ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

歴史戦と思想戦 ――歴史問題の読み解き方

 

いやー、なかなか帯からして火力の高い感じの本ですね……

いわゆる「ネトウヨ」的なクラスタが「思想戦」を仕掛けている、それは学問的な正確性が問題ではなく、ある種の政治運動である、みたいな立て付けだと、どうしてもこういう文章もカウンターとしての運動の様相を帯びるよねえ。特に途中の、大日本帝国が大戦中に行っていたプロパガンダの話、確かに今自分たちが見ると「あー今もやってるアレやアレと重なるなあ」とは思うんだけれども、それを本の上でこうも「似通ったもの」として並べられると、それはそれとしてなかなか危うい所があるなあ、とは思うよね。印象操作をしているような描き方にはなっているし、それは果たしてこの本の趣旨からしてOKなのか? というのは考えてしまうのだった。いやまあ、そこら辺も含めてこの本の狙いなのかもしれないけどさあ。あと、「この文章に何かおかしいと思った所はないでしょうか?」式の問いかけも、読んでてなんかイラッとするというか……そういうレトリックを使われると、読者の思考を誘導する強い意思を感じて、こういう立て付けの本でそれをやるのは危ういなあ、とは感じてしまう。

まあ、そういうところ差っ引いても、ためになることが書いてある本ではあった。こういうカウンターの知識がないと、ネトウヨ的な情報に使ってる人と話すときに、バランスをとるのって難しいよなあ……