ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

シリアにて

 

シリアにて(字幕版)

シリアにて(字幕版)

  • ヒアム・アッバス
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あいやー、法の支配がなくなったらどういう世界になるのだろうかみたいな想像は時々するけれども、戦場じゃそういう地獄が当たり前に起こってますよ、という話であった。っていうか、家の中に女子ども老人しか残っていない、という状況が、こんなにわかりやすく、しかも現実に今まさに起こっている問題として示されるとはなぁ。なかなかショッキングな話であった。

っていうか途中、上の階に侵入者があったタイミングで、子どもが泣き出すシーンがあるじゃないですか。あれ、沖縄戦のエピソードをどうしたって思い出しちゃうよねえ。ヒエッと悲鳴が出てしまった。まーそこでパスポートが出てくるくらいのブラックな決着な付け方は、なかなか手慣れているなあという感じはしますね。

しかしまあこれ、戦争という特殊状況が見た目の意味づけを与えているけれども、もっと抽象的で普遍的なレベルで、男女の性差の話でもあるよなあ。レイプ事件が起こった後、女性同士が仲違いをしてしまう、辺りのリアリティというか、やりきれなさがなかなかしんどい。

そしてまあ、最終的には女主人が夫を待つ話でもあるのよね。そういうニュアンスが後半まで出てこないから、単なる障害にも見えがちな所だけれども、最後の途切れる電話の辺りとか、なるほど……という感じである。