ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

「カルト」はすぐ隣に  オウムに引き寄せられた若者たち

 

いやー、自分がホスゲンガスで襲われて死にかけたことをサラッと書く江川紹子すげーなー。ジャーナリストとしてどこら辺がすごいのかというのあんまりよくわかってなく、なんか以前のTwitterで「にゃー」とか言ってた記憶しかないのだけれども、いやー、こりゃちょっと格が違うわねぇ。こんなんそりゃ、ネットの炎上くらいじゃびくともしないよなあ。でもって今も継続してまあ良い記事書きますよね。きちんと自分の経験を加味しつつ、若者向けに社会的意義のある本を書くとか、うーん、ちょっと株が上がりすぎだぜ……

内容的には、テロ事件の実行犯などが、どれだけ当たり前にどこにでもいる人間だったのかを説明しているわけだけれども、まあホント丁寧な仕事だよなあと言う感じ。その前にノストラダムスの大予言あたりから社会状況を書き起こして、世紀末の閉塞感みたいなところもちゃんと伝えていて、ほんと作品がどのように読まれるべきかを理解してる本だなーと思った。素晴らしい。っていうかオウムって80年代アメリカのスピリチュアルなブームからの流れでもあるんだなーみたいな風に頭の中でも流れを整理できて大変良かった。

しかしもう少し、カルトが具体的にどのような手口で人を引っ張り込んで、なぜ逃げられないのか……みたいなところに切迫感を感じたかったなあというのは正直ある。入ってからの葛藤みたいなのは大変共感できるんだけどなあ。大事なのは、入り口のところでどうやってズルズルとカルトに引きずり混まれていくかってところだと思うので。それとも入り口は、切迫感がないからこそ怖いものなのかしら……

 

 

野中広務 差別と権力

 

うーん面白かった。自分あまり政治に興味を持っていなくて、「毒まんじゅう」はだいぶ流行語になっていたけれども、アレって一体なんなの? っていうかそもそもこの人何なの? というレベル。だけれども、ナルホドこういう感じの立ち位置だったのね、と大変おもしろく読むことができた。でもそれに加えて、例えば「加藤の乱」とかどういう経緯でなにが起こってんのか全然わかんなかったんだけれども、この本の後半は野中広務の視点を通してあの時代の政局みたいなのをザラーっとさらっているところがあって、あーうんこれは大変楽しいぞ。

しかしすげー納得感のあったのが田中角栄との絡みで、たたき上げの人材が政治の世界を支えていたみたいなところ。権力を手中にしてからの善し悪しは当然あれど、ある意味でマイノリティの視点が日本の政治にきちんと影響力を及ぼしていたのだなー、というのがよくわかる。そうだよなー、弱者に寄り添う視点、ある意味での多様性が一応機能していたわけだよなー。

というような感想はありつつも、そもそも育った環境の問題でなんか差別というのがいまいちピンとこなかったんだけれども、そこら辺の生っぽさを急に鋭い覚悟で突いてくる佐藤優の巻末の対談がちょっとすごすぎた。あのレベルの読み解きをされちゃうとちょっとぐうの音も出ないなー。いや、もうあの対談に全部持って行かれた感じ。そのくらいの衝撃がありました。

13日の金曜日

 

13日の金曜日(1980) (字幕版)

13日の金曜日(1980) (字幕版)

  • ベッツィ・パルマー
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初めて見た。もちろんNetflixの「僕らを作った映画たち」のSeason3で入ったから。

噂には聞いていたけど、なんとなく知ってるオレたちのジェイソンは出てこないんだなー。でも「フレディvsジェイソン」は先に見てたから、「あ! この場所知ってる!」とはなった。逆順で原典に触れることもまあまああるよね。

内容的にはまあ殺人鬼の正体が面白すぎるというか、「え? それさすがに無理がない?」という感じ。後半のキャットファイトはどう考えても笑っちゃうよなー。いや、あの殺人鬼がそれまでの人間殺し回るのは無理でしょ。ってか車に乗って登場する意味もわかんねーよなー。脚本はさすがに雑。

それでもまあ殺し方の見え方が良ければ良いのだろうなあ、というのはあり、やっぱり下から喉を突き刺されるシーンとかは大変ショッキングで良い。っていうかケヴィン・ベーコンなのね。下積みで結構過去の名作的なものに出てるんだなーと感心。

あとはやっぱりラストシーンだよなあ。あそこはハイスピードカメラで狙っていたけれども、OPの襲撃とか殺人鬼の撃退とか、スローモーションがヤケに印象に残る作品でもある。

あーそうだ、あとテーマ曲含めてやっぱり「サイコ」の影響ってでかいよね多分。ジェイソンが憑依する超常現象チックなところもやっぱり「サイコ」があったからだろうし……でもそうやって考えると、ラストで「やっぱり超常現象が起こる」というのは衝撃の展開だったんだなあ。なるほど。

誘拐犯

 

雰囲気はあるけどわかんねーなこれ……全体的にお話がよーわからん。わからせようともしてねー感じがするけれども。

とりあえず素人のはずの主人公側二人が強すぎて笑った。ベニチオ・デル・トロだからまー説得力は出ちゃうけどさー、なんなのこの人たち? OPでボコられて情けない姿さらして、その後ゲイっぽいニュアンスを見せておいて、モノローグもインであーこいつらは社会の爪弾きであることを示しておいて、きっとしょうもない誘拐が行われるんだろうなあと思ったら、なんでこいつらこんなに強いの? まさかここまでガンガン戦える奴らだとは思ってないじゃん。銃器も死ぬほど持ってるしさあ、そういう映画だったのこれ? 車を盗んでの移動が当たり前の状況で、ああいう武器ってふつーに調達できるのかしら? メキシコ。

印象に残るのはやっぱり序盤のカーチェイスで、そうだよねえ車で単体で相手を捕まえるのって本来結構難しいよねえというのを改めて思わされるし、ラストのねずみ取り状況もなかなか気が利いている。お互いにお互いの情報に気づいてるところとか、なかなかキャラ立てとして良い感じだし、こういう地味なところのアイディアは良いんだよなあ。

あ、あとどうでも良いけど途中のビデオで早速「ダーティ・ダンシング」が流れてて「妊娠繋がりか!!」とすぐにピンと来れたのはよかった。文脈の蓄積。

7500

 

7500

7500

  • ジョセフ・ゴードン=レヴィット
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序盤の離陸の準備からたっぷりやって、あーこれはなかなかちゃんと取材してそうって感じの内容で大変興味深かった。そうかーそういう風に飛行機って空を飛んでるんだね、というのが体感的にわかってとても良い。勉強になる。でで、そういう細部がきちんと描かれているものだから、まあきちんとトラブルに臨場感があって良い。

一方で、ストーリーはある種の紋切り型というか、意外性がなくハイハイそういう感じになりますよね、という予測の範囲内でお話が進んでいくので、ちょっと肩透かしの部分はある。特に後半はあまりストーリーの展開が見られず、「そういうふうに解決するしかないよなー」と思ったところに落ちるので、もう少しなんとかならなかったのかなーと言う感じです。

しかしまあ、途中で心の交感があってフォローされるとは言え、イスラム教徒が「説明の要らない狂信者」として描かれるのはビックリするよなーと思う。移民受け入れをガンガンやってるドイツが舞台で、主人公がドイツ語の聞き取りがうまくないアメリカ人で、妻がトルコ人でイスラム教徒(?)で、みたいな状況設定はありつつも、物語としては「わけのわからない理屈で人の命を奪う悪人イスラム教徒」みたいな描き方にどうしてもなってしまうわけで、それ本当にいいのかいオイ、という感じ方をしてしまう。いやー、最後に出血を止める良いアメリカ人を描いて罪悪感を軽くしてる場合じゃないでしょー、とは思うんだけれどもなー。そこら辺の倫理観はフィクションといえども大変難しいなーと思わされる作品ではありました。

ワールド・イズ・ノット・イナフ

 

うーんマンネリ……このマンネリ感……今まで何とか色々新機軸を探そうとは思っていたけれども、そろそろ限界か……

OPは大変よろしく、石油テーマを踏まえながらああいう映像を作ったのはとても良いと思う。あとパイプラインは何度も出てきたけれども、意外とここまでガッツリ石油利権を絡めた話ってなかった? かもしれない?

ただまあ石油ってリアリティがあるから、そこに色々理屈をつけようとしたところで、どうしてもスケール感が足りねーよなーとは思う。結局やることは黒海の海峡閉鎖だもんなあ。ロシアとかはだいぶ怒るだろうけれども、世界規模の問題にはならなそうでどうも。まあそこら辺は、かねてからの「悪役の設定の難しさ」に繋がるのか。でも全体的にリアリティ路線に寄るのは時代的にも仕方のないところがあるんだろうな。

ラストの潜水艦アクションは、「なんだよこの内装頭おかしいだろ」と思ったらそれが縦になって生きるというどんでん返しがあり、まあなんだかんだ楽しかった。なんでそこを繋ぐとそうやって出てくるの? とかちょっと理屈が良くわかんないけど、まあ細かいことを言わせないだけのマンネリ感の打開はあってよろしい。

リマスター: ボブ・マーリー

www.netflix.com

先日ウガンダのボビ・ワインのドキュメンタリーが面白かったんだけれども、音楽があまりにも楽天的に聞こえて、レゲエってそういうもんなの? と思って見始めたんだけれども、まあ普通にシリアスにやるよねそうよね、という感じであった。そもそもボブ・マーリーとかレゲエとかあんまりよくわかっていないし、ラスタファリズムとかも全く知識がなかったりするので、そういう自分にはちょっと難しいドキュメンタリーではあった。もう少したっぷり音楽も聞かせてもらいたかったかなーとは思う。

のだけれども、ジャマイカの方はまあまあちょうどイイかなあというタイミングではあって、あーそうかーCIAが暗躍してキューバとの対立があってドラッグをカリブ海で高速船で運んで……みたいな状況は、なるほどそういうタイミングか……という納得感があった。っていうかホント、こういうところに武器をブッ混むアメリカの政策はひでーなー。

しかしこういう活動をしていて音楽で自分が中立であることを訴える、というのもなかなか面白いなーと思った。こういう活動って普通反権力とか自分の政治色を鮮明にすることに意味があると思うんだけれども、ひたすら平和の象徴みたいになるのはうーん本当にそんな立ち位置有り得るのか? という感じ。まああらゆる政府に反対していた、という話もあったから、政治そのものを忌避していたみたいなことなのかしらねえ……ちょっとわからない。