ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

“死刑囚”に会い続ける男

 

題材はまあ確かにわかるんだが、このまとめ方はどうなんだ?

死刑囚の描写も怖いが、オレにとってはこの記者の内面が全く見えなくて怖い。死刑囚と文通を行って心を開かせて何らかの話を聞く……というのはかなり精神的負担がある作業のはずで、それに継続的に取り組むというのはかなり特殊なことだと思う。しかも、それぞれの人となりから迫るのではなく、とにかく「死刑囚」という括りで人物にアプローチしていくのは、ある種の歪みがあるんじゃねぇの? みたいな感じがすごくする。のだが、このドキュメンタリーはそこら辺のインタビュイーの内面を全く掘らない。ただひたすら熱心に手紙を書き、聖人のように颯爽と刑務所に向かう姿が映されるだけだ。まあ死刑囚に焦点を当てたいのはわかるし、自分が監督だから仕方ないのかもしれないけれども、絶対この人にフォーカスしてもっと私的な部分を引っ張りだした方が、ドキュメンタリー作品としては良いよなあと思った。

いやまあ、死刑囚も確かに興味深い題材ではあるんだけれども、思想が明らかに偏っている人物を正義の立場から取り上げてすれ違うだけ……というのを、こういう風にまとめるのって、やっぱり悪趣味な見世物という感じがするんだよなあ。最初のエピソードの、地域住民がサポートにつくくだりとか、ああいうのはきちんと取り上げる意味があると思うんだけれども……やっぱり一番知りたいのは、この記者の立ち位置だなあ。