ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

オンリー・ザ・ブレイブ

 

オンリー・ザ・ブレイブ [Blu-ray]

オンリー・ザ・ブレイブ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2019/10/02
  • メディア: Blu-ray
 

意外なほどストーリーの軸がちゃんとしててビックリしました。題材も現実に起こった出来事を元にしていて、うーんちゃんとしてるないい映画だなーという感じ。この監督がトップガン撮るのかー。オブリビオンは脚本がどーなの? と思ったけど、ちゃんと他人に預ければ良いものを撮ってくれるのではなかろーか。

前に『ファイヤー・イン・パラダイス』をみてたのが大変良くて、あの映画でも周囲に火が舞う中を地面に伏せてジッと炎が行き過ぎるのを待ったという話があったから、防火テントの訓練は「あーテントがあるとさらに生存確率高まるよなー」なんて暢気にみていたので、クライマックスにはマジで衝撃を受けてしまったのだった。アレだけ散々訓練した挙げ句にああいうオチ、というのは積み重ねがちゃんとしてるよなー。

あとその後の体育館に行くところの描写も大変良くて、家族の絶望をあの感じで表現するのはザ・映画って感じで素晴らしいですね。まあそこから先のドーナツくんの立ち直りとかをもうちょっとうまいこと描いてあげたい気もするけれど、それは現実が下敷きだからしょーがないかなあ。

なんにせよ、火災の恐ろしさが観客を圧倒する展開を、ストーリーが丁寧に誘導していて、うーんこれは良い仕事だなあと感心させられました。

ハリケーン: ある風の軌跡

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ハリケーンのドキュメンタリーっていうからにはハリケーンハンターの人たちがマッドマックスもかくやという装備の車で中心に突っ込んですげー映像をガンガン流してくれるのを期待していたら、「私はハリケーン」みたいな女性ナレーションが語る環境映像的ドキュメンタリーで大変拍子抜けしました。いや勝手に期待した俺が明らかに悪いんだけど。だけど。でもさー。

うおーすげー! とならないのは別にここで流れている暴風の映像とか別にそんなに珍しくなくね? と思うからなんじゃろーか。去年の台風とかの方がふつーにヤバい感じだったよなー。確かに台風を自然の動物がどのようにやり過ごしているのか、みたいなのはちょっとおもしろかったけど。

あ、おもしろいといえば水浸しになった平原を牛が泳ぐ光景で、ポツンと取り残された家に牛が避難しているのは最高の絵面ですね。あの異世界感はアメリカのスケールだからこそだよなーという感じ。

あと、ハリケーンの目に入ったショットはふへーって感じ。セリフの作った感じからいって多分合成? なんだろうけど、まあ一応取材して再現したもの、なんだろうねえ。

っていうかこういうのって、明らかにテレビ向けのつくりのセリフなんかがあると、「どこが再現? どこが生素材?」みたいなのを考えてしまうから、そういう断りみたいなのがどこかにあると良いなーとは正直思う。

ボム・ザ・システム

 

ボム・ザ・システム [DVD]

ボム・ザ・システム [DVD]

  • 出版社/メーカー: ナウオンメディア(株)
  • 発売日: 2006/04/04
  • メディア: DVD
 

こいつもグラフィティの映画。

ストリートアートとの対立というか、思想の違いが出ていてへーなるほどーという感じ。あーこいつらやっぱ絵を描かないとジャンキーになって廃人になるかギャングの抗争で死ぬしかない世界感なんだよなーという感覚があってよろしい。冒頭のモノローグのかっこよさったらないですねー。

ただ町の空気みたいなのはもうちょっと感じたかったなーというのはあって、そこはちょっと不満かなー。システムというか、場というか、彼らをその場に留め置いている磁場みたいなものが全然なくて、友人とか家族とか恋人とかライバルとか景観とか変なグルとか、徹底してそういう個人的な繋がりだけで物語が紡がれていて、その徹底はそれはそれで大変青春っぽくもあるんだけど、個人的にはそういった状況をつくり出す文化的背景の方に興味があったんだなーと思う。

ストーリーはまあ感傷的な結末を迎えるわけだけれども、ああいうどこにも行けない人間をこういったアートの映画で描いちゃうのはやっぱ残酷だよなーと思う。全然違うんだけど、そういう意味でオレは『シティ・オブ・ゴッド』がめっちゃ好きなんだなーというのも再確認したのだった。

 

ヤクザと憲法


『ヤクザと憲法』劇場予告編

うーんすげー。

何がすげーってまず取材陣だよね。よくもまあこんな空間にずんずん入ってってあっけらかんとカメラ回してずけずけ質問するわ。あまりに怖いものなしでこんなん笑うしかないでしょ。恐怖に対する感覚が完璧に抜け落ちているとしか思えない。シャブ買ってるところに質問して笑ってはぐらかされるとかちょっとねー、すごすぎるよー。

ほいで潜り込んだヤクザの事務所の様子もまたこれちょーおもしろい。というか、しんどい。出てくる人間が大体みんな年寄りで、事務所もなんだかんだ貧乏くさく、なんかもうどこにも行けない感じが半端ない。

さらにそれに輪をかけているのが新人の丁稚君で、彼のもう一発でわかる要領の悪い感じがほんとうにしんどい。いやーしんどい。どこにも行けない。マジでどこにも行けない。

一応ヤクザの人権の話? をやっているのかな? というところもあるが、別にそれもドキュメンタリーっぽくする単なるポーズかなーという感じもしなくはない。まあ弁護士の人のエピソードはすげーなーと思う。っていうかあのおばちゃんのキャラ、フィクションかと思うよねー。ヤフーで占いを調べるとかそういう細部が堪らんわ。

シャザム!

 

シャザム! [Blu-ray]

シャザム! [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: Blu-ray
 

DC相変わらずきっついなー。まあ何度も同じことを言っている気がするんだけれども、マーベルの外し方が本当に手慣れすぎてるんだろうなー。

この映画も、ヒーローが既にいる世界でヒーロー的な振る舞いのパロディみたいなのをやってるんだけれども、そういうちょっと外した描写がビックリするほどかったるい。電車の中でダサユニフォームを「ダサい」って乗客に言わせるだけとか、はっきり言って芸がなさ過ぎるでしょ。マジでそういうところはマーベルウメーなーと思う。透明人間パートは良かったけど。

テンポの悪さも本当に辛くて、えーと、あんなふつーのドラマみたいに家族の紹介するとかありえます? あそここそポンポンポン! って編集でエッジの効いたエピソードブチ込んで印象づけるところじゃないですか。音楽の使い方もしんどくて、例えばクイーンを流すのにあの躍動感の物足りなさはマジでキツかったなー。あそここそ車を壊すとかいかにも定型の説明不要のエピソードでダイジェストしつつヒーローになった喜びを炸裂させなきゃならんのではないかなー。ってか冒頭の事故シーンもほんとテンポ悪くてひでーよなー。占い使って将来を匂わせる脚本自体は全然悪くないと思うんだけどさー。あの中途半端なスローモーションが中途半端に2回挟まれたときは、うーん冒頭なんだからもっと気を遣えよーって感じになりました。

我こそはナポレオン

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コスチューム着て戦争再現というのはまあ時々聞くし、この映画で取り上げられたワーテルローもどこかで見たことがあった気がしたので、さて実際どんな感じなの? と疑問は持ってたのだけれども、雰囲気を掴むのにはよいドキュメンタリーだと思った。ってかおっちゃんたち楽しそうだなー。兵士が大して若くないのはちょっと笑えるけど、でもある種のオタクが自分たちの趣味にこれだけ熱中してそれを披露する場がある、というのは大変羨ましく思いました。山道歩いて運動にもなるしねえ。

一方、この映画の中心にいるふたりのナポレオンの個人的なドラマに関しては、うーん正直どーでもいいなーという感じ。あんまり全体を通しての縦糸になっている感じがしないっつーか……フランス人とアメリカ人の違いとかで役割を演じることが批判されるとか、なんか余りにふつーの問題提起でピンとこない。ナポレオンのそっくりさんで人気者だけどそれがちょっとした過ちで転落人生で……ってストーリー、ふつーに考えればおもしろそうな感じもするんだけどなー。なんでこんな興味が持てないんだろう。むしろナポレオン以外のおっちゃんたちの話を聞いてた方が楽しい。「今年こそは勝つぞ!!」

あとなんだかんだ大統領がやってこないのに文句をつけている場面とかが映っていて、あーそうかー当たり前だけど歴史を再現することで自分たちのアイデンティティを確認する機会でもあるよなーと思った。侵略したり受けたりしまくりのヨーロッパだから、否応なしにそういう過去の振り返りは必要になるんだろうなあ。

中支那鉄道 建設の記録

 

中支那鉄道 建設の記録

中支那鉄道 建設の記録

  • 発売日: 2019/11/14
  • メディア: Prime Video
 

こんなんあったら見ちゃうでしょ……昭和12年、南京事件ドンピシャのタイミングの記録映像とか……あんまりここら辺の歴史に詳しくない自分でもすごいのわかるよ。ってかまず「鉄道省」の文字がどーんと出だけで「恐れ入りました」って感じ。そうだよなー鉄道はやっぱり歴史を買えたツールだもんなあ。山田洋次がアジア号とかのドキュメンタリー撮るのもまあわかる。

ってか南京入城から10日で鉄道が走ったってマジかよ? ここら辺戦時下のプロパガンダの色も濃いだろうからなんとも言えないけれど、しかしそれだけ兵站の重要性を強調してるってことではあるよなー。

いちいち「復興のため」ってワードを強調したり、あと中国人との融和みたいなところをバッチリ見せてるあたりとかも、うーんなるほどこういうロジックを浸透させることに注力してたんだなあと言うのがだいぶ伝わる。

鉄道自体はもちろんなんだけれども、上海の焼けた街並みとか、当時の駅のホームの様子とか、時々挟まるそういうディテールが大変よいよなー。むしろそっちの映像の方がもっとガンガン見たかった。駅のホームの西洋っぽい柱は、時代的に開平楼閣とか思い出しちゃうよなー。そういえばアレ、馬賊から守る昨日とかあるんだっけ。最後に鉄道を守るための戦いの様子とかを再現して撮ってたけど、インフラを守り切るってやっぱり平時じゃないと無理ゲーだよなーと思わされましたよ。