マ・ドンソクが飛ばしすぎで、最初からどっちがヤクザなのかわからずに混乱する。あんなスーツ着て登場したらそりゃまあ混乱するでしょ……
いやまあ当たり前なんだけれども、マ・ドンソクって普通に強そうで、負けるイメージが全然湧かないのよね。だからどうやって敵を立てるかって視点で見ちゃうんだけれども、この映画の場合はそこが結構イイカンジに描けていて良いのではないかと思った。単に乱暴であるとか強いとかではなくて、部下を窘めるような器のでかさがあったり、様々な有力者に渡りをつけて金を引き出す度胸があったり、しかしそれでいて故郷を離れて何をするかわからない底知れなさがあったり、大変良い落とし所の悪役という感じ。トドメとばかりに子どもに手を出すのも、ストーリー上大変良く機能しているよなあ。まあ、ラストの空港の格闘がマ・ドンソクオンステージになっちゃって、勝ち目全然ないように見えるのは、構成上も正しいっちゃ正しいしねえ。
ストーリーは、事実に根ざしているのもあって、そこまで捻ってあるわけじゃないと思うけれども、この映画はこのくらいストレートな話の筋がむしろ合っている気がするなあ、と思いました。
しかし、鍋蓋を皿にしてインスタントラーメンを啜るシーン、なんか印象に残るなあ。韓国映画を見るといつもインスタント麵食っている印象だけど、ヤクザの事務所でもあんなふうに麵を作ったりするんだなあ……