ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ニーナ・シモン 魂の歌

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公民権運動ってポジティブに捉えられることが多いから、こういう視点のドキュメンタリーはなかなか貴重。OPとかの吸引力が躁病ぶくみの挙動だっていう展開にはさすがにかなりビックリしたけど、同時に納得もしたのだった。

序盤は、ピアニストの視点から人種差別に切り込んでいって、そうかークラシックは当然アカデミックだよなーと納得。その根っこに教会でのゴスペル的な演奏があるのもまあ操舵よねって感じ。で、そこから酒場でジャズシンガーとしてキャリアを積んで、という展開は大変よくわかる。

でも、そこに個人的なセックスの嗜好やらDVやらの問題が絡んでくると、あーそうかー公民権運動の人物のこういう私的な困難を描かれると色々物語的には不都合なことが起こるよなーと思いもするのだった。キング牧師の性生活とか、まあ確かにちょこっと触れられたりするけれども、その線を負っていくとストーリーが困難になる部分はあるよなあ。いやもちろんそういう人間的弱さを描いて初めてより深みのある話になる、という考え方をするべきなんだろうけど。

でも、この作品でニーナ・シモンが娘に対して行った行動を知った後で、プロテストソングをあらためて耳にすると、うーんと色々考えるところが出てきちゃうわけで。その複雑さも含めて作品を受け入れるべきなんだろうけどなー。ふーむー。