ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

チャイナ・シンドローム

 

へー、マイケル・ダグラスってこんな若い時から制作してたのね。父親譲りの映画一家なんだなあ。

ジャーナリスト側の話になるのかと思ったら、ジャック・レモンの職業倫理が試される話だったのね。安易に「ジャーナリズム万歳!」にならないのはなるほどなーと思ったけれども、殉職して正義を果たす……という話に振り切っちゃうのもまあちょっと危うくはあるよね。それでもその正しい行為が他の職員に伝染するラストはやっぱり感動的ではあるわけですが。

単なる原発批判だけではなくて、女性レポーターに対する偏見なんかもバッチリ取り上げられていて、なかなかキッチリした映画だなーと思う。79年でこういうのちゃんとやるのってなかなか珍しいんじゃないかしら。

脚本はサスペンス含めてよくできていると思うけれども、審議の会場ではなくて原発に立て籠もる流れが秀逸だよなあ。告発のために、リスクを冒して原発の内部に立て籠もるというのは、あっと驚く解決法でとても素晴らしい展開だと思う。クライマックスに向けての緊張もきちんと高まってるし、いやはやよくできてるよ。

恐怖のメロディ

 

恐怖のメロディ (字幕版)

恐怖のメロディ (字幕版)

  • クリント・イーストウッド
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クリント・イーストウッドの監督デビュー作か。見たことがあったような気がしていたけれども未見だったぜ。

この人は当初からコンセプトが明瞭だったんだなあ。ヤンデレストーカーに襲われる恐怖を描いた作品だけれども、作品の筋自体はかなりストレートというか、そこまで捻ったところはないので、それでサスペンスをしてこれだけ見入っちゃうのは、やっぱり映画が上手いんだろうなーと思う。背景にスッとまぎれ込んでいるストーカーの表情とか、ベタだけれどもやっぱり面白いもんなー。

ストーカーの台詞もなかなか良くて、理不尽だけれども手を変え品を変えこちらに責任を押しつけようとしてくるロジックが表現できていて感心する。純粋な理屈じゃ書けない台詞だよね。

しかしイーストウッドがこういう芸術家をやるのはちょっと違和感抱いてしまうな。若い頃は今と違う見え方してたのかもしれないけれども、クリムトライクなゴールデン寝室のインテリアにはちょっと笑ってしまう。DJの仕事をしているみたいな浮ついた感じも、後のイメージとはちょっと違って面白いよねえ。ま、じゃなかったら包丁女にあんなに苦戦するところを描けなかったかもしれないけれど。

あと途中、一件落着したかに見えるパートで見える謎のイメージシーンもちょっと笑ってしまう。そのあとのジャズフェスティバルもそうだけど、なんなんだあの流れは。

セールスマンの死

 

セールスマンの死 [VHS]

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  • ワーナー・ホーム・ビデオ
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ダスティン・ホフマンの方。テレビスペシャルだったの? 全体的に舞台劇っぽい演出だったし、編集もかなり面白かったのでそんな感じはしなかったな。U-NEXTはこういうちょいマニアックな映画も入っているので楽しいですね。

元戯曲なのはなんとなく知っていて、地味だけれども吸引力のある話だよなーと思う。いや、話と言うよりもキャラクターか。ダスティン・ホフマンの一挙一動から目が離せない感じ。痴呆で現実と虚構の区別がつかなくなりかけている男性は、最近もアンソニー・ホプキンスの「ファーザー」で見たけれども、あの真実がどれなのかわからない作りはやはりキャラクターに強く感情移入するための作りだったんだなーと再確認する。虚実がはっきりとわかると、むしろ周囲の人間に感情移入しがちで、カードに誘ったりお金を恵んだりする隣人の微妙な表情とかが大変味わい深く思えますよね。

そしてまあなんと言っても妻の立ち位置だよなー。話をいちいち遮る当たりとかの女性蔑視が、父子の不仲にもバッチリ関係してくるあたりの作りは大変納得。弟の女好きや、「痩せたよ!」のスルーされ感といい、関係ないようであるような微妙な因果関係があるのが絶妙だよね。

しかしダスティン・ホフマンは、メイクで老けているけれど、実際はまだまだバリバリ若い頃の映画だよね。外見は結構ちゃんと年を取っているけれども、動作に若さ故のキレがあって、人間の目はそこらへんちゃんと見抜くもんなんだなあ。

ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート

 

デパートなんでもう少し色々あるかと思ったらファッションの話だった。

あんまり興味がないところだから多分大事なところを見落としてんだろうなーと思うけれども、オレレベルでも見た顔がちらほら見えて、なんとなく雰囲気はわかるから良い。っていうか馴染みがないからこそこういう媒体で触れておかないとね。

とにかくバーブラ・ストライサンドへのリスペクトがすごくてビックリする。もちろん名前は知ってるし映画も見たし……ではあるけれども、ニューヨークのセレブの中であんな扱いを受ける人だったのね。

取り上げられる人物は皆個性的だけれども、やっぱりあの接客員の人がメチャクチャおもしろかったなあ。機知に富んだ返答があのスピードで出てくるんだったら、そりゃまあ好感持っちゃいますよね。しかし値段を聞くときにおあのもったいぶりかたはいったい何なんだ。いやまあああやって前振りされたら、値段を聞くときのリアクションもしやすいだろう……みたいな配慮があったりするのかしらねえ。

序盤でデパートが上昇志向を促す場、みたいな説明もあったけれども、確かにファッションという分野を通じて経済的な発展をリードする、という意味では、なるほど確かにアメリカ・ニューヨークの象徴、という場所なのかもしれんと思った。

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

 

あーやっぱりサブプライムローンがバックグラウンドの話なのね。途中で空き家が焼けるシーンでようやく気づいたよ。フロリダってのも土地の妙だよなー。っていうかフロリダ・プロジェクトがディズニーの名前であることはすっかりラストまで忘れていたよ。

『タンジェリン』の監督だけれども、いやはやなんだろうなあこの人間を捉える視点の面白さは。子供がメインになっているのでそこの妙味もあるんだろうけれども、しかし母親の役柄の人間性とか、大変引き込まれるなーと思いました。ってかあそこでナプキンバン! ってやるアイディアとかよく出てくるよなあ。

あとはなんと言ってもウィレム・デフォーの芝居で、あのオッサンが子役とか差し置いて一番魅力的に見えるって、マジですごいなあ。一番共感しやすい立場の常識人、というのもあるんだろうけど、「ママ!」と叫んでしまうあたりのさりげないやり取りとかホントに愛おしくてね。ってか鳥をジョークで追い払うシーンとか、あんなん作品に愛されすぎでしょ。ってか、あー、これでアカデミー賞の助演男優賞ノミネート受けてるのか。納得の内容だなあ。

しかしこれどうやって決着つけんの? と思ったら、ラストで急に飛躍してビックリした。いやまあしかし、下敷きに現実がある以上、そういう魔法で強引に閉じないと終われない話ではあるわけだよなー。

クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち

 

いやー衝撃的だなあ。再生してから2時間ジッと魅入ってしまったわ。

プロフェッショナルの仕事というのはそりゃまあどこだって魅力的に感じられるはずというのはわかっていたけれども、こういう「キャバレークラブ」でそれを感じさせられるとはなあ。こういうショーのイメージって、もっと猥雑でキッチュなものだとばかり思っていたから、ここまでアートに寄った舞台を見せられるとは思わなかった。

それぞれのショーが大変魅力的でいつまでもみていたい気分にさせられるのだけれども、印象的なのはふたりでグルグル回るやつかなあ。クローズアップという映像の力もあるのかもしれないけれども、人体と投射された模様の図と地がクルクル入れ替わる体験には本当にビックリさせられた。細かくみるとそれにピントの問題で奥行きまで感じられたりして、あんなシンプルな仕掛けでよくもまあワンダーを生み出せるもんだなあと感心。

全体を通してスタッフが何度も言っていたけれども、「女性の身体を美しく見せる」ことに重きが置かれているのが大変印象的。あの下半身だけのストリップのライティングといったらいやあ……いや、光と動きによって奥行きを表現することができることに、今更ながら気づかされましたわ。

映画を見終わって、思わず料金とかネットで調べちゃったよ。マジでこれを見るためにパリに行きたい気持ちになった。

あの夜、マイアミで

 

あの夜、マイアミで

あの夜、マイアミで

  • キングズリー・ベン=アディル、イーライ・ゴリー、オルディス・ホッジ、レスリー・オドム・Jr
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モハメド・アリとマルコムXのドキュメンタリーを一応見ておいて良かったぜ……これ背景がわからんと全然わからん話になりかねないよね。NOIとか全く馴染みがないもんなー。

とはいえ、サム・クックとジム・ブラウンのほうは自分全く知識がないので、そこら辺がどーもなーという感じではある。『ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム』も聞いたことくらいはあるんだけれども、それがどういう背景の曲かとか今回初めて知ったしなー。ジム・ブラウンに関しては、映画で見た記憶もないしなー。まあそこら辺の後世への含めての面白さをはらんだ映画ではあるよなー。この当時の影響力と、それから50年以上経った今の影響力は、全然変わっているわけだろうし。

立場の違う四人の黒人が話し合う……という解像度でエンタメに触れたことってどれだけあったかしら? イスラムというキーワードひとつとっても、当然一枚岩だったわけじゃないしなあ。ってかモハメド・アリとマルコムが一枚岩になれなかった話でもあるわけで……あと、「色の薄い黒人」みたいな概念が出てきたのもわりとショッキング。マルコムXくらいの肌の黒さでもそういう言われ方があるのか。実際それでどんな扱いの違いが出るのかとか、ちょっと想像がつかないので調べてみよう。