ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

人生タクシー

 

人生タクシー [DVD]

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おーメタいメタい。POV作品で車載カメラなんか含めていかにもモキュメンタリーチックにお話が始まるものの、そのてんこ盛りのストーリーは明らかにドラマのつくりで、しかも乗客が運転手に「あなた映画監督ですよね」「これも映画の撮影でしょう?」みたいに自己言及をして、作品全体のリアリティを激しく揺さぶる。現実と虚構の狭間をフラフラと歩く作品の空気はめちゃくちゃ奇妙で、うーんこれどうやって見れば良いんだ? と混乱している間もストーリーはドンドン進み、挙げ句あんまりタクシーとかどうでもよくなって知り合い同士の話になってって、でも友人の告白やらお金拾うエピソード辺りでどうもここら辺の話をしたいらしいぞ……と思い始めたところで突然の盗み&ブラックアウトで、監督から「なぜこの作品がこのようなスタイルで表現されなければならなかったか」の注釈が出てエンド。いやーメタい。大変頭の良い作品ですねコレ。

しかし一番印象に残ったのは監督の内面の表現で、普通こういう立場の人には善人としての振る舞いを予想してしまうのだけれども、そこが結構微妙に見えちゃうのが面白いなあ。おばちゃんと金魚のタクシー乗り換えろエピソードとか、いやまあ姪との連絡が取れないからしょうがないのだけれども、しかし「その程度の用事だったらまあ緊急じゃねえよな」という感じもあって微笑ましくもあり。そして現れるおしゃまさんな姪との無言の睨み合いである。たまらん。

あと自分、ホント最近こういうPOVやらモキュメンタリーやらの作品が好きで参るなあ。低予算でも制作可能で、表現することそのものに対しての思索がストレートに乗っちゃうからだろうなあ。