ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ミケランジェロ・プロジェクト

 

ミケランジェロ・プロジェクト [Blu-ray]

ミケランジェロ・プロジェクト [Blu-ray]

 

豪華俳優陣! なのに内容はクソダルい! なんという俳優の無駄遣い! ビル・マーレイとジョン・グッドマン連れ出してきてこれとか、ちょっとジョージ・クルーニーさんもうちょっとちゃんとした映画撮って下さいよ!

まあその、テーマとして大変ワクワクドキドキなのはわかるんですよ。ナチスってわかりやすい敵がドーンと出てきて、人類の至宝である美術品を守るという建前は無敵で強くて、そこにUSAの秘密工作員たちが乗り込んじゃって命懸けのアクションでしょ? 基本設定で勝ちって感じよね。

なのになんでこんなにどーでもいいんだろうなあ。個別のエピソードはまあまあ悪くないなーというのも結構あったんだけど。まあたくさんキャラがいすぎてお話の筋が全然追えなかったのが良くないんだろーなー。それぞれが特技を用いて困難を乗り切る、みたいな筋書きも少なすぎたしさあ。

あとどうせやるんだったらもうちょっと名画を下敷きにして気の利いたやり取りとかあってもいいよね。「ハイル・ヒトラー!!」って子供を使って嘘がばれるのは大変良くて感心したけど、ロスチャイルドもうんうんなるほどねって思ったけど、あそこはもうちょっと芸術作品のウンチクで勝負するところじゃなかったのかしら。

鉄砲玉の美学

 

鉄砲玉の美学

鉄砲玉の美学

 

あ、一瞬渡哲也かと思ったら違うのか。弟の方か。

OPからセルジオ・レオーネかって感じの口元アップ映像が行動経済成長期の社会情勢を細切れにガンガン流れていくのは大変よろしい。楽曲も気合いが漲ってて最高ですね。これが頭脳警察……!

しかしまあお兄ちゃんもそうだけど、弟も小物っぽい男を演じさせるとさすがだなあって感じがするなあ。女に暴力を振るって金をムシってバクチして酒を飲んで……なんだけれどもそれがいちいち全然格好良くないのが最高ですね。っていうか宮崎に飛んでから「おいおいこの鉄砲玉本当に自分の立場弁えてんの?」って不安になるくらいだもんなあ。で、実際全然弁えてないんだけど。

まともな死に場も与えられず、行き当たりばったりで警官に発砲しちゃう辺りとかもマジで最高ですね。で、そっからどうやって映画を閉じるの……? と思ったら、車のフレームを効果的に使った死に際の長回しで思わず見入らされてしまう。ナイスな芝居。

ところがアレで終わらせないのはちょっと笑っちゃったよ。まあああいうきれいな落とし方にするのはわからんでもないんだけどさー、さすがにあの血で観光バスに乗るのは無理でしょ。

あ、あと宮崎が新婚旅行で一大観光地になってた空気が見えたのも良かった。飛行機はまだプロペラだったのね……

ミスターブラフマン

 

[まとめ買い] ミスターブラフマン

[まとめ買い] ミスターブラフマン

 

これ竹書房から途中で出なくなってたのか。当時はちょうど麻雀熱が高くて近代麻雀もガンガン読んでたんで思わず買ってしまいましたよ。

でまあ久々に読んだけどやっぱり面白いねえ。まあ出オチっぽく見えて実際インパクトが相当にあるんだけれども、まあ普通にストーリーが読ませてとてもいいんですよ。毎回似たような展開になってしまいそうな麻雀の中身も、まあそれ単体で結構ちゃんと面白かったりするし。あとは麻雀以外の読み物としての工夫が良いですよね。ストーリー展開も毎回色々緩急がついてて私大好きでございます。

あとジョジョに出てくる女性キャラみたいな外見のお姉さんね、まあとても良いですよね。どーせだったらもっとガンガンやってくれても良いくらい。しかしまあほんとスタイルが良いというか、オレ普段マンガ読んでてあんまりこういうこと思わないんだけど、エロい体つきしてますねー。ってかやっぱ絵がすごいよね。なんかボンヤリ絵を眺めてるだけでも全然面白い。

懐かしいなーって軽く読み始めたら一気に読了してた。最近ちょっとカロリー高い野ばっかり読んでたんで、

たまにはこういうマンガもいいよなー。

メディアが沈黙する日

www.netflix.com

ゴーカーって知らなかったけど、あー、ギズモードとかやってるところですか。あの正直言ってギズモードってヤバくないですか? メディアの生命線って真実を伝えることで、オレの認識だとギズモードって真偽を問わず煽って不正確な情報を拡散しているメディアっぽく感じてるんですけど。前は日本のギズモードで煽り口調の記事が出る度に、とりあえず原文チェックしてどこに作意が入ったかをチェックするクセが染みついてたんですけど。そういう態度の報道がメディアの一員としてありえると認識されたからこそ、現状のマスコミへの不信とかフェイクニュースという糾弾への共感とかが生まれたように感じているんですが、そこら辺ちょっとこのドキュメンタリーは甘くないですか? っつーかアメリカのゴーカーは日本のギズモードと全然雰囲気違って風刺はするけど真実を伝えることにはきちんとこだわっているとかそういう報道の姿勢なんですか? だったら日本語版にもうちょっとなんとかして欲しかったなあ……(今はギズモード読んでないので最近は知らんけど)。

映画のつくりとしてはもう大きく破綻しているようにしか思えなくて、前半の公人のプライベート領域をどこまで認めるかという議題と、後半の公人の公的な領域についてメディアがどこまで権利を行使するかという議題は、もう全くレベルが違うというか、同じ手つきで扱っちゃまずい題材でしょうよ。明らかに前者は権利と権利が対立していく中でどちらをどれだけ認めるかという内容で、公人といえどもセックスのような私的な領域は保護されるべき、というのはむしろ理解できるでしょ。それをこんな雑な筋書きで繋いじゃったら、逆に雑なプロパガンダの意図を露呈しちゃうだけじゃないですか。あと普通に考えて自分の性的嗜好を公開するか非公開にするかどうかは尊重されるべき権利だし、記者が個人的にどう思おうがどれだけ経済的に成功した富豪であろうが、それを暴露するなんて全く公共の利益に資するとは思えないですね。

あとこの映画、普通にアメリカの司法制度の方が問題に思えるのにそこに言及されてないのはなんでですかね? 富豪が支援しようがしまいが裁判によってプライバシーの侵害でメディアが潰れるなら、それって誰が支援したとか関係無しに、その賠償額が可能なことがメディアを萎縮させるんじゃないですか? うーん、アメリカはよくわからんなー。

100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか

 

100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか

100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか

 

特に序盤の設問は結構自分の中で考えたことがある問題ばかりでビックリした。まあ元になる思考実験のアイディアを知ってるものが結構あったし、大体どこで判断に線引きするかとかあらかじめ自分の中で言語化してあって、んーこういうことって普通生きててみんな考えないの? とむしろ疑問に思う。

まーそもそも人間が手に入れた言語だの論理だの世界のモデルだのは、人間が生存競争の中を生き残るために便宜的に手に入れたものでしかなくて、それが客観的な世界を正確に指し示している保証はどこにもないよねー。『なぜ脳はアートがわかるのか ―現代美術史から学ぶ脳科学入門―』で、アプリオリの感覚がシナプスの構造にDNAレベルで組み込まれてるんじゃねーのみたいなことも書いてあった気がするけど、つまりはそういうことで。科学が進化して人間という概念や社会のモデルも変わりつつあるんだから、それまでの言語が機能不全を起こすのは当然だよなーとしか思わない。

面白かったのはちょくちょく出てくる「神」の概念で、自分からするともう全くなんで神なんて概念のためにそんなに真剣に悩むのかがわかんない。よっぽどヨーロッパ的な思考の根っこには根付いてんだなーと思うし、映画なんかではしょっちゅう神の存在が問いかけの真ん中にあったりしてやっぱわかんねーよなーと思うし、しかしそういう神への思考やら信頼やらがあるからこそ人権やら公共やらへの意識が高いのかしらと思ったりもする。っていうか多分そこが問題なんだろうなー。

ビハインド・ザ・コーヴ ~捕鯨問題の謎に迫る~

 

いや、まだ『ザ・コーヴ』はみてないんだけどさあ……ひどい映画を見てしまった、という感じ。アカデミー賞獲った作品に対して、こういうやり方で反論するのをみると、もう暗澹たる気持ちになります。

っていうかさー、最後にガンガン「プロパガンダ反対」みたいなこと言ってるけど、こんなに稚拙なプロパガンダ編集あります? 別にピンが合ってないとか白飛びしてるとかカメラが傾きすぎとかブツ撮りちゃんとやれとかそういうのはどーでもいいんだけどさ……この脚本と編集の稚拙さはドキュメンタリーとして致命的でしょ。なんでプロパガンダにプロパガンダで対抗しているのよ……なんで「いかに相手が事実をねじ曲げてドラマティックに演出しているか」って批判のために、ニクソン引っ張り出したり明らかに普遍性のない活動家だのを持ち出して陰謀論を訴えちゃうのよ。っていうか一番気をつけなきゃならないそのストーリーの展開が雑すぎるでしょ。最悪。

挙げ句日本の論拠の一番根っこにあるのは子供の給食とか、なんでそこで「文化の尊重」「食の権利」みたいな人権の問題に持っていかないの? 映画内で散々忌避してきた、日本人ってディベートできずに情緒で同調圧力作って行くんですねって悪しき見本になっちゃってるじゃないですか。

一番ヤバいのは監督との対面インタビューで、あれもう明らかに自分と価値観の異なる相手を糾弾するつもりがダダ漏れじゃないですか。ああいう「自分たちが正義である」って立場から撮られた作品ってもう全く信用できないですよ。こういう作品は、自分たちにも理解できない相手の主張をきちんと拾い出して、対立のメカニズムそのものを引っ張り出さなきゃならないヤツでしょ。

いやあ、この題材で、今世界で文化の衝突と分断がどんな問題を起こしているかの分析をほっぽり投げて、「ベトナム戦争」だの「日本赤軍」だの単語が飛び交って「戦争のない世界を……」みたいな締め方をするのは、ちょっと私には全く理解できませんね。これを(稚拙な)プロパガンダって言わずしてなんと言えばいいのか……って感じ。

フェルメールの謎 ~ティムの名画再現プロジェクト~

 

おもしれー!! フェルメールを漁ろうと思って見始めたらティム・ジェニソンの変態っぷりにもうゾッコンだよ!! いやー、こういうのが天才なんだろうな……

まーとにかく映像のソフトウェアで成功したエンジニアが「フェルメールはきっと光学的な技術を使って絵画を作っていたはず。じゃないとあの色彩の再現率はあり得ない」とかいう認識から過去の名画を再現しようとか考えてる時点で最高に意味不明。なんだけれども、そこで「確かにこれを思いついてたらこうやって描いてた可能性あるな」って凄まじい説得力の製作法を思いついてしまうのが圧巻。もう絵に描いたような「コロンブスの卵的発想」で、天才技術者って感じがヤバい。これ特許とったほうがいいでしょマジで。

ってまあ、この時点でもうだいぶ私ティムに心酔しているのですが、そこから実際にフェルメールの技法で絵を描くために部屋を再現してしまうのには度肝を抜かれました。すごい。信じられない。金持ちの道楽ここに極まれりって感じ。だって現地まで行ってフェルメールの作業場を見学しつつ倉庫にDIYでその部屋再現しちゃうんだよ? 絵画の世界を3Dでモデリングして採寸するところとかから始めるんだよ? イスとか同じ形のものはないからって旋盤で作っちゃったりするんだよ? 控えめに言ってあたまおかしくない? 専門家に聞いて当時の顔料を再現するとかは予想してたけどさー、まさかここまで手間暇掛けるとか全く想像もしてなかった。すごすぎる。

でもでもでも、本当にティムがすごいのはここから先の忍耐力なんだよなあ……いやー、ほんと尊敬しますわティム・ジェニソン。感動。

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