ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ミスター・ノーボディ

 

セルジオ・レオーネは大好きな監督なんだけど、この映画は抜けていたぜ……

とはいえ、なんか変な映画だよねコレ。セルジオ・レオーネっぽさも所々にあるんだけれども、それだけではちょっと乗り切れないところがある。っていうか、レオーネの映画ってやっぱり顔の汚さがめちゃくちゃ大事なんだなあって思ったよ。顔が汚れてるってことはその分映像に情報量があるってことで、不思議とその顔に見入って、キャラクターに感情移入しちゃうんだよね……あのクッソ長尺の顔のドアップは、その感情移入があってこそのものなんだなあ、なんてことを思いながら見たよ。

全体的に色々どーなの? というところもある映画ではあるけれども、その珍妙な味があればこそ、モリコーネの音楽が光っちゃうのめちゃくちゃ面白い。ワイルド・バンチでワルキューレの騎行が流れる度に、理屈じゃない昂ぶりとどうしようもない失笑が湧き上がっちゃうのは、いやほんと変な感覚だよなー。

あとコレ、「ウエスタン」の後にヘンリー・フォンダを迎えて撮った西部劇なのね。「ウエスタン」もだいぶ歴史の中に取り残されていく男たちの話ではあったけれども、今回は生き延びて船でヨーロッパに向かうのがなかなか面白いところだよなあ。滅びの美学……ではなく、伝説を伝説にして、しかし男は生き続ける、というのは、レオーネの意向がどれだけ入ってるのかなあ、なんてことは考えるよな。