ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

マ・レイニーのブラックボトム

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やっぱりこれ、戯曲原作だよね。舞台で見たらますます面白そうだなあ、と思う。ただまあ映画で見るとやっぱりちょっと物足りない感じはあって、この気まずい空間を人間として共有することがきっと大事なんだろうなあ。モキュメンタリーの形式は、きっとその空気の共有をうまく用いた表現なのかしらね。

トランペットの人の芝居には二回山場があるけれども、神の信仰というテーマは結構見聞きしているものなので、そんなに新鮮味がない。それでもここまで迫るものがあるというのは、やはりそれが現実にあった黒人への差別をしっかり裏打ちしているのが感じられるからだよなあ。なかなか開かない扉や靴が破局のきっかけになるところちとか、色々暗喩に充ちてはいるけれども、どれも黒人の置かれた状況を皮肉に表現しているわけで。で、極めつけはラストの文化盗用的なレコーディングなワケだ。視聴者としては、結構場をコーディネートしようと苦労しているあの白人視点に共感しがちだとは思うんだけれども、そこら辺も含めてなかなか捻った作品だよなあ。

しかしまあ、そういう白人の金儲けの手段として使われる楽曲のレコーディングに、吃音の青年をあてがう図式はなかなか面白い。利用され搾取される状況の中で、権利を主張して自らに誇りを持ってゆく過程を、肯定的に描くんだなあ。いやはや面白い。