ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

THE MOLE ザ・モール

 

THE MOLE ザ・モール [DVD]

THE MOLE ザ・モール [DVD]

  • ウルリク・ラーセン
Amazon

北朝鮮を告発する潜入ドキュメンタリー……の、はずなんだけれども、それは物語のガワにしか過ぎなくて、半分はそのドキュメンタリーに組み込まれてしまったひとりの一般人の描写みたいな感じで、今までになかなか見たことのない視聴感覚がある。っていうか危険すぎるでしょ……バレたら殺されるまで当然あるスパイ活動に、映画監督が外部から人を送り込んで、しかもその好意を数年間も続けさせるなんて。

北朝鮮の値段つきの武器リストとかはそりゃまあビックリだし、ヴィクトリア湖の島を買ってホテルに偽装して地下工場を作って武器を製造するとか現実の出来事としては荒唐無稽すぎて笑っちゃうし、三角貿易でお金を回す手管とかはーなるほどなーと感心させられるけれども、でもしかし、そういうのも目の前のリアルなひとりの人間のスパイ活動のハラハラドキドキの前では、わりとどうでもよくなってしまうんだなあ……ということは思った。

いやーそれにしてもこれどうやってこんなにトントン拍子で信頼を得ていったんだろうか……カメラの前ではわりと人畜無害だけれども、絶対なにか性格的に特殊な所がある人だよねえ、きっと。北朝鮮なんて良いから、むしろもう少しこの潜入者の人となりを深く彫り込んで欲しかった気持ちまであるわコレ。

神さまの言うとおり

 

あー、これイカゲームの制作者見てんの? もしかして? 最初の類似加減からしてもだいぶそういう感じはするけど。まあ見ていようが見ていまいが、それが描こうとしている物語の普遍性が決定的に違うよなあ……

まあとにかくスッカスカで、ただ殺し合うためにデスゲームが行われて、何の意味もなく死んでいく。ただビックリさせるためだけの仕組みが山積み。こんな編者的な感情の動かし方で、2時間の映画を語っちゃおうって言うんだから、いやーマジですごい態度だよな。続編に向けてか何かしらないけれども、途中で本当に思わせぶりな以外は何の意味もない伏線が張られるのには失笑しか出ない。高校生を主人公にしてこういった物語を語らなければならないとき、「バトル・ロワイヤル」よりも中途半端に手なりでドラマを語ろうとしている感じなのかしらねえ……

あとシロクマのくだりもそうだけれども、本気で呆れたのはラストの缶蹴りの「ウソ」のくだり。マジでクソ。徹底的に理不尽でも、ルールがギリギリ残されているから、それに対してどう行動するかが面白いところなのに、「圧倒的な強者がルール無視で弱者を翻弄する」という枠組みだったらゲーム攻略が最初から成立しねーじゃん。むしろその理不尽さを押しつけられる弱者としてどう生きるか、の方が問題になるよ。それってこの映画の枠組みそのものを無価値にするどうしようもなくひどい展開だと思いますよ。

シン・ウルトラマン

shin-ultraman.jp

『シン・ゴジラ』でも思ったけど変な映画だなー。

しかしファンの人が怒っているのがぽつぽつ観測されているけれども、なんでそんな怒るのかよくわからんなーという感じはする。自分はウルトラマンを真面目にシリーズで見たこととかなかったので、「あーこれが噂に聞いていた……」という感じではある。

まあしかし人間ドラマが割りきられていたのが何より面白いところであって、あーやっぱり庵野秀明ってウルトラマンなんじゃねーの? とは思った。シンエヴァで田植えをしたあと「農家が大変なのはこれからだろーがそれだけで田舎を知った顔してんじゃねーよ!」と結構思ったけれどもそれと似ていて、ラストの「掛け替えのない日常」で描かれるのって都会の営みばっかりなんだよね。自然の中で生きる人間の視点だって入れるのがごく当たり前だと思うんだけれども、そこをカットしちゃう。たぶん田舎で行われている生活は、「絵になる老人と子供の避難」しかないんだろうなー、と思うと、もしかして監督はそういう書き割りみたいな世界認識で必死に人類愛を学ぼうとしているウルトラマン的世界観を持ってんじゃねーの? と思ってしまう。で、実際、ある程度筋は通った物語の形にはなってしまうしなー。

ウルトラマンの最初の登場シーンは、「あー仏が来た……」という感じで大変良かったです。シン・エヴァではそんなに「動き自体が良いなー」とは感じなかったんだけど、あの質感のものが重力・慣性制御で行動するときの認知のバグみたいなのはギョッとする感じで面白かった。

パージ/大統領令

 

よ……よくわからん。中島らもの短編「日の出通り商店街いきいきデー」みたいに職業生かしたバトルをしてもらった方がよっぽどワクワクしたと思う。序盤でいきなり主人公の動機付けが強烈に提示されるわけだけれども、その選択で彼女は「私が生き残る」を選んだわけだよね。それって彼女の行動に何らかのドラマをもたらしているのが普通だと思うんだけれども、そこら辺がわりとフツーに処理されていて「え?」となった。あとあそこであの選択を突きつけたキャラがフツーに出て来るかと思ったらそういうわけじゃないんだもんなあ。いや、あまりに当たり前のエンタメとして構えすぎかしら……?

バトルロワイヤルに大統領選を背後に敷いたストーリーだけれども、ライフル協会が背後に控えていると描写もはっきりされていて、いやーちょっとプロパガンダが強すぎません? それともアメリカに住んでるとこれだけわかりやすく人種の差が描かれて、右派の白人を悪し様に書くことが、フツーにエンタメとして受け入れられるような状況、ということだろうか? 「人を殺すこと」「その心理」を一方的に理解不可能なものとしか描かずに、不合理な仕組みを社会の中枢に据えて描いて、なおかつそれを勧善懲悪のエンタメに仕立て上げるのって、ちょっと構図が安易すぎて、オレは全く乗れないなあ……チョコバー大好き少女の全く無意味で過剰な熱演が、ホント悲しく思えてしまいますわ。

羊のうた

 

そういや途中で止まってたなーと思ってクソ久しぶりに読んだ。

まー今読み返すと多感な時期にこれをくらったらそりゃあ変な影響受けるよなーとは思う。ほとばしる厨二病感の中心に鎮座するヒロインがすげーし、その愁いを帯びた表情の説得力は今見ても強烈だなーと。そしてそれを支える精神性のヤバさが「あーやべー純度のものを見てしまった……」という感じ。劇物。

まー吸血鬼モノにはセックスの暗喩があるのは当然で、だから医者の「夢判断」からもあえて「性行為」が除いてあるワケなんだろうけれども、だったらもうちょいインセストタブーのヤバいところをゴリゴリ言って欲しかったかなー、とは思う。色々状況が合って出来事はあるんだけれども、姉弟の依存性がガンガン高まっていく感じにはあまり見えなかったというか……後半学校に行くことで彼女が幸せを獲得するというのは、ある意味で必要な展開だったのかもしれないけれども、やるんだったらもっとインセストタブーマシマシでふたりだけの世界を濃厚に描いてもらいたかったなーとか勝手なことを思う。最後も毒薬チューで死ぬとかそういうくらいで良いじゃん! みたいな。

まあ記憶喪失で終わらせるのはある意味優しさではあるけど、しかしなー、物語の都合の良い落とし所で妥協してしまっている感じはすげーあるよなーとは身勝手に思う。

 

 

我々の父親

https://www.netflix.com/title/81227735

何よりビビるのはSNSの存在だよな……アメリカという国家が自分のルーツにこだわる、みたいな話はまあ良く聞くんだが、しかし「自分のDNA検査の結果を誕生日プレゼントに送る」みたいな文化はマジで想像の斜め上を言っていた。プライバシーについてはきちんと扱われてはいるんだろうけれども、しかしそれにしたってそんなのを商売にしてSNSにしてスケールがある程度はある、というのはビビる。そしてそういうサービスが存在しなければ、この問題は浮上しなかったんだろうなーとも。

あと面白いのがFOXにタレ込んだところ。まー被害者の登場人物が大体白人キリスト教徒みたいだったのもあって、なるほどたれ込む先もFOXになるのね……という感じ。いやここら辺FOXの文化があんまりわかってないからナントモでもあるんだけれども、こないだFOXが舞台のセクハラ告発の映画もあったし、なるほど当然そういう機能も持つよなーテレビ局なんだし。

いやー、それにしても、なんで告発できないのか意味不明。っつーか、百万歩譲って、精子提供者が医者本人だったのは合ったとしても、「夫の精子を医者自身の精子にすり替えた」みたいなのはどー考えても犯罪行為だと思うんだけど。それってなんで問題になってないの? それさえも訴えて罪に問えないんだったら司法制度の欠陥にしか思えないよなー。

キミはだれ?チャーリー・ブラウン

tv.apple.com

スヌーピーはキャラクターとして知っているが、ピーナッツは観たことがないので、こんなところからはじめちゃって良いのだろうか……と思いながらも、AppleTVで観る作品がなかったので再生を開始したんだけれども、いやー、やっぱりこういう世界的なアイコンになっている作品ってのは、やっぱり語られるべきものがあるんだなーって感じ。スヌーピーが空を飛ぶ空想のシーンのアニメの描き方の丁寧さを観ただけで、あーなるほどそういう哲学が全体を貫いているのだな、というのがよくわかる。

それにしても、こういうコンプレックスや叙情性を根底に敷いた作品が、これだけの世界的なヒットになって、宇宙に打ち上げられるだけの人気を獲得しているってのは、スゴイよなあ。多様な人々がインタビューを受けて、それぞれの視点で作品を語っているわけだけれども、皆がそれぞれお気に入りのキャラクターに対して愛おしげに語ることがある、というのはすごいことだなあと思いましたよ。黒人を登場させることが挑戦だったとか、全然想像できなかったもんなー。

1回ちゃんとマンガ読んどかなきゃならんなーとは、結構まじめに思いました。