ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

アメリカの警察

 

うおーなるほどなー。アメリカの警察っていっぱいあってよくわからなかったんだけれども、そうかーこういう背景があるのかー。これ、まさにアメリカっていう国家が生み出した形態なんだなあ……いや、普通にこの形態で組織同士の連携がうまく行く、というのが国としての強みなんだろうな。すげえなあ。

それぞれの組織の成立などだらーっとなぞってあってなるほどなるほどという感じで、J・エドガーなんかやっぱすげーんだなーというのを(映画の評価合わせて)再確認したのだけれども、なんだかんだ結局最後の方の銃規制とBLM周りの問題に全部持って行かれてしまった感じはある。いやまあそれまで大きなアメリカという国家における警察の見取り図を書いた後で、現代の問題に繋げているのだから、全体がそういう構成になっているわけだけれども、なるほどなあとめっちゃ納得しました。銃の所持を農家が強く支持してるとかうおーなるほどそういう理屈かーって感じ。最近見てる世界のドキュメンタリーでも、そういう地域のコミュニティに密着した警察とは異なった治安維持の仕組みに言及していたなあとか思い出した。

あとついでに、ハマラ・カリスってオークランドの出身なのね。ブラックパンサー含めてようやく自分の頭の中で文脈が繋がった感じ。いや、全体を通してそういうロジックの隙間が繋がるような感覚があって、とても面白かったです。

激動の昭和史 軍閥

 

あ、これちょっと見所があるぞ……

二・二六事件ってやっぱり歴史の中でどういう位置づけかよくわからんところもあったんだけれども、この映画の冒頭で取り上げられると「あーなるほど」って思うな。そうかこれ昭和11年とかの出来事か。いやなんでそういう視点で見なかったの今まで? という話だけれども、どうもこう、クーデーターってそれ単体が異常な出来事って感じで、それを太平洋戦争と結びつけて考える思考回路がなかったのだった。いやでもホントすげえ事件だよなあ……そして鈴木貫太郎が命を救われるという巡り合わせよ……

全体を通して東条英機の映画で、彼の信念やら苦悩やら独裁やらで終戦までが括られているわけだけれども、もうひとつのラインとして「マスコミが果たすべき役割」への思いが結構強めに押し出されていて、日本の実録でこういうアングルの映画があったんだなーとなんか新鮮に感じたのだった。「竹槍事件」とかたぶん初めて知ったけれども、いやあこれだけで映画の題材になるようなものだし、それを教訓みたいな形で映画に落とし込むこともあったんだなーと感心してしまう。いや、日本にはこういう形でマスコミを語る映画って、あんまり思い当たらなくてさあ……『新聞記者』とかあまりにも表現が稚拙で、この映画の特攻隊員からの糾弾の意義を見てくださいよ、という感じ。

後はまあ、サイパンの赤ん坊のエピソードが強烈だよなあ……あの話からの東条英機への編集は、たまらんですね……

青空にとおく酒浸り

 

7巻で休止してるのか……そういや途中で読むの止まってたな……と思ってまとめて買ったんだけど、いやー、なんつーか、相変わらず過ぎて笑ってしまった。この密度でこの長い間ギャグマンガを書き続けてるって、うーんちょっとすごすぎるな……いや、なんなんだろうかこの実家のような安心感は……

もちろん例によって際どいパロディも秀逸なんだけれども、今作キャラが結構強くてあーなんかふつーに面白いなーと思いました。各話の密度こんなに濃かったっけ? ヒロインが思いつきのように変わってしまったり、突然火星人刑事が登場したり、なんかいつもと変わらぬストーリーの行き当たりばったりさではあるけれど。いやー、休止は惜しいなー。いや続きが気になるとかでは全くないんだけれど、無限に読んでいたいと思えるだけの安心感がある。

あと、結構真面目にSFとバトルをやっていてビックリする。特にマイクロマシンで人格にまつわる細かなあれやこれやは「えっ、そこまでいくの?」って感じで驚くよ。でで、そこからちゃんと(ただのトンチキじゃない)バトルモノとしての描写に踏み込まれると、あれれ? すごいちゃんとマンガしている! と手に汗握ってしまうのだった。

あと、その設定から無理やり突然女の子同士にちゅーさせちゃうの!? みたいなカッ飛ばし方は「あれ? こんなに生っぽかったっけ?」とも思う。まあ今回生っぽい下品さが全面に押し出されてはいる作品で、だから表紙がこのパパなんだろうけどなー。

 

美しき獲物たち

 

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  • ロジャー・ムーア
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相変わらずの007。偉大なマンネリズムって感じ。いやまあ面白いかどうかって言われたらオレは全然面白くないんだけれども、それはそれとしてシリーズとしてここまで続くのはすごいなーと思う。

OPが突然いかにもエイティーズって感じのサウンドと音楽になって、うーん時代が変わったなって感じがする。基調は変わらないのに音楽が変化するのは面白いなー。

あと今回はロジャー・ムーアの007の最後なのか。今回は色物キャラ枠が黒人女性に設定されてんだなー。一応彼女の復讐的な側面もあったりして、うーんちょっとずつ時代が近づいてきてんのかな、という感じもしなくもないが、さてここら辺からシリーズでどう女性が描かれていくのか……

今回の見所は、クリストファー・ウォーケンの謎のブチ切れ虐殺シーンだったなあ。ラストの死に方が呆気なくてちょっと拍子抜けしちゃったけど、ストーリー的にあんまり意味ない銃乱射はなかなかよろしかったです。

飛行船は印象的なんだけれども、せっかくだからあの滑り台階段とか使える感じにして欲しかったよなあ。ラストシーンの場所からの逆算で繋ぎ的には無理やり……というのひはわかるんだけれども、侵入シークエンスとのトンデモ基地が鉱山だったのは、うーんもう少し突飛でも良いのになーとは思った。全体的にトーンがシリアスよね。

素晴らしきかな、人生

 

いやいやいや! このタイトルでリメイクじゃないのかよ! ふざけんなよ!

という感情が先に立ったこともあるかもしれないけど、あー、ダメな映画ですねコレ。デカい叙述トリックが真ん中にあるわけですが、それが「騙すための騙し」になってしまっていて全く意味がない。こんなどうでも良い引っかけを見せられるくらいだったら、オレは最初からきちんと、子供を亡くしてすれ違ってしまった夫婦が絆を取り戻していく話が見たかったよ。

あと最後に人間じゃないことを示唆される3人の存在も全く意味不明。こういう立て付けにするんだったら最初っからもっと超常的な存在として描かなきゃダメだし、あと例えば時間が言い負かされちゃったらアウトでしょ。そういうなんの意味もないひっくり返しは本当にうんざりする。

あとやっぱり根本的にキャラクターたちに感情移入しづらいよね。雇用を守るためとか言っているけれども、こういう騙し方でセラピーが必要な人間を騙そうとする話は根本的にダメでしょ。ウィル・スミスも、そういう状況を映画としてつくっているのはわかるけど、それにしたって会社に対する考えがテキトーすぎるでしょ。

導入とかは全然悪くなくて、抽象存在でお芝居をするとかいうアイディアはとても良かったので、後半の展開にはもう心底ガッカリしました。

うつ病九段

 

エッセイで読もうと思ってたんだけれどもマンガが半額で安かったので先に買ってしまった。

うーん、これはなー、やっぱり理解度の違いで全然変わる病気だよなー。自分にも身近にうつ病にかかったりする人間はいて、果たしてそれにどう接していいものやらみたいなのは悩むので、こういうふうに世界が見えてしまうという証言は普通に助かるよなー。そしてこういうことを言語化するという作業が本人の治療を早めるかも、みたいなアングルが提示されて終わるのも、メタも絡んでとても感動的で良い。ここはすごく良い。

しかし兄がドンピシャでいて良かったよなーという感じ。お兄さんが専門家でもこれだけ苦労するのだから、そういう人が身近にいない家庭だったらめちゃくちゃ苦労するよなきっと……そもそも病院に連れて行くだけで一苦労もだろうもんなあそういう状況だと。

あと鬱の個別の症状もそうだけれども、先崎九段が藤井フィーバーの裏でどんな将棋界の見え方をしていたのかもわかってとても興味深かった。ふつーに追いかけてもそうなんだから、そりゃまあ雁木の流行なんて意味不明にしか思えないだろうなあ……っていうかやっぱり三浦九段の問題はヤッパリでかかったし、そこから藤井聡太が現れるのってワケわからん展開だな将棋界。あとなんか佐藤森内の見舞いもそうだけれども、羽生さんとの話し合いのシーンの距離感とかがなんか良かったです。

探偵はもう、死んでいる。

 

 

うーん、ダメだ……読めない……西尾維新がブイブイ言わせ始めたくらいのミステリってこういう感じのブン回し方してたよーな気もするな。でもあのキャラクターのつくりってこんなに雑だった? もう少しちゃんとキャラの書き分けしたり主人公に対する接し方が「気持ち悪い」という自覚のある気持ち悪さだったり、そういう抑制って聞いてなかった? 当時の自分の世界の見え方が雑だっただけなのかしらねー? うーん……

なんつーかまあひっくり返すためだけの設定がてんこ盛りのストーリーで、非常識な状況がガンガンのっけられているにもかかわらず、時々その「非常識さ」こそが真理に到達するための鍵だった、みたいな恣意的な運用をしてくるので、はっきり言ってマトモに推理につきあう気になんてなれるわけがない。そういう立て付けで話を作るなら、推理のヒント以外はガチガチに整合性がとれる状況をつくらなきゃならないはずだよね。そういう意味で、終始「推理どうでもいー!」って感じの話。

じゃあまあ推理以外でキャラクターを魅せる読み物としてどうかというと、主人公の饒舌で迂遠な一人称が「いーからさっさと本題入れや」という感じになってしまうのはある程度は狙い通りなんだろうなあ。全く好感持てないけど。でもヒロインのキャラ立ては、もっとちゃんとやってあげるべきだと思う。なんかもったいぶって地の文で「すごいやつ」って言ってるけれども、その凄さが全然伝わらない……のはまあ百歩譲っていいとして、でもその凄さが強調されたから生まれる説得力のある展開とか、別にないんだよな。そこら辺をコッチ側から迎えにいって共感するのはとても難しいなあと思いました。