アンディ・ウォーホルの日記を元に作られたドキュメンタリー。
ドキュメンタリー内でも強調されているけれども、徹底的に自己プロデュースの人だったわけで、その彼の日記によって私的な側面を……と思いきや、実はその日記さえも自己プロデュースの延長線上であることがわかる作りになっていて、だいぶ納得感がある。
だから勢いドキュメンタリーは彼の本当に私的な側面、性的指向を中心に進んでいくわけだけれども、なんというか、どうしてもその興味の中心を性生活に引っ張っていくのは下世話だけどやはり吸引力があり、その果てにパートナーがエイズで亡くなるという結末が待っていて……長いドキュメンタリーではあるけれども、そこら辺の構成はしっかりしてる感じなんだなあ今思い返すと。
それにしても生前の彼の評価というのが今の認識とギャップがあって面白い。アレだけやってれば普通自己顕示欲が満たされているものだとばかり思っていたけれども、そこはコンプレックスだったのだなあ。というか、アレだけ長年アートの世界で活躍して、今もちょくちょくNYのアイコンとして映画に出てくる人が、そこら辺に鬱屈抱えた生涯を送っていた、というのは全く想像がつかなかった。
あと思ったより作品についての評価が薄味だったのが意外だったのだけれども、後半の「THE BIG C」についての考察は厚めで、そこら辺も「現代アート史におけるアンディ・ウォーホルの意味」よりも「プライベートのアンディ・ウォーホル」を掘り起こすことが目的なんだろうなー。