ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

アイヌ学入門

 

いやー、主に「ゴールデンカムイ」の影響で読み始めたんだけどさー、「へーなるほどちょーおもしれー」みたいな感じで最後の章まで読んだら愕然とすると思うんだよね。やっぱりあのマンガの内容から、現実にアイヌの差別を受けていた人々の立場って想像しづらい感じになってるし、それが現代社会に生きるアイヌと接続されているってのもわかり辛すぎるよなあ。そしてそれは、満州事変がどうやって現在の日本に接続されているかという視点が薄いのとパラレルな内容でさぁ。「アイヌって面白い!」って無邪気に喜んだらそりゃまあ当事者は腹立つよなーと思うし、それを知らないで消費するのは結構ヤバいなーと思わざるを得ない。

そしてこの本が描こうとしているのは、アイヌが文化を和人との交易のなかで培ってきた様であり、「入門」として、客観的な他者ではなく、現在にも関係が連続する隣人として描くのは確かに価値のあることだなーと思った。序盤の「ペツ」「ナイ」の川が東北に結構ある、という話だけでもかなり価値のある視点だよなあ。

また、あまり民俗学とかにしっかり触れたことはないので、「あーこうやって研究を進めていくのか……」というのが垣間見えたのもまた面白い。作中でも何度か、他者の知識を借りることで自分の仮説が裏打ちされるエピソードが描かれていると思うけれども、そういう情報交換の機会とかはめちゃくちゃ大事なんだろうなー。