ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

フェンス

 

フェンス(字幕版)

フェンス(字幕版)

 

デンゼル・ワシントンが監督なのか。いやー腰の据わった良いものを見せてもらった。元々は演劇だったのね。序盤の長い会話のやり取りなんかを見て納得。

こういうビジュアルでこういうタイトルだから、つい人種間の隔たりをテーマにした作品かと思ったんだけどちょっと違った。いや、全然違うわけではない、というかむしろ大いに下敷きにしてあるわけだけど、ドラマの主軸はむしろデンゼル・ワシントンの内面とその表出としての家のフェンスに置かれてるんだよねー。ニグロ・リーグからジャッキー・ロビンソンの話がしてあったり、壁にキング牧師とJFKの写真が貼ってあったりするけれど、メインストーリーから公民権運動の話は不自然と言ってもいいくらい意図的に除外されている。あ、一応ピッツバーグの黒人初のゴミ収集車ドライバーになれた、みたいなお話はあるか。でもまあ、そういう表立って語らないバックグラウンドこそが、主人公が内面に澱を溜めていったことに説得力を与えている感じは、する。話としては家庭内暴力というか、父親の息子に対する抑圧を描いていて、もうこのクソオヤジほんとひでえなと思っちゃうと同時、まあしかしそう生きるしかなかったんだよねえこの父親はという感じもしてまあちゃんとしている。

しかしなー、日本兵に脳みそ吹き飛ばされたおじさんの運命が既に語られている手前、海兵隊の息子の未来をまともに考えるのが嫌でなあ……そういう部分も含めて、どろっとして良い映画でございました。