やっぱこれぎゅーっと2時間にまとめる話じゃねーのかなー。三部作をひとつの流れで考えると最もスケールの大きな出来事と主人公の内面が並列して進みクライマックスという流れはまあ美しく、次世代の種を残しながらラストで父子の戦い……という決着の付け方もわかるのだけれども、この映画単品で観ると明らかに怪獣要素が不足していて辛い。ゴジラとギドラにもっと動的なアクションないとさすがに観ていてどーなの? って思う。

話の大筋はまあいわゆるSFの超オーソドックスなやつで、別に今更こんなに丁寧に説明しなくても良いのでは? という感じがする。もっとバンバンカッ飛ばしてくれて良いのになあ。

前回の感想でも言ったとおり、主人公がコッチ側に止まる理由付けに共感ができなくて、だからラストの決着に全然納得がいかない。異星人の提案って、人間の愛情とか輪廻という概念とかは当然踏まえた上でのものなわけじゃないですか。欲望で駆動する人類が今更文明を捨てたところで解脱なんてできないわけじゃないですか。キュウベエじゃないけれども、向こう側の理屈を否定する話じゃ全くないワケですよねこのストーリー。でまあ、だからこそ人間が感情的に共感できるロジックをきちんと描かなきゃならないのだと思うのだけれども、全体の流れがダラダラしすぎて演出の焦点がぼやけてる感じ。ハリウッドなら家族一発子供一発でクリアしちゃうそのテーマを、ジャパニーズオタクアニメーションライクな価値観で描くとまあこういう迂遠な恋愛とか過去の家族の思い出とかに帰着させなきゃならないのでしょーが、だったらもっとザーさんヒロインきちんと描いて欲しかったよなあ。あんなちゅー一発じゃなくて、男性的に成長して死に突き進んでいく主人公とはっきり対比して女を描くべき。いやたぶん脚本的にはそこら辺拾えなくもない構造だと思うから、演出含めてそこら辺の細やかさの問題なのではないかなあとも思う。

しかしなあ、そういう人間の情とかに共感寄せるには、CGの芝居がキツいなあって感じもしたのだよなあ。台詞をしゃべるときの芝居がいちいちクサくてちょっと見てらんない。カメラもかなりわざとらしい感じがするし、うーん……これはCGの現状の限界なのかしら? 演出方針の問題な印象も受けるのだけれども。

ムーンライト

 

ムーンライト スタンダード・エディション [Blu-ray]

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突然そっちの要素をブチ込まれてビックリするよ。いやーこういう話は嫌いじゃないですけどね、まさかこの題材でやるんですかそうですか。いやーすげーなー。ほんとアカデミー賞こういう角度で急激に殴ってくるの勘弁してくれませんかね?

ひとりの男性の成長を年代ごとに描くわけですがやはりビックリするのは3部の飛躍ですね。同じ人間であるという無茶を通してしまうから、その無茶な分だけ運命の分岐した過去に戻るのがめちゃくちゃドラマになる感じ。そしてその分岐の距離だけ、彼が内に募らせていた思いの深さが浸みちゃうんだよなあ。ウーン大変ロジカル。

あとは言われているように映像がやっぱりうおーと唸ってしまうデキで、黒い肌に光が反射するのがホント美しいわ。男性の肌でこういうことをやるのに意味がある作品だよなあ。最近カメラを弄ってダイナミックレンジだの気にしたりシャドウの持ち上げとかやっているので、うおーなるほどそういうことかーと思います。

ちょいと残念だったのは一番のキモであるはずのあの浜辺のシーンで肌の色が浮いちゃってかなり違和感があったところかなー。砂の演出とかめちゃくちゃ最高だったので、画像に意識が言ってしまったのは少し残念なのであった。

あと今ようやく気付いたんですけどこのジャケットコラージュなんですね。いやあ大変素敵だと思います。

 

Withings Steel HR をアップデートしたら Sport が要らなくなった話

hishamaru.hatenablog.com

以前こういう記事を書いてですね、締めに「新しいモデルが出たら色々便利になりそうだし買っちゃおうかなー」なんてほざいてた私でありますが、えー、ソフトウェアをアップデートしたら新しいモデルと同じ機能がついてきてビックリしました。いやー、まじですか?  自転車乗る度にアプリ立ち上げるなんてめんどいことせずともボタン長押しでちゃーんとハートレートとGPSと平均時速を記録してくれておりまして、いやーもうこれ最高ですね。最高。

いやね、スマートウォッチは日進月歩で古くなるのは目に見えてたし、 Apple Watch とか買うほど資金が潤沢じゃねぇんだよなー、って思ってスルーしてたわけですよ。 Withings Steel HR も2万円とかしたわけで、うーんこれ何年使えるかなーとか思ってたわけですよ。実際今Amazonでめちゃくちゃ安くて性能もそこそこグッドな心拍数計付きの時計とかあるわけじゃないですか。

でもねー、ソフトウェアで性能が進化するって素晴らしいですわマジで。枯れた技術で小さなドットにアナログ時計くっつけただけのUIってのがグッドな選択だったんだろうなあ。こういうサポート体制があると次からもこのメーカーのガジェット買おうと本気で思うもん。 Lumix もソフトウェアアップデートいいですよね。 OLYMPUS はもう少しアプデがんばっても良いんじゃないかな…?

 

フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い

 

フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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んー人殺しの描写があっけなさ過ぎてビックリするなあ悪い意味で。もちろん呆気なく人が死ぬデトロイトってことなんだろうけれど、ストーリー上重要なキャラクターの最期がめちゃくちゃ呆気なく処理されてしまうのでだいぶ乗り切れない。あのミュージシャン君の死ってホントに必要なの? このリアリティで見せ場なく意味もなく呆気なく退場してしまうのはキャラがかわいそうである。

あと最後のオチの付け方は、その演出のタルさも相まってめちゃくちゃ納得がいかない。途中でアレだけ立てて皆を支配している描写をやっておいて、クーデターで一発解決とかマジであり得ないでしょう。あの立場だったら常に身内の裏切りに対する予防線を引いておくのは前提条件じゃないですか。いやー、全然納得がいかないなあ。

とはいえぼーっと見てるとストーリーはちゃんと面白く、色々な推理がどーしょーもない出来事でひっくり返されたりなんだりあって、でもなるほどとそこそこ納得のいく真相に繋がるのは楽しい。あとデトロイトは寒いのだなーというのもよくわかり、雪道でのカーチェイスをあそこまでしっかりやっている作品はそんなに記憶になくなかなか良いのではないでしょうか。

虐殺器官

 

虐殺器官 [Blu-ray]

虐殺器官 [Blu-ray]

 

あ、あれ……? こんなつまんない話だっけ……と思わずだいぶ前に読んだ原作を確認したくなるのであった。いやまあ伊藤計劃の映画が軒並みアレな感じになっているという話はもちろん耳にしていて、この映画もまあ大概なデキなのだろうなあと思って見始めたけれども、あまりに酷くてゲンナリだよ。ちょっと高尚な感じの思索があるSFを丁寧に映像化しました! でも全然面白くない! っていつものアレ。制作のゴタゴタとか関係なく、単純に映像として映える作品を創る意識があるかないかなんじゃないですかね。

しかしまあ伊藤計劃の魅力である諧謔みたいなのが映像化にあたってクッソ寒い台詞とかになってしまっているのはほんと厳しいですね。なんの工夫もなくドヤ顔で名台詞っぽいものを抜き出したらこの寒さになってしまうのだろうなあ、という感じ。っつかあのクソ眠い冒頭シーンのあの怖気がする長台詞の応酬とかもっとどうにかならんのですか。つるっつるに上滑りする抽象的な台詞とか、思わず笑ってしまうBGMとか、まあやるべきことはわかるんだけれども、演出力が全然足りてないよね。全体的にスカスカでたるくてもう30分くらい短くしないと辛いよなーと感じました。

しかしまあ作品内ではつるっつるに滑っていたと思うけど、今の自分の位置から見ると、思想なんかを絡めて社会の仕組みを語ることはなるほど面白いなあと思う。だいぶ自分も世の中が捉えられるようになってきたんだなあ。もっかい原作読もうかしら。

天と地

 

天と地 [DVD]

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うーんたるい。オリバー・ストーンはどうも尺の感覚が合わないなあ。本人の回想録ベースだからあまりフィクションに寄せきることはできないのだろうけれど、うーん、ちょっと色んな出来事がうまく消化できない。なんで家単位でそんなに不幸な運命を背負わせる話になるのかとか、そういった立場に追いやられた母親がそれで許されちゃってるのかとか、対になるとか言っていたトミー・リー・ジョーンズとの関係がそれでホントにオッケーなの? とか、うーん全然しっくり来ない。特に子供の描写があるようでないようでイマイチピンとこないんだよなー。

特に後半テーマとなってくる仏教が、自分の知ってる仏教とはそもそも全然感覚が違って、それはたぶんキリスト教的な価値観がカルチャーショックを受けたものの見方なのだろうけど、うーん全然わからんなあと困惑する。自然の抜群の美しさはフィルムの中に収められていて、季節が巡り大地が実るように……な輪廻の感じはまあ伝わらないでもない……のか? まあヨーロッパの気候とは全然違うから自然はワリとすぐに回復するだろうけど、しかしベトナムってそんな延々他国の侵略を受けるバックグラウンドがある国なのかしら? 近代以降はともかく、中国との関係って朝貢貿易とかである程度距離を取っていられたわけでもないのか。うーん全然わからん。