うーん、いまいちピンとこないなー。もちろん題材はとても面白いのだけれども、うーん、コイツをどうやって解釈したら良いものやら。いやまあしかしリチャード・ジュエルという人物の映画的な描写が、善と悪に揺れ動くのはちょっと楽しくはあるか。それはメディアのニュースを通して人物の善悪を判断する、一読者の視点よりはフラットであるものの、しかし監督の演出ひとつで「コイツあやしいな」とか「実はどんでん返しがあるのでは?」とか思わされたりする類のものなんだよなー。あと「ミリシア」という単語が出てきたりもしていたけれども、特に序盤の彼の描写はそこら辺の危うさをだいぶ孕んでいて、テロリストと一般市民をはっきり切り分けるのってやっぱ難しいよなーと思わされますね。
物語は物語的結末を用意するために、「真の犯人を見つけ出せ!」みたいに組織を悪にして勧善懲悪の物語へと回収されていくわけだけれども、そういうわかりやすい物語の構図に回収してしまうことの恐ろしさ、みたいなのは感じるよなー。母親の会見であの記者が流した涙とか、かなーりお座なりというか、「お前物語の流れがそっちになったからってそういう行動とっても良いの?」って感じ。そこら辺が計算されているものなのかどーかはしらんけど、まーでも根底にそこら辺の危うさを孕んだ構造の物語ではあるよなーと思いました。