ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ビハインド・ザ・コーヴ ~捕鯨問題の謎に迫る~

 

いや、まだ『ザ・コーヴ』はみてないんだけどさあ……ひどい映画を見てしまった、という感じ。アカデミー賞獲った作品に対して、こういうやり方で反論するのをみると、もう暗澹たる気持ちになります。

っていうかさー、最後にガンガン「プロパガンダ反対」みたいなこと言ってるけど、こんなに稚拙なプロパガンダ編集あります? 別にピンが合ってないとか白飛びしてるとかカメラが傾きすぎとかブツ撮りちゃんとやれとかそういうのはどーでもいいんだけどさ……この脚本と編集の稚拙さはドキュメンタリーとして致命的でしょ。なんでプロパガンダにプロパガンダで対抗しているのよ……なんで「いかに相手が事実をねじ曲げてドラマティックに演出しているか」って批判のために、ニクソン引っ張り出したり明らかに普遍性のない活動家だのを持ち出して陰謀論を訴えちゃうのよ。っていうか一番気をつけなきゃならないそのストーリーの展開が雑すぎるでしょ。最悪。

挙げ句日本の論拠の一番根っこにあるのは子供の給食とか、なんでそこで「文化の尊重」「食の権利」みたいな人権の問題に持っていかないの? 映画内で散々忌避してきた、日本人ってディベートできずに情緒で同調圧力作って行くんですねって悪しき見本になっちゃってるじゃないですか。

一番ヤバいのは監督との対面インタビューで、あれもう明らかに自分と価値観の異なる相手を糾弾するつもりがダダ漏れじゃないですか。ああいう「自分たちが正義である」って立場から撮られた作品ってもう全く信用できないですよ。こういう作品は、自分たちにも理解できない相手の主張をきちんと拾い出して、対立のメカニズムそのものを引っ張り出さなきゃならないヤツでしょ。

いやあ、この題材で、今世界で文化の衝突と分断がどんな問題を起こしているかの分析をほっぽり投げて、「ベトナム戦争」だの「日本赤軍」だの単語が飛び交って「戦争のない世界を……」みたいな締め方をするのは、ちょっと私には全く理解できませんね。これを(稚拙な)プロパガンダって言わずしてなんと言えばいいのか……って感じ。