ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか

 

ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか (光文社新書)

ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか (光文社新書)

 

インターネットの登場によって放送や出版の敷居が下がり、それまで技術的障壁によって保たれていたマスメディアの品質が管理されなくなるんだろうなーというのはなんとなーく想像してた。マスゴミゆわれて金銭的な利益追求の側面ばかりがクローズアップされてる現状だけど、電波法やらなんやらで一応公共的な責任は負ってる建前になってるわけで、んじゃあ新たにインターネットで活動しているあれやこれやの企業の公共性は誰がチェックするの? PVって数字がリアルタイムに返ってくる世の中だとより利潤の追求が激化するよねーその背後に企業の思想はないよね。ってかそもそも個人と企業の境目も曖昧になってくるよねーこれだけ技術が進歩すると。そんな時代にニュースってどう信頼性を担保するの?

みたいな疑問に大いに答えてくれているのがこの本。正直な所、オレは大体RSSリーダー使っててヤフーでニュースをチェックしていなかったので、イマイチピンと来ないところもあるのだけれども、まずはともかくネットでニュースを配信する立場の人々が公共性に対してかなり自覚的であったのが驚き。まあ考えてみれば、最初は新聞社出身の人間が中心となって取り組むことになるわけだし、すると媒体の違いから自分の立ち位置を相対化せざるを得ないわけで、そりゃ自覚的になるよなーとは思うんだけど、でもフツーにニュースを見てる側とは全く覚悟が違ったなー。やっぱりプロだなー。まあ本を読むと色々問題があるのはわかるのだけれども、とにかく公共性についての視点があったのが大変面白かった。

そこら辺でいうとスマートニュースとかもはっきり言って全く信頼してなくて、アルゴリズムによって選択されたニュースが自分に都合の良さ過ぎるものになったらそれはそれで問題で、そもそもどこの誰ともわからない新興企業のプログラムに自分の仕入れる情報を預けるのってマジで怖いじゃないですか。だからすげえうさんくせーよなーとか思ってたんだけど、逆にそこら辺の問題意識から立ち上がったサービス、という話を聞いてなるほどなーと納得する。いやそんな簡単に納得しちゃってチョロすぎなのかしらとも思うけど、思うけど、でもまああそこまではっきり自分の立ち位置を宣言されちゃうとなるほどなー好感持てるなーとは思っちゃうよね。

あとはなんといっても日経。なんであんなに技術が強いの? とかスライド見ながら普通に疑問だったんだけど、その理由がバッチリ辿れる書き方で大変腑に落ちる。自らの特性をきちんと把握すれば有料会員でジャーナリズムを成立させることもちゃんとできるってのは理屈でいうとその通りっぽいよなあとは思うんだけど実践するとなるとめっちゃ大変じゃないですか。でもそこら辺をテクノロジーを味方につけてガツンとやられちゃうと、もう参りましたって感じですね。っていうかFTのアレもそこら辺とバッチリ繋がってたんだなー。いやーほんと目からウロコ。

あとラストのインタビューが強い。切り込み隊長とBuzzFeedの記者と文春の編集長ってさ……もうそれだけで満腹ですよ。