ケン・ローチはたぶん好きなタイプの作家なんだけれども、今までそんなに見てないんだよなー。題材が重めでちょっと再生ボタンが気乗りしない作家というのが正直なところ。いやまあ、見ればめっちゃ面白いんだけれどもね……
でまあ、この映画ももちろん面白い。何はともあれイギリスのサッカー文化の強固さが全面に出ているわけだけれども、その他にも家庭の崩壊とか少年のギャング化とか、まーいかにもイギリスで問題になっていそうなことがガンガン出てきていかにもだなーとなる。ドラッグが取り上げられてないのがちょっと不思議なくらい。
全体的に面白いんだけれども、印象的だったのは全体の問題がバーでの話し合いがきっかけで解消に向かうところかな。その場所で同じ地元のサッカーファンが団結して行動することで問題が解消するわけだけれども、それが職業人の連帯で、労働組合の力みたいなものにも繋がって見えるのがなるほどなーって感じ。っていうか、公的機関の介入を受け入れない辺りも、うひーイギリス! って思っちゃうよな。
それにしてもカントナって何者なんだ。サッカーに意識を向け始めたのはベッカムが世界的に大活躍して以降で、当時の自分はギリギリイメージが掴めないくらいの選手なんだよなー。映画の内容を見ると、むしろピッチの外でもカリスマ性を発揮していたタイプよね? そこら辺のニュアンスも実感出来たらもっと面白かったんだろうな。