ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ミーシャと狼

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もうこの映画はめちゃくちゃ善悪がはっきりしているというか、ミーシャが嘘をついてホロコーストを題材にしてお金を儲けたという邪悪さがはっきりしているのに、その事実に対する糾弾は控えめというか、むしろある種同情的に描かれているのが大変印象的だなあ。もちろん善悪の判断をこちらに預けるのは作り手としては誠実な態度なのだろうけれども、だったら彼女の人となりをもう少し掘り下げて欲しいなあとは思ったかしら。戦後の彼女の歩みとか人となりとかそれまで隠していた話を急に話だそうと思ったきっかけとか、あるいはそれが出版されるにあたって彼女がなにを考えたのかとか、そこら辺の彫り込みがもうすこしないと、センセーショナルなニュースの印象が先走ってあまり公平ではないような気がする。途中にサスペンスタッチで「隠された謎を曝くパート」を入れちゃったら、どうしても「悪の欺瞞を曝く」みたいなアングルができちゃうんだから、その後に急に「欲に負けてしまったのです。みんな欲はあるでしょう?」みたいな擁護を差し込まれても、「じゃあなんでさっきそんな編集したの?」ってなるよね。

しかしまあ、映画の公開直後に事実をぶちかますというのが、編集者の怒りを表してるよなー。いやまあその損害賠償で裁判に負けたっつーならそりゃ当然なんだろうけどさあ。ま、中小の出版社でどこまで筆者の話の裏付けをとるか、というのはまあなかなか難しいところがあるんだろうなあ、とは思う。『覗くモーテル』のレベルでも、そこになかなか苦労していたわけだしねぇ。