陸軍中野学校で育成されたスパイが沖縄戦でも活動していた、という話なんだけれども、いやー、これはスゴイ話でございますね。後半で現在の沖縄で軍隊との関係をどう考えるか、みたいなアングルも入ってきて、そういう政治的主張が強く前に出ると鼻白んでしまう感覚も普通はあるんだけれども、いやーしかしこういう出来事をここまで丁寧に説明されたらそりゃあ現在と繋がっちゃうよねえ。日本の映画・ドキュメンタリーは戦争を扱っていてもなかなか現在と繋がりづらいところがあると思うんだけれど、沖縄はきちんと現在に繋がる土地なんだなあ、と強く思いました。
いろいろ印象に残るシーンはあるんだけれども、インタビューの内容を「そこまで聞いておられますか……」で覆すのが一番ショッキングだったなあ。戦場で体験した出来事ってのは綺麗事じゃ済まないよ、というのをあそこまで鮮やかに見せられるとは思わなかった。ああいう瞬間は、インタビュワーが丁寧に当事者と向き合ってるからこそ引き出せる丁寧な仕事だよねえ。
あと、マラリアの話もなかなかエグくてショッキングだった。ってか、島ごとにマラリアがひどかったりそうじゃなかったりするんだなあ。ひとりの人間が活動しただけで、島のコミュニティがめちゃくちゃになるというのが一番悲惨な形で現れていて、そりゃまあ後々まで傷跡残しちゃうよねえ。