ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

惑星のさみだれ

うーん変なマンガ……序盤からとんでもないカッ飛ばし方でストーリーをスタートさせるけれども、それが中盤以降なんかふつーの能力バトルものになって、それがラストでまたとんでもないカッ飛ばし方をするのがとても変だなーと思う。世界の危機が近づいているのに場所も基本裏山でのバトルで、キャラクターも結構早めにみんな出揃ってそこから関係性と過去の彫り込みで展開していくという、うーん、改めて考えてもすげー不思議なドラマである。

またこういうバトルものって死者はバンバン出るもので、それに対しての喪みたいなのを繰り返し描くとそれはそれで食傷気味になりそうなものなんだけれども、逆にここまで全編通して死者とどう向き合うのかみたいなことを描かれると、それはそれで逆にアリなのかなーとも思ってしまう。

いやー、こんな地味な立て付け(ある意味ではめっちゃ派手だが)でまあ、良くも10巻もストーリー回したもんだなーと、感心してしまう。いやあ、ふしぎなかんじだなあ……

セリフ周りはとても気が利いていて、このオフビートな感じというか、小洒落た台詞の応酬は、なかなか出てこないセンスなのでとても良いと思いました。

あとどーでもいいけどthe pillowsかな? と思ったらthe pillowsだった。ビスケットハンマーというワードをチョイスしたのはなかなか好感が持てますわね。

 

 

フラグタイム

 

そ……そうか……これが百合として通用するのか……まあ別に俺、ちゃんと百合は追いかけていないので、世の中で持てはやされる「百合」ってのはあんまり理解できてるとは思えないけど……そうか……そうなんだな……

まあそこら辺をさておいて、もーとにかく主人公が自分の気持ちで手一杯なのがマジしんどい……後半でようやく相手の気持ちを慮る方向に話が進むわけだけれども、恋愛で相手の主体性が全く考慮に入れられないまま、関係性のサスペンスで話が進んでいくのが本当に辛かった。ようやくラストでその辺りの理由も語られるわけだけれども、それまでマンガの展開の都合で主体性を無理やり奪われていたようにしか見えなかったので、突然彼女に内面与えるような描写をされても、ちょっと全然ついていけないですね。

まあ全体的に「3分間時間を止められる」というアイディアが全然生きてないのも痛いんだけどさ。なんで「自分が嫌なことから逃げ出したい」とか「彼女がなんかよくわからない理由で時間を止めたいと願うから」とか、そういうどーでもいい理屈でしか時間止めないの? 世界が静止してたったふたりの時間が共有できるという尊さが生きるような、ふたりvs世界の構図なんていくらでも作れんじゃん。

あとそもそも、ヒロインの「パンツが見たい」って動機は、もっと抽象的なレベルで物語内に回収されるべきでしょ。「あのヒロインのスカートの中に隠蔽されたものを見たい」という動機は、つまり彼女の素顔が見たいという欲求なワケでしょ? なんで第1話でパンツ覗かせたのか、もう少し考えた方がいいと思う。

ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド

 

ピーター・ジャクソンのドキュメンタリーはなんかめっちゃ映像的に面白いことをやっているという話を聞いていたからすげー楽しみにしてたんだけれども、なかなかカラーにならないもんで「あれ? 映画間違った?」って何度も確認してしまったよ。注目のヌルヌル動き出すのは戦場パートからなんでご注意下さいませ。

第一次世界大戦ってあんまりエンタメでも記憶がなくて、キューブリックとスピルバーグとあとこないだの『1917』か。一応『西部戦線異状なし』も見たはずなんだけれども、遥か昔のことで記憶がない……まあ、「映像の世紀」的なドキュメンタリーではさすがにだいぶ見たけどね……

ので、映像がカラーになってぐわって迫ってくると「うおおお……」という感じはやはりある。特に水の表現なんかは当時の映像だとなかなか良く認識できないので、こうやって補正されて見えると「うげーこんなところで突っ立ってたらそりゃ病気になるよなー」って説得力が半端ない。あと死体なんかも、白黒じゃよくわからないハエの描写とかがバッチリ映ってて、うーんやっぱりカラーになるだけで映像の解像度が全然違うなーと思わされます。あとはなんといっても音がちゃんとしているのはデカいなーと思う。もちろんインタビュー含めて色々演出が入っているのだろうけれども、まあこのドキュメンタリーはそういう広い視点から見た抽象的な戦場を描いているわけで、だったらここまでやっちゃうのが正解だよなーと思いました。

魔法少女まどか マギカ10(展)

10th.madoka-magica.com

1話から順繰りにキャラクターをフィーチャーして展示していくのは、まあオーソドックスだけれども納得感のある展開だよね。実地でストーリーを辿っていくから自分の中でも展開が先行して作れるのでだいぶ前のめりに見ることができる。

展示物は基本的に原画とかの印象が強かったかなー。等身大のトルソーとかは存在感があったし、謎のインタラクティブムービーもちょっとだけギョッとはさせられたし、あとイヌカレー空間みたいなのがリアルで展開されているのもまあまあなるほどなーと思ったけれども、どれも単体でめっちゃすごいとかそういうものではなくて、やはり全体的に視聴者の視聴体験を喚起させるような形になってるって印象が強い。そういう意味では、印象的な円形のモチーフで飾られた10話の振り返りみたいなところは、ストレートに説得力があったと思いました。

ただ入場制限はとられているものの、ソーシャルディスタンスに対しての対策がバッチリOKかというと、それ結構疑問だよね。展示物がある以上、人が集まるところにはどうしたって人が集まっちゃうし、あとこういうイベントって一人で黙々というよりは、友人知人でわちゃわちゃ話しながら……という側面もあるし。この展示だけの問題というわけじゃないけれども、なかなか難しいなー。

ストーリー

 

ストーリー

ストーリー

Amazon

いやー、いろいろなかなか面白いものだなー。

正直序盤はジャンル分けとか言われても「うーんそんなん意味あるの?」みたいな風に思ってしまう。あとから分析的にジャンルとしての特性を洗い出すのはとても楽しい作業だろうけれども、作っているときにストーリーをその枠組みから見るのってあんまりピンとこないなーとか。

あと3幕構成ってそれどれだけ妥当なの? という気持ちもあったりね。まあそこは映画というおよそ2時間尺のエンターテイメントから体感的に導かれた人間の生理に関わる者なのだろうなーと納得するしかないのだろうな。

とかまあ、こういう創作術にあるように、色々疑問が浮かぶ点もあるんだけれども、実際の映画の分析を事細かにやられると、もう参りましたって感じ。『クレイマー・クレイマー』のフレンチトーストのシーンとか、『カサブランカ』とか『チャイナタウン』とか、なぜあのシーンがあれだけすばらしいシーンと感じられるかを分析されただけで、もうこの本は薦めるしかないって感じ。

また「物語の基本と原則」というタイトルなんで、基本的には抽象的で戦略的な視点を与える本、ではあるのだろうけれども、実践的なハウツーみたいなところがすごく良くて、「シーンごとに変わっている点/変わらない点をチェックしろ」みたいなのは言われてみるとめちゃくちゃハッとさせられるよなー。台詞のやり取りを「ビート」みたいに表現して、そこを脚本の単位にしている辺りとか、めちゃくちゃためになる内容だなあと思いました。

 

オクトパシー

 

オクトパシー [Blu-ray]

オクトパシー [Blu-ray]

  • ロジャー・ムーア
Amazon

 

あー、全体的にスピード感が増しているのを感じる……OPのスタントもEDのスタントも飛行機で、前回のヘリのアレコレもまあ面白くはあったけど、スピード感が増したら増したで全然迫力が違うなーと思った。

今回はインドを前半のメインに話が進むわけだけれども、そこでの話の作り方もとても良いなー。異国情緒の中でカーチェイスはまあ当然として、乗り物とかあとそこから醸し出されるコメディ感とか、うーんそうそうこういうユーモアがいいんだよって感じ。いやでも前回のギリシアのカーチェイスもそういうニュアンスはあったよな……なんだろう……編集の違いなのかな……アクションも、ロジャー・ムーアに無理に肉体的な動きをさせないのがとても良いと思う。やっぱり今の水準から見ると、007が強そうには全然見えないもんなー。

話もなるほど、ちょっと捻った筋がありつつも、オクトパシーというメインの軸がまあまあ通っているので、そこはとてもいいなあと思いました。ラスボスも一応インパクトはあったし、やっぱりキャラクターって大事だよなーと。あと舞台がちゃんと東西冷戦をやっててへーと思った。いや一応、007ってこういう時事を背景にしたスパイものとしてもある……のか。

しかし先日見たばっかりの爆弾解除のシーンがすぐに出てくるのはちょっと笑ってしまいました。

ハリウッドを斬る! ~映画あるある大集合~

www.netflix.com

なんか時間もねーし息抜きのコメディ見たいなーと思って見始めて、使われている映画自体は見たことある物が多いし個別に取り上げられる事象も全然楽しいんだけれども、全体的に散漫で気が利いてなくてなんかつまんねーなーって感じ。ダラダラエピソードの断片が取り上げられてて、しかも個別の掘り下げは浅くて、うーんなんなのこれ? と思いながら見ていた。文化的バックグラウンドが共有できていて、言語の理解も十分だと、もしかしてこれできっちり面白かったりするんかなー。

あとこういう映画のウンチク系だとハリウッドの歴史に触れざるをえないから、多少はポリコレ的な視点が入らざるを得ないのはわかるんだけれども、思った以上にそういった教示的側面が強くて、なんだかそれはそれでずいぶん窮屈だなーと思ってしまったよ。まあもちろん見ていて、「あるある」というのが「ステレオタイプ」の温床になるのはよくわかるし、そのステレオタイプを笑い飛ばすんだからポリコレ的な視点が入り込まなければならないのはわかるんだけれども、だったらエンターテインメントとしてもう少し気の利いたやり方でやって欲しいわけで……これがもし普通の教養ドキュメンタリーのような見せ方だったら、こっちの受け取り方も違うと思うんだよなー。