ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

エウレカセブンAO

 

エウレカセブンAO Blu-ray BOX (特装限定版)

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『エウレカセブン』を見たのはだいぶ前だけど、少なくともこういう感じの印象を受ける話じゃなかったよなあ。

たぶんつくりはとてもロジカルで、このタイミングでifの世界を舞台に日米沖縄の関係性を織り込んだロボットアニメをつくる動機はわかる。でも、そこをエンタメと結びつけるロジックがかなり軽視されているというか……まず何を動機にこのアニメを見れば良いかがわからないよなあ。やはり作品の顔となるはずのニルヴァーシュの活躍のどうでも良さが致命的で、途中で出てきたトゥルースの超能力のなんでもあり加減で、おいおいロボットがどーとかもうどうでも良いじゃん、となってしまう。

あと後半の最も重要な展開である、様々なif世界を渡り歩く展開だけれども、こういう展開って唯一無二の正しい世界という結論を出すわけにはいかず、じゃあその白黒つけづらい物語にどうやって感情的な納得をさせるの、というのが大きな課題だと思うんだけど、そこに関してもだいぶ納得がいかないなあ。どうしたって人間の人生から導き出される結論を跳躍して、認識の主体が非人間的な視野を手に入れてしまうわけで、その展開にエンタメ的な共感を寄せられるエンディングを迎えるには、あー、もちろんヒロインの力を借りなければならないのはわかるのだけれども、それにしても難易度高いよなあ……

フリクリ オルタナ

flcl-anime.com

オレは駄作にするくらいなら思い出のままとっておいて欲しいみたいな軟弱な信者的な言動は慎むように心がけてきていた。クソだろうとなんだろうとその作品の続編が世の中に出ることは素晴らしい。3つの傑作のために10年かけて3つ作品を創るより、10の傑作のために100の駄作をつくった方が良い。作品は形にしてナンボである。世の中に作品が出ていることはとりあえずそれだけで価値がある。クソだってケツの穴からひり出されなければクソ以前の何かでしかない。

だがしかし、今回ばかりはそんなオレの心がけが見事に敗北したことを白状しなければならない。オレは見苦しく軟弱な信者であった。こういう言動を絶対に避けようという遺志は圧倒的な感情の前に無力だった。認めよう、オレは醜い無印フリクリ原理主義者だ。

無印フリクリの魅力はそのストーリーにあると思っている。もちろんハイテンションな映像やアグレッシブな演出やカッ飛ばしまくりの編集やキレキレの台詞やそして何より情感くすぐるピロウズの音楽や、それらは当然全部素晴らしくていちいち感動してしまうのだけれども、それらと切っても切れないというかむしろそれらの演出を要請するのは不在の想い人を中心に語られる多層的なストーリーである。結局のところフリクリは不在の兄に憧れるナオタくんと不在のアトムスクを追いかけるハル子さんの恋愛を語る物語であり、巨大なアイロンとを中心とした町の舞台装置やマミミニナモリといった恋の当て馬や繰り返し語られる大人と子供の関係や額から生え出てくるチンコ、それらは全て童貞少年ナオタくんが純粋悪女ハル子さんにフラれるまでを描くために存在する。そんなん鳴り響くピロウズが最高に浸みるに決まっているのである。

じゃあオルタナはどうだったかというと、全くヌルい冒頭から学校のクソ雑なキャラ紹介の辺りまでで演出が無印ほどの志がないのはわかって、まあそうだよねこんなもんだよねと思いつつも、前作の構造があまりにも美しく強烈だったものだから、名前を冠している以上ちょっとくらいストーリーには期待していたのであった。女子高生がサークル活動で男根を生成しはじめた無理矢理展開にはちょっとだけついていけんなあと思いながらも一応テーマ的には頷いていたし、最初額から花が出てきた時は「マンコ出てきた!!」と感激した。主役が少年の時毛付きの突起物とギター=思春期モテたいドリーム=チンコが出てくるならば、主役が女子高生の時は花=生殖器=マンコが出てくるのは圧倒的に正しい、と、今でもまあ思う。

でもさあ、そこから引っ張り出したのがギターになってピロウズ流れてゴイーン! って、おまえ無印の何を見ていたんだ。恋愛から半歩下がって友達への想いを語れるようになるまでの話? 今更? セブンティーンでそんな話やられても、という感じ。いやもう難癖なのはわかってるんだけど、身を弁えてきちんと丁寧にそういう話を語ろうとしている感じもわかるんだけど、でもねえ、ああ、だめだイケナイ言葉が口から出てきてしまう、でもしょうがないよ信者だから俺は言うよ、「フリクリでそれやる?」。いやまあやっても良いんだとは思うんだけどだったらきちんとその構造を採用して演出が機能するようなアイディアをストーリーにブチ込んでくれよ。雑に前のイメージに寄りかかるのやめなよ。徹底してマンコで友情な仕組みを採用してくれよ。無印でアレだけ物語を牽引したハル子さんがこんなテーマにマッチングするわけがなく、ジョン・ウーの100倍ペラッペラなキャッチコピーの上で空転空転大空転で見ていてかわいそうだよ。ってかあのそば喰ってるおっさんの意味のなさは一体何なのアマラオ下敷きにしてなんであんなキャラ置けるの? 今すぐ無印FLCL見直してストーリー復習して、もしそれでもアマラオがどんだけハル子さんに深い傷を植え付けられたのか理解できないんだったら、オレの愛したFLCLの続編なんてつくらなくて良いです、と真顔で言ってしまうくらいには醜く無様な信者ムーブを行ってしまうのだった!

ああああああくそ代われ!! 頼むからオレに脚本を書かせてくれ!! 僕が一番、フリクリをうまく使えるんだ!!!!

ソウルガールズ

 

ソウルガールズ (字幕版)

ソウルガールズ (字幕版)

 

 そ、そんな『ドリームガールズ』みたいなタイトルつけなくても……ソウルって言葉がどうしてもアメリカで黒人でのニュアンスを感じてしまって、アボリジニだしカントリー歌ってるしでもベトナム戦争だしキング牧師は死ぬしとどういう見方をすれば良いのか大変混乱する内容である。アメリカ以外の人種差別ってちょっと南アフリカのあたりを映画で囓ったくらいで、オーストラリアはそうかーアボリジニかでもアボリジニって黒人認識なのかーというレベル。そもそも「盗まれた世代」に対する知識が全くないものだから、うおーなんだそんな人さらいが半世紀前までガンガンやられてたのかそりゃあ普通に禍根を残すよね、と思った。

映画としてはリアリティのコントロールが結構面白くて、4人の恋愛模様やら人間関係の衝突やらが別に大きなドラマを生むでもなくオフビートな感じで同時進行していくのはなんか面白い。デカいライブの前に突然事件はボンとやってくるけれど、まあそれはそれとしてショーマストゴーオンで切り替えてフツーにステージが終わる感じ。まあ現実で生きていくってそういうことだよね、とか思っていると突然ガンとやってくるドラマティック展開で、後で読め手紙とかバリバリの死亡フラグが立つあの展開をオレはどういう顔をして受け取ればいいのか全然わかんないよ。そして当然のように死亡確認せずに落ち込んで実は生きてましたーで、星空キラキラキラーまでつくりもののリアリズムでハッピーエンド一直線だもんなー。あまりにあっけらかんとしていてビックリするよコレ。

山口組外伝 九州進攻作戦

 

山口組外伝 九州進攻作戦

山口組外伝 九州進攻作戦

 

夜桜銀次って名前だけで一本撮ったんじゃねーかって映画だなこりゃ。ヤクザもの、って表現のイメージとは違うよねこの主人公。ヤクザっていうかただの狂犬。マジで狂犬。助けに行った自分の舎弟を撃ってケジメつけて病院に連れ込むとかもう頭おかしいとしか言いようがない。一応主人公だしなんかそれっぽくカリスマ背負わせなきゃって文ちゃんが一生懸命カッコいいキャラにさせてて、淋病エピソードなんかもブチ込んで好感持てるように描いているのだろうけど、いやー単純にクズでしょ。死に場所を求めていた、って言えば格好良く聞こえるけどそんなカッコいいもんじゃないよなーこの行動原理は。でもただ自滅型のクズってだけじゃなくて九州を巻き込んだ集団抗争の引き金となっちゃうクズなんだもんなあ。ちょっとスケールが違うよなあ。映画のキャラクターというよりも、その向こう側にいるだろう実録の夜桜銀次に思いを馳せてしまって大変複雑な気持ちになる映画であるのだった。

しかしまあ菅原文太格好良いなあ。体型的には特別に恵まれてるってワケじゃないと思うんだけど、むしろその恵まれてなさが大変魅力的というか……部屋の中で背中丸めてタバコを吸ってるそのシルエットが最高にカッコいい。そういや『仁義の墓場』の渡哲也の背中も丸っこくて、格好良く輪ないけどあれはあれで良さがあったなあ。

どうぶつ宝島

 

どうぶつ宝島 [DVD]

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ヒロインのキャラがすげーなー。ツンツンなお嬢様が二挺拳銃でバンバン撃ちまくりだもんなー。この時代のアニメってなかなか見ないけど、宮崎駿の影響か、ヒロインがある種清らかな造型であることを期待しちゃってんだなー。いやあ、まさかこんなにも捻ったヒロインだとは思わずにビックリしちゃったよ。そりゃラストでブーツ脱がせるの最高にエロく感じちゃいますよねー。

まあとにかくアクションを見ろの活劇で、まあ動きを見ているだけで楽しくなっちゃってとても良いですね。まさかあんなにブタの船長がハッスルするとは夢にも思わなかったよ。最後の尾根の舞台設計自体はかなり無理矢理だけれども、そんなめちゃくちゃな場所でも過剰なアクションアクションアクションであれだけ見せてしまうんだから恐れ入ります。最初の宿の屋根アクションから船の帆での活劇から登攀しまくりのラストから、終始高さを使った場面がてんこ盛りで、上下の関係性で動きを見せるのってプリミティブに効くもんだなあと改めて感心させられる。

しかしこの主人公所々ヒロインを雑に扱っててビックリするな。まあ子供の心理的には共感しやすいのかもしれないけど、相棒の武器を奪って戦うとかさすがに主人公としてどーなのよ。

愛と青春の旅だち

 

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うーんマッチョ。スーパーマッチョ。一番のどん底をどうやってクリアするのかなーと思ったら殴り合いで笑った。なんでアレで色々解決するのかわからんけどでもまあなんとなくまあいいやってなる感じもする。あーでもそーかあそこでDORを申し込んで殴り合ってでもDORされなかったのが、一応ストーリー的には親友と対比になっているのか。そして主人公もそこで殴られることによってなんだかんだ罰せられてる感じはあるよね。うーんなるほどなるほど。

自分の出自が微妙で居場所がない人間が肉体鍛えて国家に忠誠を誓い軍人となり、美女と付き合いセックスして子供もできちゃったりできなかったりでDORは自殺して、でもイケメン主人公はノーヘルバイクで結婚を誓ってストップモーションエンディング! というのはまあある種の欲望に忠実なテンプレって感じがする。不安な個人がセックスに流されつつ国家と家庭に居場所を見つけるって、うーん形式としてはめちゃくちゃマッチョよね。

それにしても訓練キャンプの映画ってなんだかんだ結構あるのだなあ。しかしまあ『フルメタルジャケット』とか見た後だとそんなヒューマニティ溢れる教官でよいのかよ? となる。人殺しのために人間性を塗り替えられる場所としてアレだけツッコんだキューブリック作品が、後のステレオタイプになったのもまあ納得だよなあ。

あと主題歌がズルい。こういう有名曲がラストに流れると映画の良さがなんとなく2割増しくらいになるので卑怯。

39 刑法第三十九条

 

39 刑法第三十九条

39 刑法第三十九条

 

いやーこれ演出がキツくて見てられないなあ。たぶん森田芳光監督は初めて、だと思うんだけど、これだと他の作品を見るのを躊躇してしまう……

まあとにかく精神鑑定人の描写がしんどくて、こういう事実に取材しなければならない題材にも関わらず、あんな異様な人間として描く必要あります? これって作品全体としては刑法第三十九条のあり方に対する疑問の投げかけになってしまっていて、それは現実に精神鑑定の結果に苦しむ人間を結構下敷きにせざるを得ないわけで、そういうリアリティ寄りの題材をこういう偏見を招きかねないドラマティックな演出で描くことに大変疑問を抱きます。ってかこんなわざとらしい手ぶれカメラとか顔のアップとか斜めカメラとか、題材とかなり齟齬をきたしてないですかね? クライマックスの非現実的な精神鑑定なんかも全くついていけず、うーんやっぱり演出のスタイルがちょっと題材と噛み合ってなくないですかね。

まあしかしリアリスティックにやったところでこのビックリ逆転脚本は嘘くさくなっちゃうんだろーなーというのもわからなくはない。あのオチに繋げるにはやっぱりある程度非現実的な飛躍が必要だったのだろう。もう少しビックリ逆転脚本がビックリ逆転してくれたらだまくらかされたのかもしれないけどなあ。実は被害者が過去に……の段階でまあ大体の筋書きは見えちゃって「あーそこら辺良いからさっさと進めて下さい」って感じになってしまったのだった。