ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場

 

冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場

冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場

  • 作者:冲方 丁
  • 発売日: 2016/08/26
  • メディア: 単行本
 

まあ当たり前だけれども頭のいい人だよね。一番の争点になるはずの「妻との関係性」の記述をうまく一般論を混ぜ込んでクリアしている。結局これは当人同士の問題で、外野がガタガタいうような話ではない、というようなところを序盤でサックリ明言しちゃってるのを見て、うーんこれは警察の人もそりゃあ色々苦労しただろうなあと思いました(別に警察側に肩入れするとかではなく)。

あとは「笑い飛ばす」という行為はどこまで行っても当事者の立場からの現実的な対処にしか過ぎないよなあとも思いました。筆者は「笑い飛ばせ」と強く訴えているし、現実問題この渦中にいたらおかしな行動をせず笑うのがベストの解なのかもしれないけれども、それを見ている自分たちは是非とももっと怒るべきだと思う。多分こういう社会は自分たちが笑いを不適切な方法で用いてきたから生まれちゃったんじゃないかなーと思うし、問題に対して怒るべきところで適切に怒るってのは本当に必要なことだとは思います。ってか筆者はこれ、ちゃんと怒るべきところで怒れる人だからこそ笑い飛ばせって言ってるんだと思うし、普通の人は正しく怒りを表出させることできないでしょ。

あとはやっぱり知識が武器になるということを強く思い知らされたなあ。知っているだけで人間は安心できるってのが、これ以上ないくらいはっきり表現されていると感じました。