ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ピースメイカー

 

ジェームズ・ガンのスーサイド・スクワッドのスピンオフドラマ。

「ザ・ボーイズ」と比較されているレビューを見たけれど、なるほどそれも確かによくわかる感じ。どちらもポリコレ周りの状況を鋭く突いていて、有害な男性性についてのストーリーを展開し、そしてそれらの原因が過去のトラウマに求められる。ただ、こっちの脚本・監督が、ネットでキャンセルカルチャー的な仕打ちを受けたジェームズ・ガンというのがなかなか味わい深いところだね。

正直「ザ・ボーイズ」の描き方はこまっしゃくれているというか、トレンドを美味いこと料理してお出ししましたみたいなところがあって、そこがちょっと鼻につくこともある。それに対してこのドラマは、あくまでピースメーカーという主人公のどうしようもない弱さを巡るストーリーになっていて、そこは本当に好感が持てますね。シリーズの尺や予算の問題でもあるんだろうけれども、大きな事件が連続するというよりも、人間同士の会話のすれ違いやおかしみで話が進んでいくのも個人的には好感触。

ただストーリー全体で言うと、やはり「ザ・ボーイズ」の「子どもや兄弟といった自分の分身を置く」ことで自らに向き合う構造は丁寧だなあ、と思います。もちろんピースメーカーのように、自分の乗り越えるべきトラウマが敵という形で現れて、それを倒すことで解消する(ように見える)ストーリーの語り方があってもいいとは思うんだけれども、それって外から要請された解消のされ方って感じもして、都合を感じるなあ、とも思うのだった。ラストで幻が出てくることで、トラウマが完全に解消されていないことが暗示されるけれども、自分の弱さと正面から向き合った結果じゃないから、確かにそのくらいの落とし所の方がしっくりくるかもねえ。