確かセルフリメイクよね。『フェイクドキュメンタリーの教科書』 で取り上げられてて結構印象深かった気もするんだけど細かい内容は忘れてしまった。まあ、なんとなーく思い入れが深いんだろうなあ、という感覚はわかる。この監督の作品ってどれもがリアルに立脚しながらもどこでネジを飛ばすかのコントロールに注力している感じがあるけど、この作品はまあブッチギリで振り切っちゃってるよなあ。
とはいえ著書で触れていたような「暴力が感染する」感覚は、うーんもうちょっとできたんじゃないの? というのが正直なところ。他人の暴力性に影響されて自分も暴力を振るうようになる、というのはまあかなりストーリーとしてしっかりした筋立てで、それをこういうカメラでやることがちょっと難しいのかなあとも思う。こういうカメラで真っ当なストーリーをやられると嘘くさいもんなあ(この作品はその嘘くさささえ自覚的に取り込んではいるのだろうけど)。
しかし再現VTRとかくだらない新企画が連発されている中で、監督が「私は手応えを感じていた」とかモノローグを入れる下りのさじ加減は絶妙だなあ。コッチ側の感覚とのズレが最高に面白い。こういうとぼけた距離感を楽しめなければ、たぶん「何これ?」って作品なのだろうけど。