ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

伝説の映画監督 -ハリウッドと第二次世界大戦-: シーズン1: 作戦地帯

https://www.netflix.com/title/80060408

イヤー本当にこのタイミングでこのドキュメンタリー見始めたオレが素晴らしすぎるな……

フォードとワイラーとキャプラの微妙な確執が面白かったり、そもそもオスカーのドキュメンタリー部門はこのタイミングなんだーと驚いたり、色々見所はあるのだけれども、やっぱり根本的にはフィクション専門の映画監督たちが、現実に影響を与えるために倫理的な問題に直面させられる辺りがチョー面白い。ワイラーがそのせいで監督を降りた話はうおーさすがだなーと思ったけれども、その後の日本人に対する出っ歯でメガネのステレオタイプ描写なんて大変わかりやすくて、アニメという対象を記号化せざるを得ないものが取り上げられてるのは宜なるかなって感じだな。さらに面白いのは日本人の偏見描写に対して軍が怒ったという話で、さすが民主主義を根底に敷いている国だよなーと思う。

っていうかそもそも軍がスポンサーに乗ってハリウッドが映画を撮る……という図式になっているわけだけれども、この企画って自分たちの表現が現実の社会へと責任を果たしていくべきかという、映画界の自己点検になっているわけだよなあ。だからこそ、最近そういった政治系の出来事をテーマにして映画をバンバン撮ってるスピルバーグが参加していることに価値があるわけで。一瞬「KKK」とかの話も出てきたけれども、フィクションは現実に影響を及ぼし得る、という認識はむしろ当たり前だよなあ、と思いました。

伝説の映画監督 -ハリウッドと第二次世界大戦-: シーズン1: 任務の始まり

https://www.netflix.com/title/80060407

ということで最近ドキュメンタリーとかフィクションと現実の関わりについて色々考えているのだけれども、このタイミングでどんな気まぐれかこのシリーズを見始めた自分の見識は大変ナイス。というのも第2次世界大戦で戦意高揚のドキュメンタリー映画を撮った名監督たちは、それまでエンタメ映画を撮っていた面々なワケで。彼らが現実に直接的に影響力を行使するために意識的にドキュメンタリー映画に関与していく様は大変興味深いわけですね。そもそもドキュメンタリーというジャンル自体が変人の撮るものとされていたみたいな解説も、あーやっぱりそうなんだタイムリー! という感じ。

っていうか作中で監督が明確に、ナチスに対抗して「プロパガンダ」を行うことを明示しているワケで、ある意味で彼らは彼らの用いることのできる武器を使って国家に奉仕したって図式だよなー。そして後ほどのインタビューで彼らはそれを恥じているようには見えなかったりするわけで。これを日本の戦意高揚の映画と並べると、まあ戦勝国との違いだよなーって感じはだいぶしますね。

しかし、フランク・キャプラが「意志の勝利」を見てショックを受けて、しかしそれを逆用して「我々はなぜ戦うのか」をつくったっていうのは本当に示唆的というか、ドキュメンタリーを作ることの危うさを射貫いていて最高に面白いなあ。

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey

 

うーん、狙いすぎというか、理屈ではわかるんだけれども、うーん全然よく見えないなー。コレだけ込み入った時系列だったらもっとブン回さなきゃダメじゃないですか? 編集のテンポが遅いというか、もう少しカット割り細かくスパンスパンと見せていってもらわないとしっくり来ないなー。もちろん主演ががんばってアクションしているのをきちんとワンカットで見せたいというのはアクション映画として正しい欲求なのだろうけれども、この作品って肉体そのものの動きよりももっと集中するべきところがあるのでないかなー。序盤のハーレイクインの失恋を饒舌な語りとともに混乱した時間軸で見せていくその構造自体は大変素敵だなーと思ったので、そこら辺で乗り切れなかったのはもったいないなーと思いました。ウンチを待つ話しの滑稽さとか、そこら辺の単品のアイディアは決して悪くないと思うんだけれどなー。このジャケットといい、だいぶ垢抜けていない感じだよねー。遊園地のシーンとかも、もっとかっこよく取れる感じがするんだけどなー。

なんつーか、MARVELだったらもっと小洒落た感じに仕上げられたよなーという感じが強く、そういう意味では大変もったいないなーと思う作品でありました。

ロケットマン

 

ロケットマン [AmazonDVDコレクション]

ロケットマン [AmazonDVDコレクション]

  • 発売日: 2020/07/22
  • メディア: DVD
 

そもそもエルトン・ジョンに全く思い入れがなかったものだからなー。自分のイメージだと「キングスマンに出てくる変な格好をしたおじさん」、ってのは言い過ぎか? もちろん有名曲は聴いたことがあるけれども……っていうか有名曲は大体前奏が始まった時点で「あ、この曲知ってる!」となるくらいなのがすごいよなー。結構有名な曲でも、イントロの部分では全然ピンとこなかったりするじゃないですか。

ほいで映画の内容だけれども、音楽! 金! ドラッグ! でも満たされないスーパースターのロンリーハート! に、ゲイの立ち位置をぶっこんで完成! という感じの展開で、うーん正直しんどいなー。家族の愛情を注がない感じもスーパー紋切り型というか、えーと、そんなに非人間的な振る舞いを映画として描いちゃいます? という感じ。必要なものはまあまあ揃っている感じもするのだけれども、うーん、何が足りないんだろうなあ……

ドラマとしては結構問題が序盤で分かりきった作りになっちゃってて、そこから展開がないのからしんどいのかもしれないけれども、うーんでもそういう事実を根っこにしてるからこれどうしようもないよなー。っつーか禁酒を達成したのはわかるんだけれどもドラッグ依存症のほうはちゃんと治療できたものなのだろーか。

イコライザー2

 

イコライザー2 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

イコライザー2 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/08/07
  • メディア: Blu-ray
 

たるいなー。もう少し脚本どうにかならなかったの? あれだけ地味に積み重ねた人質があんな楽ちんに助けられちゃったらだめでしょー。中盤のどんでん返しもうーん全然どうでも良いよって感じだし、雰囲気だけ雰囲気良い感じの映画になってしまっていやあしないだろうか。

まあ前作のことサッパリ忘れてるのが悪いのだけれども、そもそも主人公のことがそんなに好感抱けないのが結構問題。いやまあ確かに悪い人じゃないのだろうけれども、なんか中途半端なキャラになっちゃってませんかね。

あと能力が後半全く発揮されなかったのなんで? 前作もちょっと持て余し気味だったけれども、今作ではだいぶこう「バトルどうしたら良いかよくわかんないや」って感じになってるよねー。確かにハリケーン化でバンバンアクションする、というのはわからんでもないんだけれども、それデンゼル・ワシントンにとってメリットにしかなってないから、そんな状況にする必要そもそもある? って感じ。ホームセンターバトルみたいな面白アングルになってないよねー。

ラストの再会のパートも「えーなにそれ要る?」って感じだし、うーん、やっぱりもうちょい脚本どーにかならんかったのかしらねぇ……

RBG 最強の85才

 

RBG 最強の85才(字幕版)

RBG 最強の85才(字幕版)

  • 発売日: 2019/12/03
  • メディア: Prime Video
 

来そうだなーと思ったらNetflixに来ていたので。

なんか以前から薄々思っていたけれども、あーそうかーアメリカでは若年層にある程度政治がブームになってきてるのかー。まあSNSで情報が浸透しやすくなって、という状況は普通に考えたら国民の政治参加に対してプラスに働くよなーどう考えても。もちろんその状況が今のようなフェイクニュースの蔓延を招いてもいるのだろうけど。

まーしかし、最高裁がきちんと政治と対峙して国民に共有される状況ってのは、まあ民主主義って感じでございますね。もちろん今のアメリカの民主主義が全部素晴らしいってワケでは当然なく、だからこその歪みに喘ぎ軋んでいるのが今の状況ではあるのだろうけど、少なくともその喘ぎ軋みさえも隠蔽されていない本邦とはまあ雲泥って感じだよなー。まあそもそも裁判に対する日本の関心が低すぎる、という感じもする。

しかし昨日『それでもドキュメンタリーは嘘をつく』を読んでしまったので、ドキュメンタリーに対する見方はなんか一層注意深くなった気がするなー。っていうかこういういわゆるリベラルな政治的主張を色濃く滲ませたドキュメンタリーのエンディングが意識高い歌なのマジでなんなん? 内容的にはかなり感心するのだけれども、あれ聞く度にクッソ萎えるのだけど、まあああいうのに鼓舞されちゃう支持層が多くなってるってことなんだろうなー。

ダウントン・アビー

 

劇場版 ダウントン・アビー ブルーレイ+DVD [Blu-ray]

劇場版 ダウントン・アビー ブルーレイ+DVD [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/06/03
  • メディア: Blu-ray
 

あー、これテレビシリーズの続編なのか。オリジナルキャストが演じる立て付けだったのね。なるほどなーだからこういうわりと雑なキャラ紹介で登場人物たっぷりにやってたのねなるほどなー。

まーそういうバックグラウンドがあったからこそカタルシスーって作りになっていたんだろうなあ。正直「あなたもファイトがあるのね!」とか急に言われてもエーって感じだし、引退から復帰とかいわれてもへーそうですかーとしかならん。突然ホモセクシャルはうひゃーとなったけどね。ヤッパリああいうのは普遍的だね。まあともかく単品ではちょっと厳しいデキではある。国王お迎え大作戦も、単品で見たら全然大したことない内容だしなー。しかし改めて考えるとそうかー、確かに国王やってきて引退撤回で大騒ぎ、というのはいかにも適切な劇場版って立て付けな感じだよなー。ラストもそういう大河の蓄積があるからジーンとくるヤツになってるんだろうなー。

イギリスっぽい映画の空気をたっぷり吸えたから、まあそれはそれで満足ではある。会話の端々の毒気がまあとても良いですね。こういう映画を見る度に、言語で聞きたいわーと思います。それにしてもマギー・スミスがステキだこと……もう結構な歳よねえ。