指に「LOVE」「HATE」の入れ墨が入っているヤツの元ネタ、と聞いて見たんだけど、想像と全然違ったよ。暴力が過激と言うよりはむしろ陰湿。自分の中に善悪の葛藤があるキャラクターを想像してたんだけれど、むしろそういう善悪の葛藤をもつ人間らしさを偽装したストーリーだとは思わなかった。いやー、ビックリした。
でまあ、そういう人間らしさの偽装をストレートにやっているからには、ある種の宗教批判ではあるわけだよなあ。旧約聖書の出来事を引いてることくらいはわかるけれども、そこら辺のニュアンスが全然読み取れないのは結構悔しくはある。子どもがふたりで船に乗って逃避の旅をして、というのを情緒たっぷりにやっているのは、大変宗教的だし、何よりアメリカ的な心象風景に訴えるところがありそうだよね。
そしてまあ、ラストで子どもが牧師を庇うところとか、大衆の心理が復讐心に熱狂するところとか、今見ても「うおお……」と思わされる展開で、いやはや、一筋縄ではいかないストーリー展開と思いますよ。船で酔い潰れた爺さんのエピソードとかも、たぶんなんか後ろにしいてあるんだろうなあ。