ハイライトはやっぱり、元SSの人の若者との対話だよなあ……人間として向き合って話し合うことで、きちんと伝わるものがある、あって欲しい、と強く願わされる。抽象化された主義信条ではなくて、人間が生きる中で自分と向き合って、他者に対して言葉を投げかけることの重さを強く感じさせられて、いやー、ちょっと見入ってしまいますよね。
ファイナル・アカウントっていうタイトルが示すとおり、当時の時代を生きたドイツの人たちにインタビューをしていて、その多くがナチスを容認した側なワケだけれども、そういう視点で切り取られる作品って考えてみるとなかなか貴重よね。迫害された側や迫害した側については語られるべき動機が強くあるけれども、この作品で示されているのは、それを容認する世の中の空気で育った、そのどちらでもない人間の話なワケで。しかも少なくない数の証言者がまだ子どもで、責任能力がない段階から、ユーゲントの教育を受けていたりしたわけでしょ? そういう立ち位置で、自分の人生とナチスドイツ支配下の体験を語り直すってのは、ものすごく大変なことだけど、しかし価値のあることだなあと思わされるドキュメンタリーでした。