いやー良かったやっと観られたー! 絶対押さえとかなきゃいけないのはわかってたんだけどどーも観る機会がなかったんだよね。いわゆるミニシアター系のアレ。
ボンヤリ見てるとなんかよくわからないドイツの異邦人がなんだかギスギスしているはぐれ者の集団の中にポーンと放り込まれ、なんだかよくわからないうちに彼女の徳が皆の空気を変える話、みたいな感じになりそうなんだけどそれがギリギリのところで踏みとどまっているのが面白い。最後の方で脈絡もなく刺青のおねーさんがいなくなってしまう辺りとか、あともちろんラストの対処の仕方とか、ザ・ハッピーエンド! っぽい流れでもビミョーに外してあるよねコレ。
そもそもサイレントで表現される気取りすぎたオープニングで、あのドイツのおばちゃんはそれはもう「えーっ」って感じで描かれているわけで、それが掃除ひとつで聖人の階段を駆け上がるのはなんかこーおかしいよねやっぱり。脱いでく辺りの描き方でもそう思ったんだけれども、彼女には彼女なりの内面がきちんとあって、それが言語的障壁とあのデカい肉襦袢の中に閉じ込められてて、類型的な物語として語られることを必死に拒んでるんじゃないのかなあ、なんて思いました。
しかしねー、マジックが文字通りストーリー上のマジックとして機能するのはまあわかるんだけど、この映画でむしろ大事なのはたぶん「掃除」なんだよなあ。掃除がはぐれ者集団の怠惰な日常に潤いをもたらす。あー、なんて偉大なんだろう、掃除。