ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

Winny

winny-movie.com

警察の強引な取り調べみたいな知識もない人が、「世の中を良くしたい」と言ったところで限界があるよね。世の中を良くするためには世の中に対しての知識が必要なわけで、そこを「世間知らずのイノセント」で押し通そうとするこの映画の作りは本質的に大分危ない。この映画ではWinnyの有り得た可能性として告発の場としてのメリットが暗示されるわけだけれども、その後に出てきたウィキリークスが告発者の保護やら審議の検討にどれだけのコストをかけた買って話ですよ。根本的なアイディアが優れているように思えても、それを世の中に利益をもたらすものとして機能させるのには現実的に社会と折衝が必要なはずなのに、そこをすっ飛ばしてイノセントな「プログラミング無罪」としてしまうこの映画は、まー日本の技術者の社会性の無さを肯定しちゃってますよね。オードリー・タンやアーロン・スウォーツが、技術者としてどれだけ公的なものに対する関心が高かったかって話ですよマジで。

っていうかさー、WinMXの次だからWinnyって命名なワケで、MXの時点で社会的に「著作権が侵害されている」のが問題になっているのは自明で、なのにその点に対しての対策を「やめてください」の呼びかけだけでオッケーみたいな落とし所にしてるのは、まーヤバイでしょ? 法律的に責任が問えないのはその通りかもしれないけど、道義的な責任を感じない人間として肯定的に書くのはきついよ。そりゃナイフをつくった人は法律的に罪には問えなくても、ダイナマイトをつくったノーベルはノーベル賞をつくったし、アインシュタインは平和活動を熱心に行ったわけでしょ? 責任のある大人だったら、「山を登っただけ」ですまされない問題があることぐらい、あらかじめ知っておくべき何じゃないですかね? みたいな気持ちになる映画だった。

ま、そこら辺を疑問に思わせないくらい、警察の振る舞いはクソだし、マスコミもきちんとやるべきことをやる必要があるとは思うけどね。内容が面白くつくってあるだけに、そこら辺のバランス感覚に疑問を抱く内容の映画でした。