ということで立て続けに黒人スポーツシリーズ。
本人にインタビューができない状況で、しかし当時の録音が大量に残ってる! となったらやっぱりこういうドキュメンタリー作りたくなるよねえ。当時のプライベートな肉声がそのまま残ってるって制作者としたら凄まじいお宝ですもんね。
しかしその肉声って家庭人としてのアリの一面を伝えるだけで、果たしてこの映画においてうまく機能してるのかなーというとちょっとよくわからない。まあそういう映画を立て続けに観ちゃったせいもあるんだけれど、アリはやはり良心的に兵役を拒否したり公民権運動とかで世間の偏見と闘ったりという社会的な側面に興味がいってしまうもので、テープレコーダーからはそこら辺のバックグラウンドは見えてこないよねー。周囲の人間の物語を紡いだだけでは見えない部分がはっきりとあって、そこは大変残念。大体インタビューを受けた人間が腹心の友、って感じが全然しないんだよなあ。アリの内面に抱えた空白の大きさをどーしたって感じてしまう。
子供に優しい家庭人みたいな見え方にしてあるけれど、女性関係が大幅に迂回されているわけで、そこら辺にもビミョーな躊躇を感じてしまうよね。タイソンがあんなに赤裸々に自分の半生を振り返ったのと比べると、やっぱり本人が話せないってのは不利だよなーと思わされる。
あーそうだタイソンと言えばカス・ダマト。ほんと名伯楽って感じでございますね。