アメリカに移住してきたユダヤ人たちが、秘密組織でナチス捕虜の面倒を見たというドキュメンタリー。いやまあひでえことするもんだなあ。ドイツ語を話せる人間は他にはいなかったのだろうか……とかも思ったが、しかしそうか下手に仲間に転ばれても困るもんなー。そういう意味ではユダヤ人に相手させるしかなかったのか。いやでも相手が相手だから接待せざるを得ないというのもまたちょっと困る話だよな。
いやまあ全体的にすげー困る話であって、アメリカという国には大義があり、その大義によってロケットが開発され、ロケットが開発されるためにはユダヤ人が個人的感情を圧し殺してロケット開発者を接待しなければならないという状況が生まれてしまう……という図式で、いやーこれやっぱり改めて考えるとやべーな。そしてその冷戦構造を作ってしまったアメリカの行為そのものが否定できたら、それはそれで「弱者が抑圧されたのだ」式の解釈で色々スッキリするのかもしれないけれども、そうもいかないってのがまあミソだよな。
いやしかしそういう構造的な問題をもう少し全面に出して、スッキリしないところをテーマにすることもできたんだとは思うんだけれども、アニメの再現ベースで進むこのドキュメンタリーはそこら辺の視点がぼやけてしまっているような気もするな。面白いテーマなんで、そのまま映画なんかにしてしまったら良いのではなかろうかしら。