全体的に散らかっている感じ。無理やり「世界観エンタメ」とかいう言葉で括っているけれども、そこに全然説得力は感じないなあ。エヴァそういう視点で解釈することもできなくはないかもしれないけれども、それってそんなに必然性ある? という感じがすごくする。ホラーなんかの内と外の身体性の拡張がどーこーみたいな話も、内容的にはチョー面白かったけれども、そこから「世界観エンタメ」みたいな言葉に接続するのはかなり無理やりじゃないですか? ワンピースがストーリーの展開とそれぞれのキャラクターの強さを3次元空間上に展開することの意味、みたいなのは大変興味深かったですけど、それって他の章と同じテーマを扱っているようには思えないんだよなー。
一方で、序盤の文化人類学周りの体験をベースにした話は大変面白い。未知の者に触れるときにどこに注目して何を見せれば良いのか、という点で文化人類学の知見が有効なのは大変説得力がある。あと味覚をどうやって伝えれば良いか、みたいなあたりの説明もなるほどなーと納得。
なんだけど、やっぱり全体的にはとっちらかって無理やりの独自研究って感じだなーという印象が拭えない。っていうか今こういう題材を扱う上で、ゲームの知見が抜けるっていうのは正直有り得ないと思うんだけれども……一番尻のこれからの展望みたいなのは、作者の希望でしかないようにしか思えなかった。