Qアノンについて色々知りたくて読み始めたんだけど、全体的に反ポリコレ本みたいな感じでちょっと厳しい。いやもちろん自分はポリコレ大事だよねーみたいな立ち位置にいるので、そこら辺の感覚さっ引かなきゃいかんよなーと思いつつも、いやしかしここまで露骨に陰謀論にかこつけてポリコレを軽んじられるとなー。作者はトランプの業績が軽んじられており、それはポリコレ左派の扇動の結果である、みたいな立ち位置を貫いているっぽいけど、だったらもうちょい冷静にトランプの業績の分析と、彼が行った差別的言動の影響を、明示してもらいたい。
例えば「アメリカ・キリスト教圏では、なぜ未成年女性への性的虐待がここまで嫌われるのか」という問題も、単に「身体的に生殖が可能な年齢でも」みたいな視点でしか論じられていなくて、未成年の自己決定権とかの人権の視点が全く欠落してるのはマジでやべーと思う。いやまあ人権とかそういう視点があれば、こんな無批判にトランプの業績を肯定することってできないんだろうけれど。
正直そこら辺の手つきが軽率で、そういう立ち位置で発言することがアリなひとの文章で、全く鵜呑みにできんよなーと思いながら読んだ。自分はしっかりアメリカの「空気」みたいなものに当たっているわけではないので、「そういう雰囲気ももしかしたらあんのかもしれねーな」くらいの留保はつけておこうとは思うんだけれども、うーむ……
あいや、ピザゲートの顛末とか、Qアノンが現れた辺りの空気とか、アメリカにとって宗教がどのような役割を果たしたとか、そういう空気感はなんとなーくナルホド感があって、全然ダメってわけでもないんだけど。なんか複雑な気持ちになる本でしたわ。