ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉

 

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

 

うーん……これは……大河だ……

いやー、このレベルの作家だから楽しく書いてくれれば全然いいのかもしれないけど、この分量読んだにしては面白味が薄かったなあというのが正直なところかなあ。色んな立場の人間が色んな行動原理で動いてはいるものの、それが群像劇としてなにを浮かび上がらせているかというと、もうちょっとこうやりようがあったんじゃないのかしら。というかラストのどんでん返しが、ただやりたかっただけというか、あーそうですかそういうのを隠してたんですね? で? という感じになってしまったのが大変辛かった。構造があまりにも単純化されすぎていて、オレが期待していたギリギリした折衝含みの話にはなってなかったなーと。もちろん新天地で新たな政治とか組織とかの構造をエンタメとして描くのが難しいのはわかる。わかるんだがなー、やっぱりなー。

しかしじゃあどうすれば自分が納得いったのかというと、うーんなんなんだろう。ひとつには世界観の彫り込みというか、各々のキャラクターの立ち位置を引き立てる小道具をもうちょっと創って欲しかったのかもしれない。立場がこうだから細部はみんな各々補完してくれよな、的な書き方に感じてしまった。アイディアがスマートにギミック化されて物語のパーツとして機能するだけじゃなくて、世界観から派生した神話やら習慣やら、そういう一見無駄な細部をもうちょっと味わいたかったのかもなあ、とも思う。