うーん、これは怖い映画だなあ……
一応、「RRR」は娯楽映画だし、悪役のイギリスをデフォルメして描くのって必要なことだと思うんだよな。まあプロパガンダといえばプロパガンダなんだけれども、でも歴史的な事実を下敷きにして、誇張したんだよ、みたいなのはすごく伝わる。
でもこの映画はリアリティレベルが全然違うというか、ナショナリズムを刺激するやり方が本当にやばい気がするんだよなー。しかも、主人公の女性の自認が「国に自らの命を捧げないと私は完璧になれない」って、これはもうマジでプロパガンダ映画として怖いことですよ。「RRR」って、あのふたりが超人だからこそ、彼らが命懸けで戦う事が鉤括弧付きで正当化されるわけじゃないですか。でもこのヒロインは、本当は国に自らを捧げなくても、自らの自尊心を手に入れる道があってもいいはず……というか、彼氏はそうやって自分を大事にしながら一緒に生きていく道を志向していたはずで。こういうプロパガンダ映画は、本当にめちゃくちゃ拒絶感があるし、恐ろしい。むしろそこで、自由恋愛によって幸せになれない、女性への社会の抑圧を見出してしまうくらいだよ。
っていうかせめてこのサムネイル、女性にできなかったのかな……それは本当にダメでしょ。