ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ヴィクトリア女王 最期の秘密

 

ジュディ・デンチはいいよね……この大変な役柄を、とても上手く演じていると思う。このポジションで人間くさい魅力ってのは、まあなかなか出せるものではないよなあ。

一見微笑ましい異文化交流のストーリーに見えて、しかし全く一筋縄ではいかないのがいかにもイギリスの映画って感じ。純粋無垢なインド人……ではなくて、立身出世ももちろん願っているし、イスラムのびみょーな立場については方便も使う。そしてヴィクトリア女王の方は、全く聖人君子ではないし、自分の支配する大英帝国に対する理解も中途半端だから、コロッと騙されてしまう。そういう危うい関係は視聴者にとっては見え見えで、しかしそんな中でもやはり他には代えがたい心の交流があった……というのを描くんだから、うーんやっぱりイギリスーって感じ。

だって、あんなに魅力的でコメディリリーフとして活躍してくれた同僚を、さっくり残酷に殺しちゃうんだもんなー。いやはや、「同胞を売れ」と迫るシーンがはらむ皮肉の迫力ったらないですわね。そういや数学の映画でもインド人死んでたな。インド人にとって、イギリスの環境はそんなに厳しいものだったのだろうか。

にしてもイギリス国王というイングランド国教会の首長がイスラムの教えを学ぶとか、まあどー考えてもヤバ過ぎるよね。これ一歩間違ったらラスプーチンでインド独立の歴史も全く変わったものになってたのかもしれんなあ。いやあ、立憲君主制というのはなかなか難しい制度でございますね。