ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

すばらしき映画音楽たち

 

すばらしき映画音楽たち [Blu-ray]

すばらしき映画音楽たち [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2017/11/22
  • メディア: Blu-ray
 

ハンス・ジマーがね、作曲依頼された後に「逃げ出したくなる」って言ってるんですよ。あのハンス・ジマーがですよ? 「こいつどこから声出てんだ」ってくらいの低いボイスでですね「ジョン・ウィリアムズに頼んでくれ!」とか泣き言漏らしてるんですよ。もうね、笑うしかない。おまえがそんなこと言ってどーすんだと。おまえほどの作曲家でもそんなプレッシャー受けるんかと。まあそんなハンス・ジマーの魅力満載のインタビューが全編通して大量にあるだけでもめちゃくちゃ楽しい作品であります。

映画音楽の通史の合間合間に色んな音楽エピソードとか実際の制作現場の様子とかが挟まれるというオーソドックスな構成で、まあ見ているだけでも楽しい楽しい。俺もさすがに映画をそこそこ触れてきたので、この映画で出てくる映画は9割くらいは見ているってのもあるんだけれど、それにしたってメジャーな音楽のオンパレードで大変心が躍ります。『キングコング』って音楽的にもすごかったんだなーとか、流れにあんまり関係なく突然差し込まれるモリコーネってやっぱ説得力あるよなーとか、バーナード・ハーマンは存在感あるよなーとか、あーそうか『2001年宇宙の旅』じゃなくて『猿の惑星』なのかーとか、あとジョン・ウィリアムズはバケモノだよなーとか、まあ俺みたいな素人でも面白い面白い。

でもこういうドキュメンタリーを見ていて楽しいのは、やっぱり心から映画音楽に撃ち込んで楽しんで尊敬している現場の人間の表情が見えるからだよねー。ハンス・ジマーがジョン・ウィリアムズをたたえるだけでもう嬉しくなりますよそんなん。

エイリアン3

 

エイリアン3 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

エイリアン3 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2018/03/16
  • メディア: Blu-ray
 

そしてデヴィッド・フィンチャーなのか……いやー本当に豪華面々が撮ったんだなー。

映画の内容は、「あ、デヴィッド・フィンチャーだからしょうがないか」となってしまうところがたくさんあって、いやしかし前作のエンタメオバケなキャメロンとどうしたって比べちゃうよなーという感じ。いきなりの設定から前作・前々作が男性/女性を中心のテーマに置いてあるのをかなり意識しているとは思うんだけど、しかしこの作品でそれがうまく生きているかっつーとよくわからんなー。序盤にリプリーが秘密を明かさなくて、それに呼応するように医者の方も秘密を隠す、みたいなやり取りは確かにデヴィッド・フィンチャーっぽいなーとは思うものの、しかし映画としては全然うまく行ってないのではなかろーか。

アクションもあまり良いデキとは言えず、見所のはずの迷路ダッシュは何やってるか正直サッパリわかんなかったよね。例によってなかなかくたばらないエイリアン君の手前で感動音楽が流れ出すところは爆笑だったけど、その後の放水フィニッシュホールドはさすがに説得力がだいぶ足りない。

そもそもキャラに対してなかなか感情移入できない、というかそもそもキャラの見わけがあんまりできていない。挙げ句リプリーも行動原理が全然良くわかんないし、最後にはバシャーンってやっちゃうわけでしょ?

男女の寓話でやるんだったら、もうちょっとそこをきっちりやって欲しかったよなあ。宗教の関わりもあんまりよくわかんなかったし……うーむー。

エイリアン2

 

エイリアン2 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

エイリアン2 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2018/03/16
  • メディア: Blu-ray
 

いやージェームズ・キャメロン! 紛うことなきジェームズ・キャメロンって感じ。すげー。ってか今までテレビでの流し見だけでちゃんと見てないの恥ずかしいですねーこれは。いやー満腹おなかいっぱい。

前作の舞台から始まったりヤケに火炎放射器にこだわったりフィニッシュホールドが同じだったりと、まあ全編にサービス精神を発揮しつつ、でも本筋がきちんと進化しているのがすごくいいよなー。リプリーは前作では男性の中で対等に振る舞う女性のロールモデルだったのが、今作では母親としてのロールモデルを引き受けていて、おーなるほどこうなるのかーと感心。父親のいないシングルマザーでございますね。あとマザーコンピューターへの「ビッチ」が女王への「ビッチ」に進化しててそりゃあ爆笑。

しかしジェームズ・キャメロンにおけるアクションの「それそれ! それが欲しかったんだよ!」ってエンタメ感はいったい何なんだろうなあ……変に凝ったりせずに、ちゃーんと欲しいものが欲しい形で来る感じ。単騎で子供を取り返しに行くところの絶対的に正しい感とか、パワー・ローダーがあそこで出てくる説得力とか、うーんエンタメ力が圧倒的でビックリしてしまうなあ今更だけど。

エイリアン

 

エイリアン/ディレクターズ・カット (字幕版)

エイリアン/ディレクターズ・カット (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

熱が上がってきてちょこちょこフェミニズム系の本を読んでいるんだけど、内田樹の『女は何を欲望するか?』がまあだいぶ面白くて、さあ一気に読み終えるぞーと思ったら後半に突然映画の分析が入ってエイリアンをシリーズで解説し始めたのだった。そして自分は実はエイリアンの1しか見たことなかったので「うーんこりゃもったいないなあ」と思ってまーついでだしと思って年末年始でシリーズ見るかーとなったのだった。

でまあ、1は一応見たことがあるんだけど、改めて見るとうーんリドリー・スコットはすげーなーとなる。これと『ブレード・ランナー』を立て続けに撮るとかマジ信じらんねー。いやー、すごいスタッフと仕事してるよなあ。

改めて見ると大変面白いのは宇宙船内の美術のバリエーションで、よくもまああんなに手を変え品を変え印象にバリエーションつけるもんだなーと感心。結構たっぷりじっくりな人間ドラマだけどちゃんと狭い室内の間が持ってるもんなー。そしてたっぷりじっくり焦らすエイリアンの引っ張り方。自分ホラーってあんまり怖いと思わないんですけど、これならまあわかるかもしれない。

あとはフィニッシュホールドと言いますか、「これで終わりですよ」という説得力が大変良いですね。見ている方の思考を先取りするテンポ感はマジで堪らないなーと思いました。

ロングショット

www.netflix.com

いやー、これはなー、題材がいいだけにもうちょっと色々やりようがあったんじゃないかなー。ふつーにあの俳優の話を聞くだけの方が全然面白い感じもする。ってかあの無駄に緊張高めるだけのクロスカッティングいる? 逆にイライラするんだけど……

まあとにかく元の題材が奇跡的すぎて、うおーアメリカだなーベースボールで奇跡が起こるんだなーと感激するけれど、それが裁判の上で決定的な証拠にならないのは、いやー事実だからしょうがないんだろうけどしかし最高にしんどいよなー。っつか、場所の証明するだけだったら最初から携帯電話の履歴を追っかければいいだけじゃん! あの感動は何だったんだよ!

後半の携帯基地局の話もいまいちピンとこないし、最後の裁判官の判断に何が一番決定的な役割を果たしたかが明かされないのって、ウーンさすがにあり得ないと思う。挙げ句相手の検事を「スナイパー」呼ばわりして悪役っぽく仕立てる作意には、だいぶしんどい気持ちにさせられます。

ってか一番ヤバいのは、主人公を犯人に仕立て上げるために色々やったOP・EDに出てくる警官達でしょ? そこらへんを追求するまでもないのはなんで? アメリカじゃ日常茶飯事だからね! ってこと? いやー……

マンデラの名もなき看守

 

マンデラの名もなき看守 (字幕版)

マンデラの名もなき看守 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

マンデラがアパルトヘイトが終わった南アフリカ共和国で大統領になって、みたいな話は一応歴史的に知ってるけど、あーそうかーそういう感じなのかー。ってか政治犯が軟禁されるみたいな状況もあんまり良く理解できてなかったんだけど、なるほど海外からの圧力なんかも含めつつこういう状況に陥るワケね。68年とかから始まるのが大変納得。あと政権交代で方針ががらりと変わるものなんだろうなあ。

序盤とか結構わかりやすいくらいにわかりやすくエピソードがつくってあって、正直ちょっとやりすぎかなーと思うところも多い。ってかさすがに子供をダシに使って主人公が疑問を抱きはじめるのは、いやもちろん理にはかなっているんだけどナンダカナーという感じ。「歴史に名前を残したい」とかそんな動機は結構雑だなーと思うし、息子の死からの復帰とかも、うーんもうちょいこうやりようがないかなあ……という箇所が結構ある。

その一方で大変良いシーンもポツポツあって、面会で「触っていいのか?」がまず口をついて出るのはあーなるほどとても良いなあと思う。あとは棒術で戦うシーンも抜群で、いやーベタだけどああいう理屈が繋がってないようで繋がっているようで……みたいなのがストーリーにとって一番大事なんだよなーと思います。

黒部の太陽

 

黒部の太陽 [特別版] [Blu-ray]

黒部の太陽 [特別版] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2013/03/20
  • メディア: Blu-ray
 

やっと観れたよ。ってかAmazonのビデオに前から入ってたっけ? ずっと観なきゃなあと思っていた作品ではあったのだけれども。

石原裕次郎と三船敏郎がガップリ組み合ってただでさえ満腹なところを、クッソ暑苦しくて真っ暗な掘削シーンを延々やり続けるもんでもーこれ以上食えないよー! って感じである。

まあしかし「高度経済成長期」って感じの映画で、中途半端に「人命第一」ってお題目が入れられているけれども、実際そんなに人が死なないわけがないよなーあの現場。ペラッペラなヒューマニズムが大自然の圧の前では全くの無力って感じがすげーよくわかる。もちろん主人公側が「死んでもトンネルを通せ!」ってキャラ付けにできないのは理解できるんだけど、やっぱりそこら辺は矛盾を抱えた作品であって、しかしその矛盾こそが高度経済成長期って感じ。

すげーと思ったのは「予算はいくらかけてもいい」って言い切るシーンで、いやああんなの今の日本じゃ絶対できないよねえ。未来に希望が持てた時代だからこそあんな演出が可能だったんだろうなあってのはすごく良くわかる。

あとはなんといっても大迫力の破水帯のシーンだよなー。アレ撮影現場で人死ななかったのだろうかと思うほどの迫力。ぐにゅんと曲がる鉄骨に、頭上に積もる地層の重みに思いを馳せてしまうと、うーんちっちゃいなあ人間と感じてしまいますねえ。