なんやこれメキシコの話なのか。コロニア・ローマ。文化に全く無知なオレは「変だなあなんか言葉もアレだし全然ローマっぽくないよなあ」と思って見ていたのだった。っていうかなんでメキシコなのにローマなんだ。ヨークやらヴァージニアやらならわかるけどなんでスペイン占領下で? メキシコシティでしょ? うーむ……
とまあそっちの疑問はおいといて、映画ですが、えーと、映画ですね。冒頭の長回しから映画やるぞーという気概が満載。パンで長回しで階調豊かなモノクロ画像は、時代の空気感を全体にたたえて、いやー浸ってしまいますね。
特に水が印象に残る作品でもありまして、OPの美しい絵からしてもう溜息が漏れちまいます。ってか水に映る飛行機とか見るとワイはどうしても押井守脳になってしまうんや……いやでもモノクロで見る水表現に新鮮な驚きがあったのは事実です。破水とかホントすごい恐ろしさがあった。
あとサムネにもなってるクライマックスの溺れ子供助けるシーンですが、『ノスタルジア』とか思い出される往復ドリー長回しにバッチリ夕陽まで重ねちゃって、いやーホント良く撮ったなーという感じ。カラーだったらちょっとつくりすぎた絵になっちゃってたのかなーなんて思いながら。
しかしなー、アルフォンソ・キュアロン監督はこういう映画撮るんだなー。こういうの撮れるからああいうエンタメに寄せた作品も撮れるんだろうなー。めちゃくちゃ自伝的なのに日常の中でちゃんと細やかなドラマになってて感情揺さぶっちゃうんだもんなー。長回しもちゃんと機能しちゃうんだもんなー。すごいなー。