あー、これNetflixの「グレート・ハック」のやつねー。アレは概略掴むのにだいぶ良かったけれども、この本を見るとあの映画の中で語られた脅威って断片でしかなかったんだなーと思わされる。
特に衝撃的なのは心理学を用いて情報兵器として仕組みを開発していたという点で、そういう観点で今の世の中を見るともう世界が全く変わって見えますね。TikTokの騒動とかはなるほどそういうバックグラウンドがあったのかーそりゃああいう反応しなきゃむしろダメだよなーって感じだし、あとfacebookが散々選挙に合わせて声明を発表していたのもそのくらいさせようという圧がかかってたんだなーという感じ。そういう意味ではこの本の告発があったことで世の中がどうやって前回の大統領選に結びついたのかみたいな話はちゃんと追っかけておかないとなーと思う。
あとはやはり社会的弱者の視点って世の中を変える大きな視点になるのだなーという感じがすごくする。フェミニストが人権運動に果たした役割もそうだけれども、やはり既存の価値観への異議申し立てにおいては、マイノリティだったりヨソ者だったりするからこそ見える風景というのがあるのだろうなー。
印象に残ったのはラストの提言で、そうかーなるほどプログラマにも倫理規定を定めるのかーというのは大変納得感がある。医者のヒポクラテスの誓いみたいなのってやっぱりあるとないとじゃ全然違うだろうなー。アーロン・スワーツもそうだけれども、セカイを変える力を持つテクノロジーが、社会の中でどうやって運用されるべきか、単純な競争原理ではなく、公益とか人権が問われているタイミングなんだろうなーというのを大変強く思いました。っていうか、弁護士が「公益」を盾に戦いに挑む様とか、やっぱりかっこよすぎるよね……