『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』を読み終えてから文明復興づいていて、その流れで呼んだ本。買った直後に気付いたんだけど、あー、この人ヤギになってイグノーベル賞とった人なのね。いやあ納得。
文章自体はかなりウィットに富んでいて、その語り口だけでめちゃくちゃ面白い。最初のルール作りの下りなんか、その作者のテキトーさも相まってワクワクが止まらない。いやあ、ああいう気の抜けた文章を書けたらなあ、って正直嫉妬する。
一方肝心の内容は結構期待とは違っていて、だいぶガッカリさせられた。自分としてはひとつの部品を作るためにどういった道具が必要で、その道具を作るためにはどのような道具が必要で、という技術のツリーみたいなのが可視化される展開を期待していたのだけれども、この本はその遥か手前の「原材料集め」ばっかりに注力して、そこから先の加工技術についてはワリと色んなものを諦めてショートカットしてしまう。だから大学生の原材料紹介の冒険記、みたいになっていて、いやまあそれはそれで面白いんだけどさあ。レンジで鉄を取り出したいだけだったら、「怪しい伝説」とかむしろそっちの出番なのではなかろーか。
あとラストで突然公害問題とかを持ち出してコストの問題で異議を申し立てるとかお決まりのお行儀の良いまとめ方に入っていて最高に呆れる。入り方の視点が最高に奇妙で面白かったのに、行き着く先はそんなつまらない当たり前の結論とか……あまりに雑すぎて別人が書いたんじゃないかと思ったよ。