ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

不寛容論: アメリカが生んだ「共存」の哲学

 

わははは、おもしれー。今の時代にこういう本が出るの本当に納得感がありますね。

とにかく面白かったのはアメリカ合衆国の政治とキリスト教の関係が、移民の事情を軸に解説されていたことで、これまで「アメリカって国の宗教と政治の関係が良くわかんねーなー」と思っていた所のミッシングリンクがバッチリ繋がった感じがヤバい。やや本論とは違うと思うんだけれども、そうか政教分離っていうのはそういう背景で生まれて、だからアメリカが民主主義の代名詞みたいに言われるのね、みたいなのがすごくよくわかる。アメリカの映画みてても「なんでここで政治に宗教が絡んでくるの?」みたいなことばっかりだもんなー。

あとどうしたって面白いのは中世のキリスト教の考え方が触れられているパートで、借金をどのように正当化するのかみたいなロジックが滑稽すぎて大変楽しい。でもああいうロジックをクソ真面目に組み立てるという誠実さは、やはりキリスト教信仰と深く関連しているんだろうなあ。何かようやく社会において宗教がどのような役割を果たしているのかが掴めてきたような気がしている。

しかし同時に、宗教が身近に感じられないからか、異なる他者を排斥するロジックがいまいちわかんなくもあるんだよなー。特に後半、「異なる信仰をもつこと」と「嫌悪」が結構ごったになっているような印象があって、えーそこ一緒にしてOKなの? というのは正直思う。自分はどっちかというとあとがきに触れられていた「他者の尊重」みたいな概念で追いかけていたので、後半そこら辺がごちゃごちゃになってちょっとだけ混乱した。