映画としては超面白いんだけれども、オレは嫌い。
「カノン」とか言ってるけれども、要するに死ぬべき運命なんて、キャラクターを追い詰めるための作者の都合にしか思えないんだよね。そこに何らかのロジックを持ち込むのが見たいのに、それをそのままルールとして適用してしまうことで、映画が「作者 vs 視聴者」みたいな図式になってしまって、それって基本的につまんなくない? というのがオレのスタンス。
いや、もちろん単なる作者の都合ではなくて、「スパイダーマン」というヒーローが不可避的に内包してしまう属性、という描かれ方と取ることもできるだろうし、実際アメコミに親しんでる人はスパイダーマンが「そういうものである」という共犯関係を持って楽しんでるのかもしれないけれども、オレは別にそんなルールは知らねーし。過去の感想見ればわかると思うけど、毎回スパイダーマンが不幸な出来事起こす度に、「は? 意味わかんねーんだけど!」となっているので、その展開をキャラの属性としてゴリ押しされるのは、はっきり言って不愉快ですね。やるならやるで、もうちょっと説得力のある形で不幸を描いて欲しいし、それをサボってカノンでございってのはハッキリ嫌悪感を抱きますね。
アクションは確かにマルチバースを生かした見所に充ちているけれども、しかしこっちの方向で見せられると、前作のアクションがいかにブルックリンという土地柄を生かしていたのかがよくわかるよなー。グッゲンハイム美術館で現代アートが弄られてたけど、まあ確かに今作はああいう感触の資本主義に縛られた解釈のゲームになってるよなーって感じがして、なかなか難しいなーと思いましたよ。