ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

アド・アストラ

 

いやー、そういうトーンのものがやりたかったのね、というのはわかるし、努力しているのもわかるんだけれども、なんなんだろうなーこの滑っていく感じは……『2001年宇宙の旅』とかの感じが多分先行例としてあって、あのくらいの科学技術の発展を今風に描くとこうなるって感じなんだろうけれども、しかしこの根本的な感触の違いみたいなのはなんなんだろう……全然違ったものに見える。そしてそれがポジティブではない。

なんだろうなあ、根本的に「未知への恐れ」みたいなものがないのかなあ。これだけ大がかりな立て付けを使っておいて、結局真相も乗り越えるべき壁も決着の方法もクッソ月並みというか……だったらもうちょい父親の中に宿った狂気をちゃんと表現してやるべきだよなーと思いました。

あと最後の山場の辺りは爆笑するしかないというか、あれ考証どうなってるんですか? いや、もし万が一合っていたとしても、オレは「いやいやでもでもそれは……」ってなりますけど。っつーかあそこで輪に突っ込むのを山場として描かなければならない理由は何だったんだろう……謎。

しかしブラッド・ピットがブラッド・ピット力で突然大量殺人を起こしてしまうシーンは爆笑せざるを得ないよね。あそこで「自分の意志ではなく」「自分以外の人間が全て死んでしまう」というのが、プロットで要請されているのはわかるけれども、そこをブラピ力で突破してしまうのはさすがに笑わざるを得ない。

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

 

異常行動が分解する感じだったり、母子家庭とのコミュニケーションを経たりで、自分のトラウマと向き合っていく形式自体はすごく納得のいくものだけれども、それをこういうオシャレな見せ方でやるのはなんだかよくわかんないけど悔しくもある。いや別に良いんだけど。いいんだけど。軋みのビジュアルでの見せ方とか、人ごみの超望遠でのウキウキダンスとか、あとシンクロして起こる暴力受けパートとか、うーんいちいち吸引力あるなーと思ってなんか悔しい。いやほんとに別に悔しがる必要は全然ないんだけど。

序盤の謎の手紙書きを始めるところとか、幻にしか思えない彼女の登場とか、そこから繋がる少年との交流とか、うーんいちいち面白いんだよなー。突然ゲイかも克服受ける展開で、きちんとアドバイスできたり、子供を下ろした告白で母親ががつんと出てきたり、いやあ……こういう言語化できない吸引力はたまらんなー。

と思うと同時、メタファーにも満ち満ちた映画であろうけど、自分は雑だからそこら辺全然スルーしてしまっているのだった。そういうのもうちょっとちゃんと読み取れる人間ではありたいわなあ……

大坂なおみ

https://www.netflix.com/title/81128594

Netflixのリミテッドシリーズ。

このタイミングで出てきたのでオリンピック合わせなのかなー。大坂なおみってこういう複雑な出自を持っているから「日本人である」というこだわりが強いのだなーというのが大変よくわかった。やっぱりマイノリティの立場であるからこそ見える社会の風景というのはあるよなあと思わされる。

一方で、内容がダラダラした日常の大坂選手を見せる方向に振ってしまっていて、もう少しテーマ性を見いだせるドキュメンタリーではなかったの? とも思う。インタビューの受け答えなんかを見ても、若い頃から色んな場所で試されていたんだろうなーというのがよくわかるし、もう少し人物の成り立ちなんかについて深く踏み込めたんじゃないの? とは思う。

だから最終話のBLMまわりの日々に関してはめちゃくちゃ面白くて、いつの間にか1話が終わっている感じになっていた。

いやー、しかしこの延長線上にオリンピックがあるわけでしょ? この記事を書いている時点では、大坂なおみふつうに練習してたりするけれども、これ果たして大会本番でどうなるのかしらねぇ。あんまり一選手にこういったプレッシャーをかけるのがよくないのはわかっているけれども、これまでの文脈があるからこそ興味は持ってしまう。

ノトーリアス・B.I.G. -伝えたいこと-

https://www.netflix.com/title/80202829

音楽をちゃんとは聴いていないんだけど色んなところで名前が出て来るんで「どんな人なのよ?」って見始めた。

英語がわからんのでニュアンスがとれないこともあり「音楽のどこが革新的なの?」という疑問は全然払拭されていない。まあ当たり前に今のラップを受容していることもあって、もうちょいテクニカルに教えてくれよーという気持ちも正直ある。

でもまあそういうのはとりあえずどうでもよくて、とにかくこの時代のブルックリンでの黒人の生活、みたいなのがバリバリに感じられて大変良い。金持ちになるためにドラッグをさばきにいくのとか、母親視点で語られたりするから「なるほど……」という感じ。そこそこ名前が売れてからもその稼業を抜けなかったわけでしょ。そういう文化の中で生まれた音楽なのだなーというのが大変よくわかる。

そういう意味では射殺されたところもまあビックリだよなー。生死が関わるアルバムタイトルだけれども、そういう文化の中で生まれたからこそリアリティがあったんだろうなー。ヒップホップに関わる映画とかドキュメンタリーとかはそこそこ見ているので、大変納得感のある内容でした。

グリーンブック

 

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  • ヴィゴ・モーテンセン
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うーん大変良い。まあ構造的にはめちゃくちゃベタベタで、ピアノ弾くときは「えーそこまでやっちゃうの?」とは思ったけれども、まあこのリアリティならそれもアリかな……

何にせよ主役の性格付けが大変良くて、二人の全く正反対な男性が緊張感保ちながらしかし金やらなんやらの問題で行動を共にせねばならず、そのうちに音楽やらなんやらでお互いをリスペクトしながら距離が狭まっていく、というのはまあやっぱりベタベタだけれども好ましく思ってしまう。音楽への理解があることできちんと二人が繋がれるのは本当に良いよなあ……ケンタッキーの骨は投げてもコップは拾わせる辺りとか、そういうビミョーなキャラクター性のコントロールが良く効いているなーというかんじ。後半で警官がよいものとして描かれるフォローの感じとか、うーんバランス感覚だなあと唸らされる。

とにかくこの二人のキャラクター性に共感しちゃってるところでまあ成功してるんだけれども、しかしクラシックを学ぶ黒人のゲイってマイノリティ中のマイノリティを出すんだなー。いやホント、アメリカの映画はすごいなあと思わされます。

あとこんなにキレキレのラストシーンは久々に観た。ちょっとやりすぎかなーってラストの展開から「ギャハハハ」って笑いながら暗転ですよ。いやー、気持ちよい終わりって大事ですね。

キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け

 

虚飾にまみれた大富豪、みたいな話なんだけれどもうーんいまいちよくわからないなー。引退で家族と暮らしたいみたいな目標がピンとこないし、かといってお金への執着がどれほどあるかというとそこもよくわからないし、中途半端に「自首する」とか人間性出しちゃうし……まあそういう人間らしさみたいなのはこの主人公の魅力、みたいな捉え方をさせたかったのだろうか。いやしかし中途半端すぎてキング感がゼロだよなー。リチャード・ギアの人の良さみたいなのを感じてしまう。いちいち「こっちに座れ」とか言ってしまうのも共感の仕草だし、そういうところを狙ってやってるのだろうけど……

警察の捏造一発で展開がひっくり返るのはやり過ぎというか、「えー?」って感じで、しかもそれに気づくきっかけが謎過ぎて謎。なんであそこで閃いたし。っていうかそんな雑に捏造がバレるような証拠を偽造する警察がヤバすぎる……そんなん事実その場所を通ってないのなら偽造なの確定だし、だったらもう少し周到に用意しておくの普通でしょ。

登場人物がみんなちゃんと色々見通していて……みたいな作り自体は悪くないんだけど、そこら辺織り込み済みの各人がとる行動がそこまで面白いかっつーとそんな気もしないのもなあ。妻のサイン強要も、まーつくりとしてはわからんでもないが、あんま生きてなくない? という感じがしました。

パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間

 

なんじゃこりゃ。うーん、どうやって見れば良いのか全然わからない……

ケネディ暗殺後の4日間を群像劇で、という立て付けだけれども、いやしかし何が面白いんだこれは……これってケネディへの信仰とかがあればのめり込んで見られたりするのか? それともケネディ暗殺への興味があれば? いやしかしここになにか事件の真相みたいなものってある? オズワルドの母親とか色々掘れば面白そうなところもあったけれども、このくらいの彫り込みじゃ全然どこに的を絞れば良いかわかんない。言い方はアレだけど、「ケネディ暗殺」という現実のショックに寄りかかってダラダラ映像を並べている感じ。オズワルド兄弟の対話シーンとかも「は?」って感じだしさあ……

唯一興味が湧いたのは、偶然事件を撮ってしまったおじさんなんだけれども、それも全然彫り込みが足りなくない? まあ事実を元にしてるから限度はあるのかもしれないけどさー。あのおじさんがケネディ暗殺にショックを受けて、職場で度を失うところとか、「あーなるほどアメリカ人にとってケネディっていうのはそのくらい偉大な存在だったんだなー」というのが感じられて良かった。