すげーなー。大坂なおみの問題があってから企画されたんだろうか? いやそれにしては早すぎるよな。こういうフットワークの軽さとか時事問題をきちんと追っていくのってほんとうにNetflix素晴らしいなあと思う。アスリートのメンタルヘルスの問題とか言われても、「まあ大変だろうねえ」って漠然とした想像しかできないわけじゃないですか。選手のドキュメンタリーを見たところで、直接「スポンサーとの関係」とか想像できるはずもなく……そもそも棄権などの行為を行った選手を「好意的に」報道することってちょっと難しく、「おさわがせ」だの「身勝手」だの冠がついちゃいがちだよなー。そういう意味で、選手に寄り添ってこういう作品を撮った意味ってのはめちゃくちゃでけーなーと思いました。
残念なのはテニスに対しての基礎知識がそんなになかったことで、これちょっとでも状況を知っていたらめちゃくちゃ興奮する出来事だよなあ。一念発起でそこまで状況がかわることある? 外見的にも減量とかで変化がバッチリ分かるわけだよね。いやあ、すごいなあ。
そして重要なのは復帰の物語、そこに対しての周囲の理解みたいなプロセスがきちんと描かれていること。自らの弱さをきちんと対象化して言語化して共有して行くことの重要性や、こういう問題は治るのではなくて自分自身の一部としてうまく付き合っていかなければならないものであること、などなどがきちんと描かれていて、大変良いドキュメンタリーだと思いました。