ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

きしむ政治と科学 コロナ禍、尾身茂氏との対話

 

いやー面白かった。まだ全体像をボンヤリと覚えている今のタイミングに読めて良かったと思える本だな……

何より感心するのは尾身茂のスタンスが徹底されているところ。以前、西浦博の本は読んでいたわけだけれども、そこで漠然と想像していたこの人のスタンスが、そのまま立証されている感じ。インタビュワーが投げ込む危険球を、線引きしつつきちんと捌いていくのは、いやまあそういう人だと思ってはいたけれども、想像以上で笑ってしまう。リスクコミュニケーションの先頭に立つ、というか、立たされてしまった人だから、そこら辺の嗅覚はホントしっかりしているよなーと関心。まあ、振り返っての本でそんなヤバイことを言っていたら、リアルタイムの記者会見とかは立てないよなあ。

と同時に、「こういう所では言うべきことは言っておいた方がいい」とか「ここできちんと腹を割ったところを見せておいた方がいい」とか、そういうちょっと崩れるところのジャッジも抜群。単に相手を言い負かすとか、言質を取られないようにとか、そういう立場で記者会見に臨む人もよく見るけれども、この人はちゃんと、話し相手の信頼を得るための話術を用いているのだなあ、というのがよくわかって、これ、ホントは政治家の役割ですよね、というのはどうしても思ってしまうよなあ。