ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人

 

うーん……題材は超面白いんだけれども、内容がどうも上手く素材を活かせてる感じがしないなあ。調査の内容とかは丁寧だし、色々興味深いエピソードもたくさんあるんだけれども、それが上手いことストーリーとして構成されていない感じがすごくする。例えば野茂英雄が引きのエピソードとして入っているけれども、それってホントにこの内容を伝えるのに適切なものだったのだろうか?

やはり興味深いのは中根中という人物の人となりなんだけれども、周囲の人物や状況を説明するだけで、その内面というか思考というか、そういうのがイマイチ想像しづらい。子供時代のキリスト教のエピソードはまあ良いんだけれども、それから先アメリカでイスラム教徒の一員としてどういう意志をもって活動していたか、その像がメチャクチャぼやけちゃってるんだよなあ。それは下手に話を作らない、作者なりの誠実さなのかもしれないけれども、当時のアメリカの日系人の状況ってちょっと想像がしづらい所があるので、やはり多少は味付けしてあって良かったと思うんだよなあ。

あとまあ中根中以外の人物について寄り道しすぎかな……というのも思う。まあ、それだけ期待値が高かったということなんだろうし、そうやって実在の人間に過剰な期待を抱くのが危険――というのもわかった上で、でも、やっぱりそういう見せ方をしてもらいたかった。