ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

クロール ―凶暴領域―

 

クロール ―凶暴領域― [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
 

いかにもサム・ライミが好きそうやなー。

どっかで予告編が見たことがあって、珍しくこれ一発で「おもしろそー」と思ったんだけれども、その予告編で想像したものがきちんと提供されていて、うんちゃんとしてるなーと思いました。まあちゃんとしすぎというか、ストイックにやり過ぎててもうちょっと広がりというか展開があっても良いのかなーとは思いましたけど、このくらい提供されれば基本的には満足かなあ……序盤ちょっと狭い空間でのサスペンスがたるかったところもあるけどね。映像的にちょっと苦しかったかなーと。ただそれから上に向かっていく展開も含めて、設計されているなーとは思いました。

あと結構真面目に「家庭」の問題を並列で走らせていて、うーんこれは結構シナリオとしても真面目に作ろーとしているのでは? という感じもする。かつては幸せだった家の地下にワニがいて、ハリケーンの到来とともに人間に襲いかかる状況は、まあふつーに比喩として受け取ることができるアレですよね。

しかしなー、ドラマとしてはボートを手に入れた後に決壊で家に結構無理やり押し戻される展開はちょっと辛かったなー。もちろんああやってクロールで家を出た主人公が、外的な障害で家に押し戻される展開が、比喩の意味で必要だったのはわかるんだけれども、ドラマとしては親のコーチでわだかまりを解消しての脱出が感情的に出来上がってしまっているわけで……うーん、しかし如何ともし難いのかなーあれは……

マンク

www.netflix.com

デヴィッド・フィンチャーの映画がNetflixに来てるのに全く気付いていなかったとかマジで迂闊。っていうか結構映画久々?

ぶっちゃけ『市民ケーン』を見たのってだいぶ昔なので、この映画のスタイルがどこまでスタイルを再現できているのかがちょっとわからない。シーンの切り替えのところとかは特徴的なことやってるけどあんな感じで切り替えるんだっけ? 手前に人物がいるカットも多用されていて、あーたしかパン・フォーカスの教科書に載ってるヤツだよねーと思った。1回ちゃんと見返そうかしら……

しかしデヴィッド・フィンチャーの父親が書いた脚本なのねこれ。結構扱われている題材がタイムリーというか、今映画にする意味がきっちりあるというか、むしろ今に向けて描かれたわけではないというのが意外というか。演出でいろいろ弄ったりはしたんだろうけど、まあここら辺は普遍性がある内容ってことなんだろうなあ。最初はちょっと構成がわかりづれーなーとは思ったけれども、終わってみればかなり狙いは露骨だったのだなーと思う。っていうか共和党への不支持をあそこまで露骨に全面に出すのすげーよなー。カリフォルニア州!

あとデヴィッド・O・セルズニックが「あれー本物のこの人の写真はなんかで見たぞ何だっけ?」と思ったんだけれども、あー、ヒッチコックと『レベッカ』でやり合った人か。

撮影のスタイルもあってか、デヴィッド・フィンチャーということをそんなに意識せずに見た内容だったけれども、ナチスやら新聞王やら愛人と象やら飲酒やら、時代の空気に浸るないようだなーと思いました。

ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡

 

ラドクリフなんか遭難ばっかりしてね?

序盤は一体どこに行くのかわかんねーぞこれ……という映画で、しかしつくりからいうと「この状況は仲間割れで人間って怖いという話になる展開だよなー」とか暢気に思っていたのだけれども、なんか急にただのサバイバルだった。いやまあそれはそれで面白いのだけれども、なんか想像してたのと違った。まー事実を元にした話なんだからしゃーないのかもしれないけれども。オーストラリア映画ってことで、ここら辺の自然への恐れみたいなのは結構身近なのかもしれないなーなんて思った。マッドマックスでも思ったけど。

どう考えても一番印象に残ったのは寄生虫で、アレ実話ってあそこも実話ってことですか? あんな短期間であんなデカくなるの? っていうか切開したあとびちびち跳ねすぎじゃない? 雛食ったり足乾かしたり、急激にグロ展開のオンパレードで、うおーとなりましたなりました。

しかしこれ全体的には通過儀礼の話ではありますよね。ユダヤ人の出自を持っていて父親の抑圧を受けていた少年が、サボテン吸ってジャングルで死にかけて幻覚を見て現実世界に戻ってくるとゆー。そういう大きなレベルでははっきりした構造があるのだから、そこら辺に紐付けて面白くなっても良かったのになー。

と思ったらラストでめっちゃ怖い話がポン! と出てきてやっぱり「人間怖い」という話なのだった。いやあのラスト怖すぎるでしょ。語られないことは恐怖を呼び起こすんだなーと思い知らされましたよ……

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

 

ヴァレリアン 千の惑星の救世主(吹替版)

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  • 発売日: 2018/07/20
  • メディア: Prime Video
 

駄目なリュック・ベッソンですねー。本当にダメ。

とにかく途中で突然出て来る謎のダンサーがマジで謎。ダンスパートで突然たっぷり時間かけて、「おめーナニ暢気にバーレスク見てんだよ!」ってことをしたかと思ったら、突然いきたっぷりのコンビネーション見せて、しかも理由もわかんないまま呆気なくお涙頂戴の死とか……いや、あの流れは今年見た映画の中で一番クソな脚本になってると思う。

あと、命に対する価値観もマジで良くわかんないですね。種族の皇帝とかあんなにサクッと暗殺して全く悪びれないとかマジで謎。それがアリなのに種族一つ滅ぼすのには倫理的な葛藤があるみたいな立て付けは、いやーこれものすごくルッキズムを想像させていやですよね。とかいいつつも原作がマンガで、すると記号的に悪を描くとああいうビジュアルになりがち……という根本的なコンフリクトを孕んでいるヤツではありましょーが……

それにしても、いきなりカラーがあんなに華やかなのは中華資本入ってるからそっちの好みに合わせてるのか!? とか謎なことを考えてしまいました。西遊記とかああいう明るくて彩度クソ高な絵作りがめっちゃ印象に残っていたので……それにしてもあそこのパート、観客を引き込むことを完璧に放棄していてびっくらこいたぜ。パントマイムでやるなら貫徹すりゃ良いのに、途中から雑に台詞が入っちゃうしさー。なんなのアレ?

アポロ11

 

アポロ11 完全版 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/10/21
  • メディア: Blu-ray
 

再現フィルムとか全く使ってないのかしらねぇ。最初の方の会議の絵とか、フォーカスがきちんとしててビックリしたんだけれども。途中挟まる絵も、特に序盤はドキュメンタリーというには作意が強くしっかり作ってあって、「うーんこの映画の立ち位置はどこなんだ?」っていらない疑問を抱きながら見ていたというのは正直あります。

でまあ内容なんだけれども、本当にアポロ11の打ち上げを丁寧にやった……という感じで、しかし本当に丁寧にやったもんだから、別に何もやってないんじゃないの? という風に感じてしまうというか……ドキュメンタリーって、素材を丁寧に並べただけじゃ駄目なんだなーというのがすごくよくわかりました。とあるストーリーに合わせて素材をどのように並べて何を主張するのか。もちろんそうやって制作されたニュースやらノンフィクションやらが危険だとされるのも理屈としてはわかるんだけれども、そもそも人間が何かを認識したり解釈するうえではストーリーって避けようがないもので、だからそういった軸とか物語とか作意とか、そういったものを排除したらそもそも作品が成立しなくなるのだなあ、という風に感じました。

まあアポロ絡みのドキュメンタリーは結構見ているので、今更そんなに「うおっ」となるところはなかっただろーか。強いていえばラストの会場にJFKの言葉が書かれていたってところに感慨を覚えたとか……あ、あとミッションコントロールにあんなにカメラあるんかい!? というのにはビビりました。

ボーダーライン ソルジャーズ・デイ

 

スピンオフ? なのかしら。ボーダーラインの記憶がすでに全くないのでどういう内容だったかはあんまり覚えていない。のでそこら辺に面白味がそこら辺を無視した感想になる。のだが。っていうかこのつくりだとそこら辺抑えられないと大いに面白味を味わい損なっている、ような気がする。

全体的にちょっとたるくね? という感じはして、お話の立ち上がりが遅いのがちょっとなーという感じ。冒頭であんなにショッキングな出来事を起こしておきながら、そこがあんまりストーリーの本筋に関わってこないのはどーなのよと思う。っていうかそこに共感させる対象もいないんだったら、あんなに子供を用いたショッキングな演出にする必要ってある? うーん、よくわからん。

なんか手話の部分が突然抜群に良くて、ああいう緊張感が手話みたいなマジック一発で解きほぐされてしかも説得力あるのが映画って感じだよなーと思う。けどまあそれ以外にちょっとグッとくるところはなかったかなー。最後に生き残るのも「えーっ」って感じだし……アレがアリなのはちょっと全然納得がいかないなー。なんであんな感じになったんじゃろ……

ダークタワー

 

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  • 発売日: 2018/12/05
  • メディア: Blu-ray
 

いやー、つまんねー。なんでこんな映画作ったんだろ。

キング原作の映画って基本的にそんなに映画としての面白味はないなーと思っている。『シャイニング』はまあ色々あったけれども映像化としては納得のいくないようになっているよねー。『ミスト』も監督が気に食わなくて全く良い作品だとは思わないんだけれども、でも脚本的にはああいう閉鎖状況とかジリジリとした恐怖を描くのが正しいんだろうなーってことはわかる。クリーチャー相手に真面目なオモシロアクションする作品じゃないよね。『ドクタースリープ』なんかも面白かったのは遠距離での人間と人間のジリジリとした牽制のしあいで、いざ実際にバトルの描写があると「え? それで?」という感じ。なんつーか、原作がいかにも小説ってジャンルの特徴を生かした表現になってんじゃないのー? それは映像化した時に勝算あったのー? と思うことがしばしば。

で、その感覚が一番出ちゃったのがこの映画って感じ。ポータルで何の説明もなしになんかよくわからないうちに床がメリメリってなって、なんだかよくわからないうちにそのメリメリから脱出して……みたいなパート、あれ絶対小説だからうまく行く表現でしょ? 肝心のガンスリンガーの戦い方も、CG使って色々やられても別におもしろくもない見せ方になっているし、敵側もあんなサックリやられちゃうし……いや、たぶんあれ文章ベースだったら手に汗握れたのかもしれないけど、映像だと無理だよ。

そもそも序盤の日常生活パートから、うーんこれは小説だったら機微を描けてるんだろうなーって感じだし……本当になんで映像化したんだろう。ってかそもそもこれってキングの集大成みたいな作品なんです? この尺でまとめちゃうのって大丈夫だったんだろーか……