だめだ泣く。ボロボロ泣く。完璧に映画に感情を持って行かれてしまった。こんなに泣く映画って久々である。
序盤はとにかく洒脱な映画って感じでOPが朝飯ぱーと含めてとにかく素敵だし、ダッシュでボケたばあちゃん捜しに行ったら後ろで警官隊がわーって並んでいるあの絵の不気味さも最高。その直後のやり取りでストと母親の不在とを最小限のやり取りで説明しちゃう辺りとか、もういちいち映画として決まってて感心するしかないですね。巧みなクロスカッティングで往年の名曲がずらららららって心地良く並んだり、カメラやら編集やらもいちいち感心させられるし、挙げ句突然の女装ショタパートが差し込まれたり、もうやべーよ。最高ですよ。しかしなんであんなにイギリスの警官隊はコミカルに映っちゃうんでしょうかね。
なんて思っていたら後半は突然奇をてらわないじっくりとした演出で父の感情にフォーカスを当てちゃってもう私がまんなりませんよ。それまで芸術に全く興味がなかったオヤジがクリスマスにベロベロになった状態で息子のダンスとはじめて向き合って、突然何かに突き動かされたように走り出すとかもう思い出しただけで泣ける。それまで男のダンスとか演出とかで隠蔽されていたシンプルで正しい設計がオヤジダッシュと共にドーン! と浮き出てきてですね、もうそんなん無理ですよ。泣く。合格後のローアングルから青空バックの望遠で走ってくるのはオヤジかよ! ぎゃっはっはっは爆笑しながら涙が止まらない。そこから先はもうカットのひとつひとつが素晴らしすぎて言葉が出ない。良い。本当に良い。
しかし先生との関係性の機微がよう分からん感じもする。あそこの関係性ってなんなんじゃ。まあ最初から緊張感ある間柄ではあったけど、ジャンプカット? かっとじゃないけど季節の繋ぎのところでポーンと中に放り投げられてるからなあ。まあ映画の主軸は家族に移っちゃってはいるんだけど、うーん……もしやそこがクリスマスのやり取りであったりはするのだろうか。あーそうか確かにふたりは擬似の母子の関係ではあるよなあ。あそこで擬似の母子と本物の家族の関係がバトンタッチした、とは言えるのかも知れぬ。